たんどうがん
胆道がん
胆道に発生する悪性腫瘍(胆管がん、胆のうがん、乳頭部がん)の総称
6人の医師がチェック 167回の改訂 最終更新: 2022.10.17

胆道がんの生存率:ステージと生存率(余命)との関係

胆道がんのステージは大きく4つに分けます。胆道がんは発生する場所で治療の方法が違います。このためにできた場所ごとにステージの決め方も異なります。ステージは適切な治療法を選ぶことなどについて役に立ちます。

1. 胆道がんは場所によって違う?

胆道は胆汁(たんじゅう)が流れる管です。胆道は以下のように分類されます。

  • 肝内胆管
  • 肝外胆管
    • 肝門部領域胆管
      • 肝門部胆管
      • 上部胆管
    • 遠位胆管
      • 中部胆管
      • 下部胆管
    • 十二指腸乳頭部
  • 胆のう

胆道は多くの臓器に囲まれています。また胆道の壁は薄いので、胆道にがんができると周りの臓器に浸潤(しんじゅん)しやすくなります。浸潤とはがん細胞が隣り合った組織に入り込むようにして広がっていくことです。

胆道がんはできた場所で手術の方法が異なり生存率も違うことが知られています。

この章では胆道がんを肝内胆管がん、肝門部領域胆管がん、遠位(中部・下部)胆管がん、十二指腸乳頭部がん、胆のうがんの5つに分けて、それぞれのステージと生存率について解説します。当てはまると思うところから読み始めれば十分です。

2. ステージはなんのためにある?

ステージを決める目的はいくつかあります。

  • 治療の計画を立てるのに役にたつ
  • 生存率についての目安になる
  • 治療施設間の情報交換を簡単にする

ステージを決めるためにいくつかの検査が行われます。がんの疑いの段階でもがんと診断がついていても検査の連続で負担に感じることがあると思います。ステージを決めるのは患者さんにとって大事なことです。ステージを決めることで最適な治療法を選ぶことができます。ステージごとに推奨される治療は過去の治療結果にもとづいて決められています。過去の実績を参考にすることで最適な治療を選べます。

またステージから生存率をある程度推測することができます。後述するように生存率からは一人一人の経過を正確に予想できないのですが、推測する材料にはなります。

がんの治療を進めていく中で病院を変わることは珍しいことではありません。そのときにはステージという共通した分類があることで施設間での情報のやり取りがスムーズにいきます。

3. ステージはどうやって決めるのか?

ステージを決めるためにはいくつかの検査をつかいます。検査はCT検査に代表される画像検査などを中心にします。判断が難しいときにはいくつかの検査を総合して判断することもあります。各検査の特徴については「胆道がんの検査は?CT検査で判断できる?」で解説しています。

検査によって得られた情報をもとにしてがんのいわばルールブックである「UICC-TNM分類」や「胆道癌取扱規約」を使ってステージを決めます。日本では「胆道癌取扱規約」を使って治療を組み立てることが多いです。こまかな基準については後述しています。

4. 生存率などをみるときに注意することは?

がんと診断され、ステージが決まった後にはどうしてもその生存率が気になると思います。生存率はあくまでも参考程度にとどめる方がよいと思います。理由をいくつか説明します。

生存率は過去の治療成績

統計の問題上、私達が今知ることができる生存率はあくまでも過去の治療実績に基づくものです。つまり今現在の治療による生存率は知ることはできません。がんの治療は日々進歩しています。現在の治療は今知ることができる生存率を上回ることもあります。

がんにも個人差がある

一人ひとりの顔が違うようにがんの状態も一人ひとりで違います。生存率もそれぞれで異なります。生存率は参考にこそなれど絶対ではありません。大事なことは自分の状態に向き合い日々の生活や治療に前向きに取り組んでいくことです。

ステージは時代によって変わるもの

ステージは「UICC-TNM分類」もしくは「胆道癌取扱規約」によって決めます。「UICC-TNM分類」は国際的な基準で、「胆道癌取扱規約」は日本の学会などが中心になって作成した基準です。日本では「胆道癌取扱規約」を使うことが多いです。

「UICC-TNM分類」、「胆道癌取扱規約」ともに数年毎に改定されます。このために以前の分類方法ではステージIIだった人が今の基準では他のステージに分類されたりすることもありえます。

日本では、「胆道癌取扱規約 第6版」を使ってステージを決めて治療方針を組み立てています。一方で今知ることのできる生存率は「胆道癌取扱規約 第5版」を使ってきめたステージの治療結果です。

5. 肝内胆管がんのステージはどう決める?

