へるぱんぎーな
ヘルパンギーナ
夏から初秋にかけて流行し、突然の高熱、口腔内のできものや発赤を主症状とする咽頭炎。小児に多い
12人の医師がチェック 39回の改訂 最終更新: 2024.07.10

ヘルパンギーナが疑われたらどんな検査を受ける?治療薬は?

ヘルパンギーナは主に症状から診断され、検査はあまり行われません。特効薬はなく、対症療法を行います。

1. ヘルパンギーナは検査ではなく症状から診断される?

ヘルパンギーナの多くは、症状や口の中の所見、患者の年齢、発症時期などから診断されます。診断のために検査を行うことはほとんどありません。

  • 夏から初秋にかけて
  • 小児、特に5-7歳以下の乳幼児が
  • 突然の高熱と口内炎を生じた

このような場合には、ヘルパンギーナの可能性が高くなります。小児科か内科を受診してください。

2. ヘルパンギーナが疑われたときに行われることがある検査

ある病気が原因となって起こる別の病気のことを合併症と言います。ヘルパンギーナにかかるとまれにウイルス性髄膜炎や急性心筋炎などの合併症を起こすことがあります。

合併症を起こしているときや、症状と流行時期などから診断が確定できず、治療法の異なる別の病気との区別がつかないときなどには、非常にまれですが検査を行うことがあります。

血液検査(ペア血清検査)

急性期(発熱や口内炎などの症状が出ている時期)と回復期(症状が治った後)の2回血液検査(ペア血清検査)を行い、ウイルス抗体を調べます。回復期の抗体の数値が、急性期の抗体の数値の4倍以上上昇しているとき、このウイルスによる感染であると診断します。検査結果が出る頃には症状は治っていること、ヘルパンギーナは合併症や後遺症なく完治する病気であることから、血液検査(ペア血清検査)を行って診断をすることは実際にはほとんどないと考えられます。

遺伝子検査(PCR法)

患者ののどを検査用綿棒でぬぐったものや、便、水疱内容液(水ぶくれの中の水)、髄膜炎を起こして髄液検査をした場合には髄液から、直接ウイルスの遺伝子を検出します。検査は数時間で行われ、感度が高い検査法です。感度とは、ヘルパンギーナにかかっている人のうちでこの検査が陽性となる人の割合のことです。感度が高い遺伝子検査(PCR法)で陰性であれば、ヘルパンギーナにかかっている確率は低いと言えます。

なお、水疱内容液や髄液から検出されたウイルスは今回の原因であると確定できますが、のどや便から検出されたウイルスは必ずしも原因とは限りません。その理由は、ヘルパンギーナにかかった後数週間から数か月間はウイルスがのどや便に排出されるため、数週間から数か月前にヘルパンギーナにかかって気付かずに治っていた場合にもウイルスが検出されるからです。つまり、のどや便からウイルスが検出されても、今回の症状の原因は別にあるかもしれません。