へるぱんぎーな
ヘルパンギーナ
夏から初秋にかけて流行し、突然の高熱、口腔内のできものや発赤を主症状とする咽頭炎で、小児に多くみられる
12人の医師がチェック 38回の改訂 最終更新: 2018.06.23

ヘルパンギーナってどんな病気?症状、検査、治療など

ヘルパンギーナは子どもの代表的な夏風邪の一つで、夏から初秋にかけて、5-7歳以下の乳幼児が多くかかる感染症です。原因はエンテロウイルス属のウイルスで、突然の高熱と口内炎が出ます。ヘルパンギーナは主に症状によって診断され、検査はあまり行われません。治療は対症療法を行います。

1. ヘルパンギーナの原因はウイルスによる感染?周囲にうつるのか?

ヘルパンギーナはウイルスによる感染です。原因となるウイルスは複数あります。コクサッキーウイルス、エコーウイルス、エンテロウイルスが原因になることがあり、いずれもエンテロウイルス属のウイルスです。それぞれのウイルスにはさらにいくつもの型があるため、ヘルパンギーナには何度もかかることがあります。中でも最も多い原因ウイルスは、コクサッキーウイルスA群と呼ばれるウイルスです。

ヘルパンギーナの潜伏期間は3-5日間です。

ヘルパンギーナは人から人へうつります。感染経路は、接触感染、経口感染、飛沫感染です。ウイルスは咳や鼻汁、便に排出されます。感染者の口から飛ぶ飛沫(水滴)や便を、直接触れたり口の中に入れたり吸い込んだりすることによって人にうつります。手洗いやうがい、マスクの着用をして、感染を予防しましょう。特に排便後やおむつ交換後は手洗いをしっかり行い、便の付いたおむつは密閉して捨てるようにしてください。

ヘルパンギーナにかかった後は、咳や鼻汁には数週間、便には数週間から数か月間、ウイルスが排出されます。症状が治った後も数週間から数か月間は感染に注意する必要があります。

2. ヘルパンギーナは子どもに多い?大人もかかる?

ヘルパンギーナは子どもに多い感染症です。ヘルパンギーナにかかる人の多くが5-7歳以下の乳幼児で、最も多くかかるのは1歳代です。しかし子どもだけでなく大人もかかることがあります。

3. ヘルパンギーナの症状について

ヘルパンギーナの症状は、突然の高熱と口内炎です。口の中の粘膜に水疱(水ぶくれ)ができた後、破れて潰瘍(粘膜の表面がえぐれた状態)になり痛みます。痛みで食事がとれなくなることがあります。熱は2-3日で下がり、口内炎は5-6日で良くなります。

詳しくは、「ヘルパンギーナの症状について」で説明しています。

4. ヘルパンギーナが疑われたら病院でどんな検査をされる?

ヘルパンギーナは症状や口の中の様子、年齢、発症時期などによって診断され、検査を行うことはほとんどありません。合併症を起こしているときや、症状などから診断が確定できず、治療法の異なる別の病気との区別がつかないときなどには、血液検査(ペア血清)や遺伝子検査(PCR法)などの検査を行うことがあります。

詳しくは、「ヘルパンギーナが疑われたときに行われることがある検査」で説明しています。

5. ヘルパンギーナの治療について

ヘルパンギーナには、原因ウイルスを直接治療する抗ウイルス薬がありません。またウイルスによる感染なので抗菌薬も効きません。ヘルパンギーナの治療は、症状を和らげるための対症療法を行います。熱や痛みを和らげるためにアセトアミノフェン(商品名:カロナール®など)などの解熱鎮痛薬を使用します。

詳しくは、「ヘルパンギーナと診断されたときに行われる治療」で説明しています。

6. ヘルパンギーナは夏に流行する?冬に流行する?

ヘルパンギーナは夏から初秋にかけて流行する、代表的な子どもの夏風邪の一つです。冬にかかることもありますが、夏に比べると頻度はかなり少なく、冬にヘルパンギーナが流行するということはあまりありません。