肝内胆管がんのステージはステージIからステージIVに大きく分けられます。ステージIVはさらにステージIVaとステージIVbに分かれます。ステージはT因子(肝臓でのがんの状態)、N因子(リンパ節転移の有無)、M因子(遠隔転移の有無)の3つの組み合わせから決められます。以下が対応した表になります。

ステージ T因子 N因子 M因子
I T1 N0 M0
II T2 N0 M0
III T3 N0 M0
IVa T4 N0 M0
T1-4 N1 M0
IVb T1-4 N0-1 M1

以下ではそれぞれについて解説します。

少し複雑な話なのですが、肝内胆管がんは肝内胆管の上皮ががん化します。肝内胆管は胆道の一部なので胆道がんに分類されます。肝内胆管がん胆管細胞がんとも言います。その一方で、肝内胆管は肝臓の中にある胆管なので肝臓がんの一つの種類として分類することもあります。このため肝内胆管がんのステージの決め方は「原発性肝癌取扱規約 第6版」を使います。

「原発性肝癌取扱規約 第6版」では肝内胆管がんのステージを定める場合に条件をつけています。当てはまらない場合はステージ分類はしません。

ステージを定める条件は、肝内胆管がんの中でも腫瘤形成型というタイプのものか、いくつかのタイプが入り交じる混合型であって腫瘤形成型が多くを占めるもののどちらかに当たることです。

T因子

TはTumor(腫瘍)の頭文字です。肝臓でのの状態を示しています。肝内胆管がん胆管細胞がん)のT因子は以下の5つの項目から決められます。以下はやや専門的な内容になります。

  • 胆管細胞癌のタイプ 
    • 胆管浸潤型 
    • 腫瘤形成型 
    • 胆管内発育型 
  • 門脈侵襲
    • vp0:門脈侵襲なし 
    • vp1:3次分枝まで侵襲
    • vp2:2次分枝まで侵襲 
    • vp3:1次分枝まで侵襲 
    • vp4:本幹まで侵襲 
  • 肝動脈侵襲
    • va0:肝静脈に侵襲なし
    • va1:肝動脈末梢枝まで侵襲 
    • va2:肝動脈2次分枝まで侵襲 
    • va3:左右肝動脈、固有肝動脈に侵襲
  • 主要胆管浸潤
    • b0:肝内胆管に侵襲・腫瘍栓を認めない 
    • b1:胆管二次分枝より肝側(二次分枝を含めない)に侵襲・腫瘍栓を認める 
    • b2:胆管二次分枝に侵襲・腫瘍栓を認める 
    • b3:胆管一次分枝に侵襲・腫瘍栓を認める 
    • b4:総肝管に侵襲・腫瘍栓を認める  
  • 個数 
    • 単発:1個 
    • 多発:2個以上 
  • 腫瘍最大径 
    • 2cm以下 
    • 2cmを超える

肝内胆管がんはCT検査などの画像検査が重要です。がんの形によりタイプの分類をします。肝臓には周りを覆う漿膜(しょうまく)という膜があります。肝内胆管がんが漿膜に達しているかを評価します。

また門脈、肝動脈という肝臓の中を流れる血管にがんがどれほど達しているか、胆管への浸潤、がんの個数、大きさが重要です。

5つの項目をそれぞれ評価してT因子を決定します。T因子の決定には以下の表を用います。

  単発 多発
最大径≦2cm 2cm<最大径 最大径≦2cm 2cm<最大径
血管侵襲なし (vp0かつva0) かつ 主要胆管浸潤なし(b0-b2) のすべてに該当 T1 T2 T2 T3
血管侵襲あり (vp1-vp4またはva1-va3) または 主要胆管浸潤あり (b3-b4) のいずれかに該当 T2 T3 T3 T4

