こうねんきしょうがい
更年期障害
閉経の前後で女性ホルモンが減ることによって、自律神経と精神状態に異常が起こった状態
16人の医師がチェック 151回の改訂 最終更新: 2026.01.03

更年期障害で知っておきたいこと:食べ物、飲み物、サプリメント、運動など

突然のほてり(ホットフラッシュ)、のぼせ、イライラ、動悸など、更年期障害ではさまざまな症状があらわれます。このような症状に対して、食事や運動など、自分でできるケアはあるのでしょうか。また、サプリメントに効果はあるのでしょうか。更年期障害のよくある疑問について、こちらのページで説明します。

1. ホットフラッシュなどの更年期症状に効く食べ物や飲み物はあるのか?

更年期障害の症状に対して、はっきりとした効果がわかっている食べ物や飲み物はありません。そのため、食事に過度な期待はしないほうがよいかもしれません。しかし、身体の機能を維持するために、十分な栄養をとることは、更年期障害があってもなくても大切なことです。

たとえば、閉経後は女性ホルモンの減少などにより骨粗鬆症になりやすくなります。そこで、骨粗鬆症を防ぐ観点から、骨の維持に関わるカルシウム、ビタミンDビタミンKといった栄養素を閉経前から摂取する習慣をつけるようにしてください。乳製品、魚介類、野菜にはこれらの栄養素が豊富に含まれているので、積極的に食事に取り入れるとよいです。

また、肥満の人では、体重を減らすことでホットフラッシュ(ほてり・のぼせ)の症状が軽くなる効果があります。適切な体重維持のために食事を管理することも意味があると言えます。

なお、医学的には肥満は、通常はBMI(体格指数)を指標とします。BMIは体重[kg]÷身長[m]÷身長[m]で計算され、BMIが22前後を普通体重、BMIが25以上を肥満と呼びます。食事については、以下の計算式で1日あたりのエネルギー量の目安を計算できます。

肥満の人の目標エネルギー摂取量】

  • 目標エネルギー摂取量=標準体重×身体活動量
  • 標準体重=身長(m)x身長(m)x22
  • 身体活動量は日常の活動によって以下のとおり
    • 軽い労作、デスクワークが多い職業などでは身体活動量=25
    • 普通の労作、立ち仕事が多い職業などでは身体活動量=30
    • 重い労作、力仕事が多い職業などでは身体活動量=35

たとえば、身長160cmの人なら標準体重は1.6×1.6×22=56.3kgです。1日のエネルギー量は、デスクワークをしている人であれば、これに25を掛けて、およそ1400kcalとなります。目標となる摂取エネルギーを定めたら、食事と運動のバランスを考えて、体重を適正体重に近づける努力をします。肥満の治療について詳しくはこちら

具体的な食事管理の方法論については医師や管理栄養士に相談してみてください。

2. 更年期の症状に運動は効果があるのか?

先に述べたように、肥満の人の更年期障害は、体重を減らすことで、ほてり・のぼせといった症状が軽くなることがわかっています。減量には食事療法とともに運動も効果的です。

3. 更年期の症状に効くサプリメントはあるのか?

更年期障害に対してサプリメントを服用している人がいるかもしれません。そもそもサプリメントとはどのようなものなのでしょうか。

日本において「サプリメント」という言葉に対する行政的に明確な定義はなく、広い意味で健康食品の一つとして考えられています。健康食品はあくまでも食品ですので、医薬品のように身体の構造や機能に影響する表示をすることは原則として認められていません。

食品は身体に必要な栄養を補給し健康の増進に必要なものです。食品に含まれる栄養成分が健康維持において役立つと考えられる場合があります。しかし、健康食品(サプリメント)には何らかの良い作用をもたらす可能性がある一方で、好ましくない作用をあらわす可能性もあるということに注意が必要です。例えば、ローヤルゼリーを摂取すると稀に発疹喘息などのアレルギー症状があらわれます。

これより先で挙げる成分に限らず、手軽に購入できる健康食品やサプリメントには、健康の維持・増進を補助してくれる可能性がありますが、期待できる点や好ましくない作用の可能性についてよく理解したうえで使用してください。特に、なんらかの病気や症状で治療を受けている人は注意が必要です。購入前に治療を受けている病院やクリニックの医師に必ず相談してください。

