じんじょうせいゆうぜい
尋常性疣贅(イボ)
いわゆる「イボ」のこと。皮膚のあらゆる部位にできる小さな増殖物
9人の医師がチェック 120回の改訂 最終更新: 2024.03.04

尋常性疣贅(イボ)について知っておくとよいこと:予防など

尋常性疣贅(イボ)では治療が長期間に及ぶこともあり、なかなか症状がよくならないと心配になってしまうかもしれません。ここでは、自然に治ることはあるのか、悪化予防のためにできることはあるか、など、尋常性疣贅で知っていておくとよい生活の注意点などを説明します。

1. 尋常性疣贅の予防法とは?

皮膚にはバリア機能があり、ウイルスなどの外敵が侵入しにくい作りになっています。しかし、皮膚に細かな傷があると、そこからヒトパピローマウイルス(human papillomavirus:HPV)が侵入・感染して尋常性疣贅ができると考えられています。そのため、皮膚に傷ができないようにすること、例えば肌荒れをしないように保湿する、洗うときにゴシゴシ擦りすぎないなどの工夫が予防につながります。

HPVの感染力は強くはないものの、素足で公共の湿った場所を歩くと感染しやすくなります。公共施設では、素足で歩いたり共用のスリッパを履くことなどは、できるだけ避けてください。とはいえ、難しいことも多いと思うので、公共施設などを利用した後は足をよく洗って、乾かすように心がけてみてください。これは、尋常性疣贅だけでなく、水虫足白癬)の予防にも効果的です。 

2. 尋常性疣贅はうつるのか?

尋常性疣贅の原因はヒトパピローマウイルスの感染であるため、うつる可能性はあります。しかし、バリア機能が保たれている健康な皮膚には基本的にはうつりません。

プールに入っても良いのか?

尋常性疣贅がある場合でもプールに入ってもかまいません。ヒトパピローマウイルスの感染力がさほど強くないこと、子どもに多く治療期間が長期間に及ぶことなどを考慮し、プールを禁止する必要はないと考えられています。しかし、治療直後など皮膚の状態によってはプールに入らないほうが良いこともありますので、お医者さんに相談してみてください。

3. 尋常性疣贅を悪化させないための注意点は?

尋常性疣贅(イボ)が悪化して数が増えることがあります。これは、尋常性疣贅の原因ウイルスであるヒトパピローマウイルスが身体の他の部位に付着して感染を起こすためです。

イボを増やさないためには以下の点に注意してください。

  • イボを素手で触らない
  • イボの手当てをした後には手をよく洗う
  • 皮膚に傷を作らないようにする

むやみにイボを触ると、手のささくれなどの小さな傷から感染して新しくイボができることがあります。また、手を介して他の部分にウイルスが付着してうつる可能性も高まりますので、イボの手当てをした後にはよく手を洗うようにしてください。同居している家族などにうつさないように、できればタオルやバスマット、スリッパなどの共有は避けてください。

4. 尋常性疣贅になったら病院にかかったほうが良い?

尋常性疣贅は自然治癒することもありますが、治るまでに時間がかかったり、放置している間に増えて治りにくくなってしまうことがあります。また、尋常性疣贅に見えても他の病気のこともあるため、判断に悩んだら一度受診して相談することをお勧めします。

また、特に次の項目にあてはまる人は医療機関で詳しく調べてもらったほうが良いと考えられます。

  • 痛みやかゆみ、熱感などを感じる場合
  • イボが1つではなく、複数ある場合
  • 顔や性器にイボがある場合

痛みやかゆみなどがある場合には尋常性疣贅以外の病気である可能性や、感染を起こした可能性があります。診察を受けて治療が必要かどうか判断してもらってください。また、尋常性疣贅は数が増えると治りにくくなる可能性がありますので、早めに受診することをお勧めします。

顔にできた場合は尋常性疣贅ではなく扁平疣贅などの別の病気の可能性があります。尋常性疣贅とは異なる治療が必要な場合がありますので、お医者さんに診てもらってください。また、性器のイボは尖形コンジロームとよばれる病気の可能性があります。この場合はパートナーへ感染を広げたり、妊婦では出産時に子どもに感染させてしまう場合があるので治療が必要です。産婦人科や泌尿器科を受診してください。

何科にかかれば良いか?