参考文献:日本肝癌研究会/編, 原発性肝癌取扱い規約 第6版, 金原出版

N因子

Nはリンパ節(lymph node)を指すNodeの頭文字です。N因子はリンパ節転移の程度を評価したものです。肝臓の近くのリンパ節を所属リンパ節といいます。ここでのリンパ節転移は所属リンパ節への転移をさします。所属リンパ節以外のリンパ節への転移は遠隔転移に入ります。

がんは時間とともに徐々に大きくなり、リンパ管の壁を破壊し侵入していきます。リンパ管は全身で網の目のようなつながり(リンパ網)を作っています。

リンパ網にはところどころにリンパ節という関所があります。リンパ管に侵入したがん細胞はリンパ節で一時的にせき止められます。がん細胞がリンパ節に定着して増殖している状態がリンパ節転移です。

  • N0:リンパ節転移を認めない
  • N1:リンパ節転移を認める

M因子

MはMetastasis(転移)の頭文字です。遠隔転移を評価します。肝臓から離れた臓器に肝内胆管がんが転移することを遠隔転移と言います。所属リンパ節転移は遠隔転移とは言いません。「転移」という言葉は、遠隔転移を指し所属リンパ節転移は除くという意味で使われている場合があります。

  • M0:遠隔転移を認める
  • M1:遠隔転移を認めない

6. 肝内胆管がんの生存率は?

肝内胆管がんは胆管上皮から発生するがんなので胆道がんの一部です。しかし生存率などの集計をする際には肝臓がんに分類されます。あくまでも統計の取りかたの問題です。「第20回全国原発性肝癌追跡調査報告」を参照して解説します。1998年から2009年の間に診断された4,436人の治療結果はいくつかの方法で分類されています。ステージで分類した生存率は「第20回全国原発性肝癌追跡調査報告」には記載がありません。ステージ毎の生存率を紹介する代わりとして「手術をしたかしなかったか」に注目して生存率を紹介します。

参考文献:日本肝癌研究会追跡調査委員会, 第20回全国原発性肝癌追跡調査報告. 肝臓, 60巻 (2019) 8号, 258-293

手術をしたかしないかで分けた場合の生存率

肝内胆管がんを根治するには手術が有力な方法と考えられています。手術ができるかどうかは非常に重要です。ここでいう手術は肝臓を切除する肝切除になります。

累積生存率は1998-2009年に診断された人の治療結果になります。

  1年累積生存率 5年累積生存率 10年累積生存率
手術あり 78.5% 41.9% 28.6%
手術なし 71.5% 37.1% 12.7%

肝内胆管がんの累積生存率は上の表になります。手術をした場合の生存率が高い結果になっています。注意が必要なのは、手術なしの人の中には「手術ができなかった人」が含まれていることです。

肝内胆管がんでは離れた臓器や所属リンパ節以外のリンパ節に転移(遠隔転移)がある場合は根治を目的とした手術をすることはありません。遠隔転移がある場合は全身にがんがまだ目には見えないほどの小さな転移をしていると考えられます。全身をカバーできる抗がん剤による治療の方が手術より効果が高いと考えられます。

7. 肝門部胆管がんのステージはどう決める?

肝門部胆管がんのステージはステージIからステージIVの4つ大きく分けられます。ステージはT因子(胆管でのがんの状態)、N因子(リンパ節転移の有無)、M因子(遠隔転移の有無)の3つの組み合わせから決められます。以下が対応した表になります。

  T因子 N因子 M因子
ステージ 0 Tis N0 M0
ステージ I T1 No M0
ステージ II T2 No M0
ステージ IIIA T3 N0 M0
ステージ IIIB T1、T2、T3 N1 M0
ステージ IVA T4 Any N M0
ステージ IVB Any T Any N M1

参照:胆道癌取扱い規約 第6版

T因子

TはTumor(腫瘍)の頭文字です。胆管でのがんの状態を示しています。肝門部胆管がんのT因子は胆管の壁や周りの臓器への浸潤の程度で決まります。肝門部胆管がんはCT検査やMRI検査などによる画像検査などが重要です。