ここから、更年期の症状に対して飲まれることがあるサプリメントについて説明していきます。

エクオール

女性ホルモンのエストロゲンと類似した作用(エストロゲン様作用)をあらわす物質として近年、注目を集めている物質のひとつで、大豆などのマメ類に含まれるイソフラボン(ポリフェノールの一種)を由来とします。

ヒトなどの動物がマメ類を摂取した際、イソフラボンは体内で代謝され、いくつかの物質に変換されます。この代謝でできた物質が、グルコースなどの糖が結合した配糖体の形態から、糖が分離したアグリコンと呼ばれる形態に変換されると、一般にさらに強い生理作用を発揮できると考えられています。大豆イソフラボンの代謝によってできるアグリコンの中のダイゼインという物質が、さらに腸内細菌等によって代謝され、できる物質がエクオールになります。

元々、大豆イソフラボン自体がエストロゲンとよく似ている分子構造をもち、エストロゲン様作用をあらわす物質と知られていますが、その代謝物であるエクオールには、そのエストロゲン様作用などの特徴から、より高い効果が期待できるとも考えられています。

エクオールで期待できる効果は更年期障害による諸症状の改善ほか、骨粗鬆症の予防、脂質代謝の改善(LDLコレステロールを減少させる効果など)、糖代謝の改善、皮膚代謝の改善(皮膚の老化を予防する効果など)、血管機能の改善(心血管保護効果など)、抗腫瘍効果(エストロゲン調節作用による乳がんなどの予防効果)など多様で、近年ではエクオールなどの大豆由来成分による神経調節(神経保護)作用が認知症などの神経変性疾患の予防につながるのではないか? といった可能性なども示唆されています。

ただし、エクオールには多くの有益な効果が期待できる一方、不適切な摂取などによって不利益を及ぼす可能性も考えられます。

次の「イソフラボン」の欄でもふれていますが、イソフラボンなどの大豆由来の成分を仮に大量に長期間摂取した場合、子宮内膜増殖症などを引き起こす懸念があるとされています。

​​内閣府食品安全委員会の安全性評価においては、大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限値はアグリコン換算で1日あたり70ー75mgとし、さらにこの量の範囲の中で、日常の食事に加えて特定保健用食品などを摂取する際の安全な上乗せ摂取量はアグリコン換算で1日あたり30mgを上限としています。また、動物実験において高濃度の大豆イソフラボン投与により、胎児や新生児などの生殖機能への影響等を示唆する報告があることから、通常、妊婦(妊娠の可能性のある方を含む)、授乳婦、胎児、乳幼児、小児については大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の摂取は推奨されていません。

参考文献
内閣食品安全委員会:大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A(平成18年5月16日更新)
食品安全委員会:大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方(2006年5月)

イソフラボン

食品に含まれる成分の中には女性ホルモンに関連するような影響を与えるものもあり、その代表例がイソフラボンです。イソフラボンは化粧品などの成分としても使われています。

イソフラボンは大豆や葛(くず)などのマメ科の植物に含まれるポリフェノールの一種で、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンと分子構造が似ていることから「植物エストロゲン(フィトエストロゲン)」とも呼ばれ、実際にエストロゲンと類似した作用(エストロゲン様作用)をあらわすとされています。更年期障害の原因には閉経前後のエストロゲンの急な減少が関わっているため、イソフラボンを適量摂取することで、更年期障害の諸症状の改善する効果が期待できるとされています。

また、エストロゲンには骨の代謝に関わり骨密度を改善する作用もあり、エストロゲン様作用をあらわすイソフラボンにも骨密度などへの有用性が考えられます。実際にイソフラボン誘導体のイプリフラボンという物質は「骨の薬」として開発され、この成分を利用した骨粗鬆症治療薬(主な商品名:オステン®)が、かつては処方薬として使われていました(現在は製造販売中止)。

