脳卒中の「在宅リハビリ」は通常のリハビリより効果があった

脳卒中の治療方法にリハビリテーションがあります。リハビリテーションには急性期リハビリや回復期リハビリなどがあり、いずれも病院で行う治療が主流です。今回、デンマークの研究チームが在宅リハビリテーションの効果を検証し、通常の治療ガイドラインに則った治療よりも良好な結果が得られたことを報告しました。
◆在宅リハビリテーションとは?
患者の自宅にてセラピストが1対1で患者の日常生活に即したリハビリテーションプログラムを行うことです。
セラピストは
◆脳卒中患者71名を対象に分析
この研究は、3日以上入院しておりリハビリテーションが必要な限局性の脳卒中患者71人(女性41人)を対象としました。
対象者は、入院中から退院後4週間にわたって在宅リハビリテーションをする群(在宅介入群)か、通常の治療
在宅介入群では、入院中は1週間に1回から3回一時帰宅してリハビリテーションを行いました。
在宅介入群は38人、対照群は33人になりました。
在宅リハビリテーションの効果を分析するために、在宅介入群と対照群について、脳卒中の
◆在宅リハビリは通常のリハビリに比べ、良好な結果に
発症後90日の障害の度合いは、それぞれの群の中で軽い順に数えて中央の順位の人(中央値)が、在宅介入群では軽度の障害(身の回りのことは介助なしに行える)に、対照群では中等度の障害(なんらかの介助が必要)に機能回復しており、生活の質(QOL)の点数は対照群に比べて、在宅介入群で向上していました。
在宅リハビリの訓練時間と障害の度合いなどの関係は以下の通りでした。
在宅の訓練を行った総時間は、障害の度合い、日常生活における機能的評価、運動機能評価、生活の質(QOL)のスコアと高い
相関 性があった(P値の範囲が0.0001未満から0.01まで)。
在宅リハビリで長い時間を使ったときのほうが、運動機能や生活の質(QOL)などがより大きく改善していました。
研究チームは、「早期からの在宅型リハビリテーションは機能障害を減らし、生活の質(QOL)を向上させることができた」と述べています。
介助が必要な状態で自宅復帰した際に受けられる社会資源やマンパワーの問題はありますが、在宅リハビリの制度や支援体制が整えば、脳卒中患者さんにとって有益な方法となるかもしれません。
執筆者
Stroke rehabilitation at home before and after discharge reduced disability and improved quality of life: A randomised controlled trial.
Clin Rehabil. 2015 Mar 10.
[PMID: 25758941]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。