  • TX:腫瘍評価不能
  • Tis:carcinoma in situ
  • T0:腫瘍が明らかではない
  • T1a:癌の局在が粘膜層にとどまるもの
  • T1b:癌の局在が線維筋層にとどまるもの
  • T2a:胆管壁を超えるが他臓器への浸潤なし
  • T2b:肝実質浸潤を認める
  • T3:胆管浸潤有意側の門脈あるいは肝動脈浸潤
  • T4a:浸潤が両側肝内胆管二次分岐に及ぶ
  • T4b:以下のいずれか
    • 門脈本幹あるいは左右分岐部への浸潤
    • 左右肝動脈、固有肝動脈、総肝動脈浸潤
    • 浸潤が片側肝内胆管二次分枝に及び対側の門脈あるいは肝動脈へ浸潤する

N因子

Nはリンパ節(lymph node)を指すNodeの頭文字です。N因子はリンパ節転移の程度を評価したものです。肝門部の近くのリンパ節を領域リンパ節といいます。ここでのリンパ節転移は領域リンパ節への転移をさします。領域リンパ節以外のリンパ節転移は遠隔転移に入ります。

  • NX:評価不能
  • N0:領域リンパ節転移なし
  • N1:領域リンパ節転移あり

リンパ節転移とは?

がんは時間とともに徐々に大きくなり、リンパ管の壁を破壊し侵入していきます。リンパ管は全身で網の目のようなつながり(リンパ網)を作っています。

リンパ網にはところどころにリンパ節という関所があります。リンパ管に侵入したがん細胞はリンパ節で一時的にせき止められます。がん細胞がリンパ節に定着して増殖している状態がリンパ節転移です。

M因子

MはMetastasis(転移)の頭文字です。遠隔転移を評価します。肝門部胆管から離れた臓器に胆管がんが転移することを遠隔転移と言います。領域リンパ節転移は遠隔転移とはいいません。臨床現場において「転移」という言葉は、遠隔転移を指して領域リンパ節転移は除くという意味で使われている場合があります。

  • M0:遠隔転移なし
  • M1:遠隔転移あり

8. 肝門部胆管がんの生存率は?

肝門部胆管がんの生存率はステージIVが2つに分けられて集計されています。このステージは今のステージの決め方とは違う古い決め方によるものです。上のステージと対応していないので参考程度にしてください。

この生存率は手術をした人々の最終的なステージにおける生存率です。手術の前と最終的なステージは異なることがあります。つまり、手術をすることでがんの広がりなどが明らかになる場合があるので、手術前のステージと最終的なステージは区別する必要があります。

このため、下の表からは手術をしなかった場合の生存率について知ることができない点に注意が必要です。

  5年生存率
ステージI 69.8%
ステージII 43.3%
ステージIII 30.5%
ステージIVa 22.3%
ステージIVb 7.2%

参考文献:J Hepatobiliary Pancreat Surg.2009:16;1-7

9. 遠位(中部・下部)胆管がんのステージはどう決める?

遠位(中部・下部)胆管がんのステージはステージIからステージIVの4つに大きく分けられます。さらに細かくステージIはIAとIBに、ステージIIはIIAとIIBに分かれます。

ステージはT因子(胆道でのがんの状態)、N因子(リンパ節転移の有無)、M因子(遠隔転移の有無)の3つの組み合わせから決められます。以下が対応した表になります。

  T因子 N因子 M因子
ステージ 0 Tis N0 M0
ステージ IA T1 N0 M0
ステージ IB T2 N0 M0
ステージ IIA T3 N0 M0
ステージ IIB T1、T2、T3 N1 M0
ステージ III T4 Any N M0
ステージ IV Any T Any N M1

参考文献:日本肝胆膵外科学会/編, 胆道癌取扱い規約 第6版, 金原出版, 2013

T因子

TはTumor(腫瘍)の頭文字です。胆管でのがんの状態を示しています。遠位胆管がんのT因子は胆管壁や周りの臓器への浸潤の程度で決まります。遠位胆管がんはCT検査やMRI検査などによる画像検査などが重要です。

  • TX:腫瘍評価不能
  • T0:腫瘍が明らかではない
  • Tis:carcinoma in situ
  • T1a:癌の局在が粘膜層にとどまるもの
  • T1b:癌の局在が線維筋層にとどまるもの
  • T2:胆管壁を超えるが他臓器への浸潤なし
  • T3a:胆嚢、肝臓、膵臓、十二指腸、他の周囲臓器浸潤
  • T3b:門脈本幹、上腸間膜静脈、下大静脈等の血管浸潤
  • T4:総肝動脈浸潤、腹腔動脈浸潤、上腸間膜動脈浸潤

