だんせいふにんしょう
男性不妊症
男性側の問題で妊娠が成立しない状態
7人の医師がチェック 130回の改訂 最終更新: 2024.04.10

男性不妊症で知っておきたいこと

なかなか妊娠に至らず不妊症かもしれないと心配になっても、簡単には打ち明けにくいものです。このページでは、不妊症が心配な人や、不妊症と診断された人に多い悩みをまとめています。当てはまる人は参考にしてみてください。

1. 男性不妊になりやすい人はいるのか

男性不妊症の原因は、「こちらのページ」にあるように、いくつか存在します。該当するものがある人は、ない人に比べて男性不妊症になりやすいと考えられます。例えば、小さな頃に精巣の病気や鼠径ヘルニアで手術をした人は精巣を運ぶ管が狭くなっていることがあり、不妊症が起こります。また、糖尿病がある人も、勃起障害や射精障害を起こしやすく男性不妊症になるリスクが高いと言えます。

2. 男性不妊はセルフチェックできるのか

不妊症の定義は「不妊症とは避妊しない性行為を1年以上しているにも関わらず妊娠にいたらないこと」です。不妊症の半数は男性側に要因があると考えられていますが、セルフチェックする方法は確立されてはいません。男性不妊症かどうか を確かめるためには、不妊症の専門外来で相談してください。

3. 男性不妊症の人に自覚症状はあるのか

男性不妊症の人に特有の症状はありません。自己判断は難しいので、男性不妊症が心配な人はまず専門外来で相談してみてください。

4. 男性不妊症が心配な人は受診するべきか

男性不妊症が心配な人は医療機関で相談してください。男性不妊症に当てはまる人でも、性交を続けると自然妊娠に至ることはありますが、医療機関を受診すると、適切な検査や治療を提示してくれます。また、不妊症の悩みはカップルだけでかかえこみがちですが、お医者さんに相談すると心の負担が和らぐことも期待できます。

5. 男性不妊症の検査費用はどれくらいか

不妊症の治療や検査には健康保険が適応されるものもあれば、自由診療で行うものもあります。そのため、費用は受診する医療機関によって異なる可能性があります。費用についてはウェブサイトを閲覧したり、電話で問い合わせてみてください。

6. 男性不妊症の人のパートナーは自然妊娠できるのか

男性不妊症の原因は多様で、治療によって自然妊娠ができる場合もあればできない場合もあります。例えば、EDによって十分に性交ができない人であれば、ED治療薬を使うことで性交がうまくいき、自然妊娠できることもあります。一方で、精子がもともと少ない人の場合は自然妊娠が難しく、人工受精が必要になりやすいです。

7. 生殖補助医療技術での手術(精巣精子回収術:Testicular Sperm EXtraction)はどんなものなのか

原因がみつかり治療してもなかなか妊娠にいたらない場合は、生殖補助医療技術の活用が検討されます。生殖補助医療技術では、手術によって精巣から取り出した精子を卵子に受精させます。精子は陰嚢に切開を入れて、精巣から直接取り出されます。

手術には入院が必要なのか

多くの医療機関では、日帰りで手術が行われているので、入院する必要ありません。また、手術といっても大きな傷ができるわけではないので、当日から普段どおりの生活が可能です。ただし、入浴や、自転車・バイクの運転など避けたほうがいい行為もあるので、お医者さんの話をよく聞いて守ってください。

手術で起こりうる合併症について

手術や検査にともなって起こる身体への悪影響を合併症と言います。必ず起こるものではありませんが、一定の確率で起こります。生殖補助医療技術での手術で気をつけてほしい合併症は、「傷口への感染」と「出血」です。

手術は小さな傷で済むとはいえ、傷から細菌が入り込んで感染することがあります。感染すると傷口が赤みを帯びたり、痛みが強くなります。また、手術に伴う出血は手術中にすべて止められますが、術後に再び出血することもまれながらあり、その場合は止血の処置が必要になります。出血をすると、傷口から血液が滲んだり、陰嚢が腫れ上がったりします。 合併症が疑われる徴候が見られた場合は、手術を受けた医療機関に連絡をして、対応について確認してください。

8. 人工授精や生殖補助医療の治療にはどれくらいの費用が必要なのか

検査と同様、不妊症の治療は健康保険が適用されるものもあれば自由診療のものもあります。ですので、医療機関によって料金が異なる可能性があります。治療費をあらかじめ知っておきたい人は医療機関のウェブサイトを調べたり、直接電話で問い合わせてみてください。
詳しい内容については「厚生労働省のwebサイト」などで確認してください。

参考文献

・「標準泌尿器科学」、(赤座英之/監)、医学書院、2014
・「泌尿器科診療ガイド」(勝岡洋治/編)、金芳堂、2011