脳卒中リハビリの量を増やす研究はどんな結果を出しているか
ここで紹介する研究は、脳卒中(脳梗塞や脳出血など)のリハビリについて、過去の研究から報告されている内容を調査したものです。
脳卒中後のリハビリの内容は変えず量だけを従来の量から増やした研究を調査対象としました。効果を判定するため、手足の活動能力を基準としました。
リハビリを増やすと活動性が増える
14件の研究が見つかりました。集まったデータから次の結果が得られました。
採用された研究すべてから統合したデータにより、追加のリハビリテーションは治療期間の直後の活動性を改善することが示された(標準化平均差0.39、95%信頼区間0.07-0.71、I2=66%)。
リハビリの量を増やすことで、治療直後に測定した活動性が改善していました。
研究班は「活動制限を減らす狙いで、通常のリハビリテーションの量を増やすことは、脳卒中後の人の活動性を改善する」と結論しています。
脳卒中リハビリの今後
脳卒中に対しては、リハビリの大切さが知られている一方で、現実にはリハビリに携わる専門家の人数に限りがあり、誰でも最大限の時間をかけてリハビリができるとは限りません。
脳卒中による入院や通院でなされるリハビリは、後遺症と付き合いながら生活するために大きな影響があります。病院にも工夫が求められるとともに、患者本人の努力も大切です。専門家から指導を受けて、家に帰ってから自分でリハビリをすることも、リハビリの量を増やし、回復を促す役に立ちます。
限られた人的資源を活かして、脳卒中後の患者が最適なリハビリで回復できるようにすることは、今も医療の大きな課題としてさまざまな観点から議論されています。
執筆者
Increasing the amount of usual rehabilitation improves activity after stroke: a systematic review.
J Physiother. 2016 Oct.
[PMID: 27637769]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。