N因子

Nはリンパ節(lymph node)を指すNodeの頭文字です。N因子はリンパ節転移の程度を評価したものです。肝門部の近くのリンパ節を領域リンパ節といいます。ここでのリンパ節転移は領域リンパ節への転移をさします。領域リンパ節以外の転移は遠隔転移に入ります。

  • NX:評価不能
  • N0:領域リンパ節転移なし
  • N1:領域リンパ節転移あり

リンパ節転移とは?

がんは時間とともに徐々に大きくなり、リンパ管の壁を破壊し侵入していきます。リンパ管は全身で網の目のようなつながり(リンパ網)を作っています。

リンパ網にはところどころにリンパ節という関所があります。リンパ管に侵入したがん細胞はリンパ節で一時的にせき止められます。がん細胞がリンパ節に定着して増殖している状態がリンパ節転移です。

M因子

MはMetastasis(転移)の頭文字です。遠隔転移を評価します。遠位胆管から離れた臓器に胆管がんが転移することを遠隔転移と言います。領域リンパ節転移は遠隔転移とはいいません。臨床現場において「転移」という言葉は、遠隔転移を指して領域リンパ節は除くという意味で使われている場合があります。

  • M0:遠隔転移なし
  • M1:遠隔転移あり

10. 遠位(中部・下部)胆管がんの生存率は?

遠位(中部・下部)胆管がんの生存率はステージIVがIVaとIVbの2つに分けられて集計されています。このステージは今のステージの決め方の一つ前の決め方で定められたものなので上のステージと対応していません。数字は参考程度にしてください。

この生存率は手術をした人々の最終的なステージにおける生存率になります。最終的なステージは手術の前と異なることがあります。手術をしなかった場合の生存率については知ることができない点にも注意が必要です。

  5年生存率
ステージI 59.3%
ステージII 39.3%
ステージIII 32.6%
ステージIVa 29.6%
ステージIVb 9.7%

参考文献:J Hepatobiliary Pancreat Surg.2009:16;1-7

11. 十二指腸乳頭部がんのステージはどう決める?

十二指腸乳頭部がんのステージはステージIからステージIVの4つに大きく分けられます。ステージIはIAとIB、ステージIIはIIAとIIBに分かれます。ステージはT因子(胆道でのがんの状態)、N因子(リンパ節転移の有無)、M因子(遠隔転移の有無)の3つの組み合わせから決められます。以下が対応した表になります。

  T因子 N因子 M因子
ステージ 0 Tis N0 M0
ステージ IA T1 N0 M0
ステージ IB T2 N0 M0
ステージ IIA T3 N0 M0
ステージ IIB T1、T2、T3 N1 M0
ステージ III T4 Any N M0
ステージ IV Any T Any N M1

参考文献:日本肝胆膵外科学会/編, 胆道癌取扱い規約 第6版, 金原出版, 2013

 

T因子

TはTumor(腫瘍)の頭文字です。乳頭部がんの状態を示しています。乳頭部がんのT因子は乳頭部がんの周りの臓器に対する浸潤の程度で決まります。乳頭部がんはCT検査やMRI検査などによる画像検査などが重要です。

  • TX:腫瘍評価不能
  • T0:腫瘍が明らかではない
  • Tis:carcinoma in situ
  • T1a:乳頭部粘膜内にとどまる
  • T1b:Oddi筋に達する
  • T2:十二指腸浸潤
  • T3a:5mm以内の膵実質浸潤
  • T3b:5mmを超えた膵実質浸潤
  • T4:膵を超える浸潤あるいは周囲臓器浸潤

N因子

Nはリンパ節(lymph node)を指すNodeの頭文字です。N因子はリンパ節転移の程度を評価したものです。乳頭部近くのリンパ節を領域リンパ節といいます。ここでのリンパ節転移は領域リンパ節への転移をさします。領域リンパ節以外の転移は遠隔転移に入ります。

  • NX:評価不能
  • N0:領域リンパ節転移なし
  • N1:領域リンパ節あり

リンパ節転移とは?

