突発性発疹の検査や診断とは?
突発性発疹かどうかの診断では特徴的な
1. 突発性発疹の診断のポイント
お医者さんが突発性発疹と診断する際には、以下のことに注目しています。
- 今までに突発性発疹にかかったことがあるかどうか
- 周囲に同じような症状の人がいるかどうか
- 解熱薬を使っているかどうか
- 過去にどんな予防接種を打っているか
- 熱は、何度まで上がって、何日間続いていたのか(あるいは何日間続いているのか)
- 皮膚の症状は、いつから出現して、どんな色で、どの範囲まで広がっているのか
これらを
- 今まで突発性発疹にかかったことがない人に、
- 40℃近くの熱が出て、解熱薬を使わなくても熱が下がり、
- 熱が下がったあとでお腹や背中、顔を中心とする赤い
発疹 が出た
この3つを満たすときは、突発性発疹が最も疑わしいと判断します。当てはまらないものがあればほかの病気の可能性が増すと考えます。
周囲に同じ症状の人がいた場合は突発性発疹が流行っている可能性が高まりますし、過去に予防接種を打っている病気にはかかりにくいので、優先的に考えられる病気から外して考えることができます。
2. 突発性発疹で検査をしないのはなぜ?
血液検査や尿検査、痰(たん)の検査はあまり適切ではありません。突発性発疹の原因の
しかし、抗体を調べるために採血をして、検査に出してから結果が出るには長いと1週間から2週間かかってしまいます。突発性発疹ならば、結果が出た頃には治ってしまっているということになります。また、抗体は過去に感染したことがある人では増えていますので、抗体が増えていたとしても、いま突発性発疹にかかっているのか、以前にかかったことがあるのかを見分ける材料にはなりません。
このため抗体の検査は突発性発疹の診断には使わないことがほとんどです。
3. 突発性発疹に似た病気はある?
突発性発疹の症状は、発熱、お腹や背中や顔を中心に全身に出る発疹、不機嫌になるといったものです。時にはけいれんや意識がもうろうとするといった症状もあります。突発性発疹以外にこのような症状を引き起こす病気は、以下が考えられます。
これらの病気の特徴に当てはまるかどうかもあわせて考えることで、突発性発疹なのか、ほかの病気なのかを見分けることも診断のためには必要です。
突発性発疹は、熱が下がってから
このリストの中で、熱が下がったあとに皮疹が出るのは一般的に麻疹(はしか)だけです。突発性発疹と麻疹は見分けるのが困難なことがあります。以下で説明します。
4. 突発性発疹と麻疹(はしか)の違いは?
突発性発疹と麻疹は、どちらも熱が下がったあとに発疹が出るという点で似ています。しかし突発性発疹はすぐ元気になるのに対して、麻疹だと重症になることも多く、区別は重要です。その区別は難しいことも多いですが、一つの簡単な目安としては、指や手のひらに皮疹が出た場合は、麻疹の可能性が高いと考えます。
麻疹(ましん、はしか)は、ウイルスの感染が原因で主に2歳以下の子供に
症状は以下の順に出てきます。
麻疹の経過1:カタル期(2日間から4日間)
- 38℃以上の発熱が出現し、だるさや不機嫌が目立つ
上気道 症状(くしゃみ、咳、鼻水)や結膜 症状(目の充血、目やに)が出現- 症状が出てきてから1日から2日経つと、口の中の粘膜に白い斑点(コプリック斑)が出て来る
麻疹の経過2:発疹期(3日間から5日間)
- カタル期の発熱が一旦下がった後に再度高熱が出る
- 2度目の発熱のほうが高いことが多い
- 発熱とともに首や顔に大きさ数mm程度の赤い皮疹が出現する
- 皮疹は全身に及び指先まで広がる
皮疹は始めはポツポツとした斑点状ですが、しだいにボコボコと盛り上がってきて、隣り合ったものどうしがくっつき、赤黒くなっていった後、色が薄くなっていきます。
この時期の上気道症状と結膜症状はカタル期よりも強いことが多いです。
麻疹の経過3:回復期(7日間から10日間)
- 退色した皮疹は完全には消失しないで、しばらく痕(
色素沈着 )が残る
この時期になると身体からウイルスが排泄されなくなります。
以上をまとめると、麻疹の経過は図のようになります。
突発性発疹では発疹が出てから熱が再度上昇することは珍しいです。上の経過表を踏まえると、熱が下がってから皮疹が出現し、熱が再度上昇してきた場合は麻疹の可能性が高いです。また、麻疹では再上昇した熱は、1回目の熱よりも高い場合が多いことも参考になります。