えいちてぃーえるぶいわんかんれんせきずいしょう
HTLV-1関連脊髄症(HAM)
HTLV-1というウイルスの感染が原因で脊髄に慢性的に炎症が起こる病気
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最終更新: 2020.01.10
HTLV-1関連脊髄症(HAM)の基礎知識
POINT HTLV-1関連脊髄症(HAM)とは
HTLV-1関連脊髄炎(HAM)はHTLV-1という成人T細胞性白血病を起こすウイルスによって脊髄に慢性的な炎症が起こる病気です。HTLV-1に感染したら必ずHAMになるわけではなく、感染者の0.25%がHAMになるということが分かっています。主な症状は歩行障害・頻尿・残尿感・感覚障害ですが、重症になると筋力が低下し下半身の発汗障害が出てきます。 MRI検査で脊髄の程度を調べ、血液検査でHTLV-1の感染を確認することで診断します。治療に特効薬はありませんが、炎症を抑えて神経のダメージが進行しないように治療(ステロイド薬やインターフェロン療法など)します。HAMが心配な人や治療したい人は、感染症内科や神経内科を受診して下さい。
HTLV-1関連脊髄症(HAM)について
- HTLV-1という
ウイルス の感染が原因で脊髄 に慢性的 に炎症 が起こる病気 - HTLV-1の感染経路としては母親から子への母乳を介する感染が多い
- 現在は妊婦健診の公費助成項目となっている
- 性行為により感染する場合もある
- 過去には輸血により感染した事例もあった
- HTLV-1に感染している全ての人に
発症 するというわけではない- HTLV-1感染者がHAMを発症する可能性は、生涯でおよそ0.25%(400人に1人)と高くない
- 日本には約3,000人の患者がいるとされる
- 西日本、特に九州、沖縄に多い
- 中年以降での発症が多いが、子どもでも発症することがある
- 女性の方が発症が多い(男女比は約1:2)
HTLV-1関連脊髄症(HAM)の症状
HTLV-1関連脊髄症(HAM)の検査・診断
- 血液検査、
髄液検査 - HTLV-1の存在と量を確認する
- HTLV-1に対する
抗体 の確認
MRI 検査などで脳や脊髄 の病変 の状態を観察する
HTLV-1関連脊髄症(HAM)の治療法
- HTLV-1
ウイルス を抑える治療法はないが、炎症 を抑えて神経の症状 が進行しないようにすることが重要になる - 主な治療法は薬物療法となる
ステロイド薬 :炎症を抑える- 症状の進行が早い場合は
ステロイドパルス 療法を行う - 内服の場合は、長期間の内服が必要となる
- 症状の進行が早い場合は
インターフェロン (皮下注射):ウイルスを攻撃し、免疫 機能を正常に近づける
- 日常生活で気を付けること
- 筋力を維持するために家庭で定期的にリハビリをする
- 少しの段差でつまずきやすいので、転倒や骨折に注意する
- 尿の出にくさを放置すると尿路感染症や腎臓の機能を悪化させる原因となるので、早めに泌尿器科の診察を受ける
- 他のHTLV-1関連疾患を発病する可能性もあるので、定期的に医療機関へ受診する