がんは時間とともに徐々に大きくなり、リンパ管の壁を破壊し侵入していきます。リンパ管は全身で網の目のようなつながり(リンパ網)を作っています。

リンパ網にはところどころにリンパ節という関所があります。リンパ管に侵入したがん細胞はリンパ節で一時的にせき止められます。がん細胞がリンパ節に定着して増殖している状態がリンパ節転移です。

M因子

MはMetastasis(転移)の頭文字です。遠隔転移を評価します。乳頭部から離れた臓器に乳頭部がんが転移することを遠隔転移と言います。領域リンパ節転移は遠隔転移とはいいません。臨床現場において「転移」という言葉は、遠隔転移を指して領域リンパ節は除くという意味で使われている場合があります。

  • M0:遠隔転移なし
  • M1:遠隔転移あり

12. 十二指腸乳頭部がんの生存率は?

十二指腸乳頭部がんの生存率はステージIVが2つに分けられて集計されています。このステージは今のステージの決め方の一つ前の決め方で定められたものなので上のステージと対応していないので参考程度にしてください。

この生存率は手術をした人々の最終的なステージにおける生存率になります。最終的なステージは手術の前と異なることがあります。また、手術をしなかった場合の生存率については知ることができない点に注意が必要です。

  5年生存率
ステージI 82.9%
ステージII 66.8%
ステージIII 49.9%
ステージIVa 33.9%
ステージIVb 0%

十二指腸乳頭部がんのステージIVbの人の5年生存率は0%となっています。かなり厳しい数字だと思います。

この統計は手術をした人に限って集められたものです。ステージIVbとわかっている人には通常は手術をせずに抗がん剤治療などが選ばれます。ただし、手術前には予想できなかった転移が手術中に見つかったり手術後の検査で他の臓器に転移をしていたりしたことが指摘された人たちでは、手術後にステージIVbと判定されることになります。

またこの統計でステージIVbの人は54人と、生存率を推定するには少ない人数でした。そのために0%といっても偶然の要素が含まれている可能性もあります。現実の一人一人の経過を統計から正確に予想するのは困難です。

参考文献:J Hepatobiliary Pancreat Surg.2009:16;1-7

13. 胆のうがんのステージはどう決める?

胆のうがんのステージはステージIからステージIVの4つに大きく分けられます。ステージIIIはIIIAとIIIBに、ステージIVはIVAとIVBに分かれます。

ステージはT因子(胆のうでのがんの状態)、N因子(リンパ節転移の有無)、M因子(遠隔転移の有無)の3つの組み合わせから決められます。以下が対応した表になります。

  T因子 N因子 M因子
ステージ 0 Tis N0 M0
ステージ I T1 N0 M0
ステージ II T2 N0 M0
ステージ IIIA T3 N0 M0
ステージ IIIB T1、T2、T3 N1 M0
ステージ IVA T4 Any N M0
ステージ IVB Any T Any N M1

参考文献:日本肝胆膵外科学会/編, 胆道癌取扱い規約 第6版, 金原出版, 2013

 

T因子

TはTumor(腫瘍)の頭文字です。胆管でのがんの状態を示しています。肝門部胆管がんのT因子は胆のうの壁や周りの臓器への浸潤の程度で決まります。肝門部胆管がんはCT検査やMRI検査などによる画像検査などが重要です。

  • TX:腫瘍評価不能
  • T0:腫瘍が明らかではない
  • Tis:carcinoma in situ
  • T1a:粘膜固有層への浸潤
  • T1b:固有筋層への浸潤
  • T2:漿膜下層あるいは胆嚢床部筋層周囲の結合織に浸潤
  • T3a:漿膜浸潤、肝実質浸潤および/または一か所の周囲臓器浸潤(胃、十二指腸、大腸、膵臓、大網)
  • T3b:肝外胆管浸潤
  • T4a:肝臓以外の二か所以上の周囲臓器浸潤(肝外胆管、胃、十二指腸、大腸、膵臓、大網)
  • T4b:門脈本幹あるいは総肝動脈・固有肝動脈浸潤

N因子

Nはリンパ節(lymph node)を指すNodeの頭文字です。N因子はリンパ節転移の程度を評価したものです。肝門部の近くのリンパ節を領域リンパ節といいます。ここでのリンパ節転移は領域リンパ節への転移をさします。領域リンパ節以外の転移は遠隔転移に入ります。

  • NX:評価不能
  • N0:領域リンパ節転移なし
  • N1:領域リンパ節あり

リンパ節転移とは?

