かふんしょう
花粉症
植物の花粉に対するアレルギー反応。症状として、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどの症状が起こる。
12人の医師がチェック 277回の改訂 最終更新: 2026.03.05

花粉症の検査:問診、視診、原因となる花粉の種類を調べる

外に出ると鼻水や鼻づまりが悪化したり、目がかゆくなったりしたら、花粉症の心配する人がいるかもしれません。また、どの診療科を受診したら良いか迷ってしまう人もいると思います。このページでは、受診に適した診療科や花粉症の診断の方法について詳しく説明します。

1. 花粉症の相談をしたい時は何科を受診すれば良いか

花粉症かもしれないと思った人は、症状が強く出ている部位の専門科に受診すると良いです。例えば、鼻詰まりや鼻水がつらい人は耳鼻科を受診するといった具合です。

【症状別の受診科】

  • 鼻づまり・鼻汁・鼻のかゆみが強い:耳鼻科
  • 目のかゆみ・目やにがある:眼科
  • 皮膚のかゆみ・皮膚の赤みが強い:皮膚科
  • だるさ(倦怠感)が強い・咳が続く・ほかの病気との区別が必要:内科
  • 子どもに症状がある:小児科

複数の症状があって迷う場合や、近くにある診療科が限られている場合は、上記のいずれかを受診すれば必要に応じて診察・治療が可能です。必要があれば、適切な専門科に紹介してもらえます。

なお、花粉症の検査(血液検査による特異的IgE抗体など)は、大きな病院でなくても近くのクリニックで行えることがあります。希望する検査がある場合は、受診前に対応しているか問い合わせておくと安心です。

2. 花粉症の診断基準

花粉症はアレルギー性鼻炎に含まれます。アレルギー性鼻炎のうち、原因が花粉であるものを花粉症といいます。アレルギー性鼻炎は鼻の過敏症状を主体とする病気で、発作性・反復性のくしゃみ、水様性鼻漏(サラサラした鼻水)、鼻づまりといった症状がみられます。以下に、日本の『鼻アレルギー診療ガイドライン』におけるアレルギー性鼻炎の診断基準を示します。

<診断基準>

  • 鼻の過敏症状がある:くしゃみ、水様性鼻漏(水のようなサラサラした鼻水)、鼻づまり
  • 以下の条件のうち2つ以上が陽性
    1. 皮内反応または、スクラッチテストまたは、血清中抗原特異的IgEが陽性
    2. 鼻汁中好酸球が陽性
    3. 抗原誘発反応が陽性(ただし、誘発反応の抗原は現在はブタクサとハウスダストのみしかない)
  • 補足)上記が1つのみ陽性の場合でも、鼻の過敏症状が典型的であり、アレルギー検査(鼻汁好酸球数、血中好酸球数、血中総IgE)が中等度以上であれば、診断してもよい

厳密な診断が必要な場合には、上記の診断基準に従って検査を行います。ただし実際の診療では、これらすべての検査を一通り行うことは多くなく、基本的には問診による症状の確認鼻粘膜所見から診断することがほとんどです。加えて、原因物質(アレルゲン)を調べることで、原因の回避などに役立ちます。

3. 問診:季節性の有無と症状

問診では、鼻や目のアレルギー症状が一年を通して続くのか、それとも一定の季節に集中して起こるのかを確認します。これにより、通年性アレルギー(例:ダニ・ハウスダスト)なのか、花粉症(季節性アレルギー)なのかを推定できます。

一般に、ダニやハウスダストが原因のアレルギーでは症状が一年中みられやすく、花粉症は原因となる花粉が飛散する時期に症状が強くなります。ただし、複数の花粉に反応する人では、症状の出る時期が長くなり、通年性のアレルギー性鼻炎結膜炎と区別がつきにくいこともあります。

また、スギ花粉の季節は、ウイルス上気道炎(いわゆる風邪)も流行しやすい時期です。鼻水や鼻づまりがあるときに、風邪なのか花粉症なのか判断しにくいことがあります。

区別のヒントとしては、花粉症では鼻症状に加えて目のかゆみなどの目の症状を伴いやすいことが挙げられます。鼻水の性状も参考になります。花粉症では水のようにサラサラした鼻水が多く、風邪では経過の中で粘り気が出たり、色がついたりすることがあります。

ただし、症状だけで正確に見分けることは難しい場合もあります。はっきりしないときや症状がつらいときは、医療機関で相談することをおすすめします。

4. 鼻汁や結膜の好酸球検査

鼻汁(鼻水)や結膜(目の表面)に、アレルギー性炎症で増えやすい好酸球がいるかを調べる検査です。花粉症(アレルギー性鼻炎結膜炎)を疑うときの補助検査として用いられます。