有益な効果が期待できる一方、不適切な摂取などによって不利益を及ぼす可能性も考えられ、仮にイソフラボンを大量に長期間摂取した場合、子宮内膜増殖症などを引き起こす懸念もあります。内閣府食品安全委員会の安全性評価においては、大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限値はアグリコン換算で1日あたり70ー75mgとし、さらにこの量の範囲の中で、日常の食事に加えて特定保健用食品などを摂取する際の安全な上乗せ摂取量はアグリコン換算で1日あたり30mgを上限としています。イソフラボン由来の成分を含む特定保健用食品を含む健康食品は通常(多くの場合)、この上限値を考慮し、その範囲に収まるように造られています。しかし、複数の健康食品を使うなどして、イソフラボン(またはイソフラボン由来の成分)をかなり大量に毎日欠かさず長期的に摂取した場合には上限値を上回り、不利益があらわれる可能性が高くなるため、注意が必要です。また、動物実験において高濃度の大豆イソフラボン投与により、胎児や新生児などの生殖機能への影響等を示唆する報告があることから、通常、妊婦(妊娠の可能性のある方を含む)、授乳婦、胎児、乳幼児、小児については大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の摂取は推奨されていません。

参考文献
内閣食品安全委員会:大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A(平成18年5月16日更新)
食品安全委員会:大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方(2006年5月)

プラセンタ

プラセンタは本来「胎盤」という意味の英語です。サプリメントとして流通しているプラセンタは、哺乳類の胎盤から栄養素などの成分を取り出したものです。胎盤は母体と胎児を繋ぐ重要な器官で、胎児の生育に必要不可欠なものになっています。その構成成分は、アミノ酸、タンパク質、炭水化物をはじめビタミン、ミネラルなど多くの栄養素を含みます。これら身体の機能維持に欠かせない栄養素以外にも細胞の新陳代謝を促す物質などを含むと考えられるプラセンタを医療的に活用することが行われています。

プラセンタの効果としては、自律神経やホルモンバランスの調整、身体の組織の修復作用、抗アレルギーや抗炎症作用、肝臓などの臓器や細胞の働きを高める作用、病気への抵抗力を高める作用などが期待できると考えられています。

更年期障害ではホルモンや自律神経のバランスが乱れることによって様々な症状があらわれるため、プラセンタによるバランス調整作用によって症状改善が期待できるとされています。

最近ではプラセンタの新陳代謝や抗酸化作用などに着目して美容の分野でも活用されてきています(美容目的でのプラセンタ注射は原則として保険がきかない自由診療になります)。

プラセンタはサプリメントとして色々な商品が発売されていますが、医療用医薬品としてもメルスモン®ラエンネックといった注射剤が存在します。これらはヒト胎盤由来成分を主成分とする製剤で、特にメルスモンは「更年期障害、乳汁分泌不全」といった効能・効果が保険で承認されている薬です(ラエンネックの保険上の効能・効果は「慢性肝疾患における肝機能の改善」です)。

プラセンタによる不利益(がおこる可能性)としては、メルスモンのようにヒトの組織由来の製剤では、病原体の混入による感染症が理論上懸念されます。そのため製造の過程でもB型肝炎ウイルスC型肝炎ウイルスHIVヒト免疫不全ウイルス)などを想定した対策が取られていますが、異常プリオンによる変異型クロイツフェルト・ヤコブ病のリスクを含め、感染症のリスクを完全に否定することはできません。

マカ

薬用ハーブとして主に南米で古くから活用されてきたマカにはホルモンバランスの調整を助ける働きがあるとされます。血流改善を助けるビタミンEや疲労回復を助けるアミノ酸などの成分を含むことからも、更年期障害の症状改善の手助けになる可能性があると考えられています。

オタネニンジン

漢方薬の生薬成分としても使われているオタネニンジン(朝鮮人参、高麗人参)は抗ストレス・抗疲労作用、免疫の活性化作用など滋養強壮の成分としても知られています。更年期障害による冷えなどの症状を改善する手助けになる可能性もあります。

ローヤルゼリー

ローヤルゼリーは働き蜂が体内でつくるエキスで、タンパク質、脂質、炭水化物やアミノ酸、ビタミンなど多くの栄養素を含んでいます。自律神経の乱れを整える働きなどがあるとされ、更年期障害の症状改善の手助けになる可能性があると考えられています。