がんは時間とともに徐々に大きくなり、リンパ管の壁を破壊し侵入していきます。リンパ管は全身で網の目のようなつながり(リンパ網)を作っています。

リンパ網にはところどころにリンパ節という関所があります。リンパ管に侵入したがん細胞はリンパ節で一時的にせき止められます。がん細胞がリンパ節に定着して増殖している状態がリンパ節転移です。

M因子

MはMetastasis(転移)の頭文字です。遠隔転移を評価します。胆のうから離れた臓器に胆のうがんが転移することを遠隔転移と言います。領域リンパ節転移は遠隔転移とはいいません。臨床現場において「転移」という言葉は、遠隔転移を指して領域リンパ節は除くという意味で使われている場合があります。

  • M0:遠隔転移なし
  • M1:遠隔転移あり

14. 胆のうがんの生存率は?

胆のうがんの生存率はステージIVが2つに分けられて集計されています。このステージは今のステージの決め方の一つ前の決め方で定められたものなので上のステージと対応していません。数字は参考程度にしてください。

この生存率は手術をした人々の最終的なステージにおける生存率になります。手術の前と最終的なステージは異なることがあります。また手術をしなかった場合の生存率については知ることができない点に注意が必要です。

  5年生存率
ステージI 87.5%
ステージII 68.7%
ステージIII 41.8%
ステージIVa 22.3%
ステージIVb 6.3%

参考文献:J Hepatobiliary Pancreat Surg.2009:16;1-7

15. 実は全然違う「グループ」と「ステージ」の違いは?

胆道がんの検査をしていく中で「グループ」という言葉を医師から聞くことがあるかもしれません。少し似ている所があるので間違いやすいのですが、ステージとグループは全く異なります。

グループとは?

病理診断は胆道にできた腫瘍性病変から組織や細胞を取ってきてそれが悪性かどうかを判定する方法です。グループはグループI(1)からグループV(5)に分けることが一般的です。グループVは悪性腫瘍、つまり胆道がんを意味します。

ステージとは?

ステージはがんの進行度を表したものになります。ステージはCT検査などのいくつかの検査結果をもとにしてがんの進行度を表したものです。ステージはI(1)からステージIV(4)に大きく分けられます。さらにそこから細かく分ける場合もあります。例としてはステージIIIをステージIIIAとステージIIIBに分けるといったことがあります。

グループとステージの違いは?

グループとステージの違いについて整理します。

  • ステージはがんの進行度をIからIVまでに分けたもの
  • グループは病理検査でがんかそうでないかの可能性を5段階で分けたもの

グループV(5)はがんが検出されたことを意味します。グループIVはがんではない可能性もまだ残っています。グループIVと言われても「末期がんに違いない」と思う必要はありません。

ステージとグループは全く異なるものです。色々な説明を聞いていくうちにどちらのことを指しているのかわからなくなるかもしれません。そのときには、その都度聞きづらいかもしれませんが、受けている説明を止めてどちらの話をしているのかを質問してください。

16. 症状でステージはわかる?

症状でステージを正確に知ることは難しいです。症状は同じ病気にかかった人のすべてに現れるものではありません。このために症状とステージを対応させることは難しいです。

ステージはどうやって決めるのか?

がんのステージは「がんができた臓器での状態」、「リンパ節転移の状態」、「遠隔転移の有無」の3つの組合わせで決めることが多いです。ステージを決めるにあたり症状は関係がありません。胆道がんのステージは大きく4つに分けます。

ステージを決める目的は?

ステージを決めることは適切な治療方法を選ぶことなどに役に立ちます。ステージのもう1つの使われ方としては生存率などを推定することができます。

症状は生存率には関係がないのか?