花粉症の症状が出ている時期に、鼻水や眼脂(目やに)で好酸球が確認できれば、アレルギーによる症状である可能性が高いと判断できます。

注意が必要な点としては、花粉が少ない時期や症状が軽いタイミングでは、好酸球が検出されず陰性になることがあり、そのため、1回の検査が陰性でも花粉症を否定できるとは限りません。症状の強い時期に再検査したり、特異的IgEなど他の検査と組み合わせて判断することがあります。

5. アレルギーがある花粉を調べる検査

花粉症では、原因アレルゲンが分かると「どの季節に注意すべきか」が整理でき、回避策や治療選択(舌下免疫療法の検討など)にも役立ちます。

アレルゲンを調べる代表的な方法は、皮膚テストと血清特異的IgE抗体検査(血液検査)です。症状や診察所見から医学的に必要と判断される場合、公的医療保険を使って診療を受けることができます。

検査結果の見方のポイント

これらの検査で知っておいてほしいことは、検査の陽性がアレルギーの発症を意味するとは限らないことです。
たとえばスギに対する特異的IgEが陽性でも、症状がなければ「感作はあるが発症はしていない状態」と考えることができます。検査陽性の場合は将来的に症状が出る可能性が相対的に高くなることがあり、季節ごとの対策に役立てることができるかもしれません。

また逆に、検査が陰性でも、症状や時期・状況から疑わしい場合には、他の原因や検査の限界も考慮して総合的に判断します。

皮膚テスト(皮内テスト、スクラッチテスト、プリックテスト)

皮膚テストは、前腕(ひじより先)などの皮膚で行い、アレルゲンに対する皮膚の反応を調べる検査です。
皮内に少量のアレルゲンを注射する皮内テスト、皮膚にアレルゲンを付けて針先で浅く刺激するスクラッチテストプリックテストなどがあります。

プリックテスト

メリットは、比較的費用が安く、短時間で結果が分かることです。
注意点として、針を使うため軽い痛みや不快感が出ることがあるほか、検査部位に一時的なかゆみ・腫れが起こることがあります。

また、抗ヒスタミン薬など一部のアレルギー薬は検査結果に影響するため、検査前に中止が必要になる場合があります。中止期間は薬の種類や施設の方針で異なるため、受診先の指示に従ってください。

血清特異的IgE抗体検査

血清特異的IgE抗体検査は、血液で特定のアレルゲンに反応するIgE抗体を調べる検査です。アレルギー症状があり医学的に必要と判断される場合は、公的医療保険の適用で検査を行うことができます(自己負担割合に応じて費用は異なります)。
検査の方法にはいくつか種類があります。疑わしいアレルゲンを選んで調べる方法と、項目が決まったセット(パネル)で調べる方法(MAST33やView39など)

これらの検査は、結果が出るまでに数日かかることが一般的です。
また近年は、指先から少量採血して30分程度で結果が分かる迅速検査を実施している医療機関もあります。対応している検査は施設ごとに異なるため、希望する場合は事前に問い合わせると安心です。

6. 花粉症の重症度の基準:ひどい花粉症かどうか

鼻アレルギー診療ガイドラインでは、花粉症の症状に応じて重症度分類を行います。「くしゃみ発作や鼻水」と「鼻づまり(鼻閉)」のうち症状が強いほうで重症度が決められます。花粉症で一番ひどい時期は、最重症に該当する人が少なくありません。

  • 軽症
    • くしゃみ発作または鼻水をかむ回数:1日の平均1-5回 
    • 鼻づまりの程度:口呼吸は全くないが、鼻がつまっている
  • 中等症
    • くしゃみ発作または鼻水をかむ回数:1日の平均6-10回
    • 鼻づまりの程度:強く,1日のうちときどき口呼吸である
  • 重症
    • くしゃみ発作または鼻水をかむ回数:1日の平均11-20回
    • 鼻づまりの程度:非常に強く,1日のうちかなりの時間が口呼吸である
  • 最重症
    • くしゃみ発作または鼻水をかむ回数:1日の平均21回以上 
    • 鼻づまりの程度:1日中完全につまっている

治療方針はこの重症度や、くしゃみ鼻水が多いタイプか、鼻づまりタイプかなども参考にして検討されます。

参考:鼻アレルギー診療ガイドライン2024年版