症状がきっかけでがんが発見されると「症状がなくてがんが発見された場合」より進行しているのではと心配になると思います。

胆道がんは黄疸がない方が生存率が長いという報告もある一方で関係がないとする報告もあります。がんの進行と症状は必ずしも一致しないので無症状のうちにステージIVと診断されることもあれば黄疸などの症状があってもステージIと診断されることはあります。

症状がきっかけでみつかったからその後の治療が必ずしも難しい訳ではありません。まずは医師から説明された自分の状況をしっかりと理解して治療などに気持ちを切り替えていくことが大事です。

参考文献
Arch Surg.2009;144:441-447.
J Clin Gastroenterol.2006;40:162-166.
World J Surg.2005;29:519-523

17. 胆道がんのステージIVは末期がんか?

ステージIVは胆道がんのステージ分類では最も進行した段階に当たりますが、ステージIVだからといって「末期がん」とは限りません。ステージIVと診断された場合、「末期がん」を思い浮かべてしまうかもしれません。しかしながらそれは正確とは言えません。

胆道がんのステージIVはどんな状態か?

胆道がんはできた場所によりステージの決め方が異なります。できた場所によってはステージ IVが2つに分けられている場合もあります。ステージIVはがんの周りへの広がり方が激しくて手術が難しいと考えられる場合、もしくは遠隔転移がある場合です。遠隔転移とは領域リンパ節(所属リンパ節)以外のリンパ節転移もしくは他の臓器への転移です。

胆道がんのステージIVは手術できない?

ステージIVでも残された治療は多くあります。局所への浸潤が激しい場合でも周りの臓器とともに切除をすることで治療が可能な場合があります。

遠隔転移がある場合は手術より抗がん剤治療が優先されます。

胆道がんのステージIVの生存率は?

胆道がんのステージIVでもできた場所によって生存率は異なります。胆道がんは肝内胆管がん、肝門部領域胆管がん、遠位(中部・下部)胆管がん、十二指腸乳頭部がん、胆のうがんの5つの総称です。

統計の関係で肝内胆管がんのステージIVの生存率を知ることはできません。肝内胆管がんを除いた他の部位のがんの5年生存率は以下のようになります。

  肝門部領域胆管がん 遠位胆管がん 十二指腸乳頭部がん 胆のうがん
ステージ IVa 22.3% 29.6% 33.9% 22.3%
ステージ IVb 7.2% 9.7% 0% 6.3%

参考文献:J Hepatobiliary Pancreat Surg. 2009:16;1-7

ここに示された生存率は手術をした人々の治療結果です。手術しなかった場合については同様の統計がありません。またこのときのステージと現在のステージの分類の方法は変更されている点にも注意が必要です。

ステージIVaの人は所属リンパ節に転移があるまたはがんの広がりが激しい場合です。この場合は手術によって根治も望めます。根治とは体からがんを残さず取り除くことです。

一方でステージIVbは遠隔転移がある場合です。遠隔転移は所属リンパ節以外のリンパ節に転移があったり他の臓器に転移していることです。

生存率はあくまでも参考程度にすることをお勧めします。このページの序盤で解説している「生存率をみるときに注意すること」を参考にしてください。

胆道がんの末期はどんな状態?

「末期がん」はどんな状態でしょうか。

末期がんには定義がありません。一般的なイメージをふまえて考えてみることにします。末期というと余命がかなり限られていることが明らかな状態だと考えられます。そこで、ここで言う「末期」は抗がん剤による治療も行えない場合、もしくは抗がん剤などの治療が効果を失っている状態で、日常生活をベッド上で過ごすような状況を指すことにします。

胆道がんの末期は、すでにいくつかの臓器に転移があったりする段階です。胆道がんは肺、肝、骨などに転移し、体に影響を及ぼします。このような状況では、以下のような症状が目立つ悪液質(カヘキシア)と呼ばれる状態が引き起こされます。

  • 常に倦怠感につきまとわれる
  • 食欲がなくなり、食べたとしても体重が減っていく
  • 身体のむくみがひどくなる
  • 意識がうとうとする

悪液質は身体の栄養ががんに奪われ、点滴で栄養を補給しても身体がうまく利用できない状態です。気持ちの面でも、思うようにならない身体に対して不安が強くなり、苦痛が増強します。

末期の症状は抗がん剤などでなくすことができません。緩和医療で症状を和らげることが重要です。また不安を少しでも取り除くために、できるだけ過ごしやすい環境を作ることも大事です。