尋常性疣贅を専門に診る診療科は皮膚科です。小児科や内科でも薬による治療は可能ですが、多くの人に効果が期待できる冷凍凝固療法は専門的な技術が必要で、主に皮膚科で行われています。また、皮膚科ではダーモスコピーなどの専門的な検査も受けられます。

形成外科でも尋常性疣贅の治療を受けられる場合がありますが、それぞれの機関で受けられる治療が異なります。そのため、ホームページなどで情報を確認してから受診すると安心です。

5. 尋常性疣贅は自然治癒するのか?

個人差があるものの、尋常性疣贅(イボ)は数ヶ月から数年程度で自然治癒することがあります。子どもでは2/3が2年以内に自然寛解し、大人では数年以上かかる傾向にあるという報告もあります。イボがどんどん大きくなったり、数が増えたりしている場合には、治療を受けるべきかについてお医者さんに相談してみてください。

尋常性疣贅を放置しても大丈夫か?

尋常性疣贅は放置しても命に関わるような重大な事態にはまずなりません。また、自然に治ることもあります。

一方で、放置すると徐々に大きくなったり数が増えてしまうことがあり、こうなると治りにくくなって治療の負担がかかりがちになります。イボに変化が見られたら、早めに受診して相談してみることをお勧めします。

尋常性疣贅ががんになることはあるのか?

尋常性疣贅を起こすヒトパピローマウイルス(HPV)には、さまざまな種類があります。HPVの中にはがんを起こすウイルスもいますが、尋常性疣贅の原因となるウイルスの型では基本的にはがんを起こしません。

また、皮膚のできものには様々なものがあり、尋常性疣贅にみえていてもがんである可能性はあります。気になるできものがあれば、医療機関で診察を受けてください。

6. 尋常性疣贅がなかなか治らない時にはどうしたら良い?

尋常性疣贅(イボ)が治りにくくなる要因として、持病や内服薬、生活習慣が関連していることがあります。

乾皮症アトピー性皮膚炎などの皮膚が荒れやすい病気、HIV感染や糖尿病などの免疫低下を起こしやすい病気がある人は、治りにくい傾向があるので持病の治療が大切になってきます。また、免疫を抑える薬(ステロイド薬など)を使用している人も治療が長期化したり、悪化しがちです。

イボをいじる癖や毛を剃る習慣があると、イボが広がりやすく治りにくいです。これらの習慣を見直したり、スキンケアをするなどして肌荒れ予防を心がけてみてください。

7. 尋常性疣は再発するのか?

尋常性疣贅(イボ)は治ったと思っても再びできやすい病気です。これは「再発」というよりも、治りきる前に治療を中止したために、皮膚の深い部分に残ったウイルスが増えて再度イボができるというケースがほとんどです。そのため、イボがなくなったように見えても自己判断で通院をやめないこと、数ヶ月間は患部を注意して観察することが重要です。ウイルスがいる部位は皮膚の深い部分なので、治療後数ヶ月は経過をみないと完全に治ったかどうかを判断するのは難しいのです。

8. 尋常性疣贅を自分で取る方法はある?

尋常性疣贅(イボ)はを自分で治したいと思うかもしれません。インターネットなどで調べるとさまざまな方法が紹介されていますが、いずれも効果に関してははっきりしていません。まずは尋常性疣贅であるのかという診断も含めて、医療機関で治療を受けることが望ましいです。

ここでは、民間療法として知られている主なものについて簡単に説明します。

ダクトテープ

ダクトテープはガムテープより粘着力と強度が強いテープで、いろいろなものの補修に用いられています。このダクトテープをイボのサイズに切って貼り、数日おきに張り替えるという民間療法があります。皮膚の荒れ以外は大きな害は起きにくいものの、実際にイボが消失するかどうかについては、未だはっきりしていません。お手軽にできるので試してもいいのですが、イボは消えない時や、肌荒れが起きた時にはすみやかに医療機関に受診してください。

木酢液、りんご酢

酢を用いてイボを治す方法もインターネットでは紹介されていますが、有効性ははっきりしていません。酢によって皮膚を傷つけてしまうこともあるのでお勧めできません。

消しゴム

消しゴムを利用する方法もインターネットには紹介されていますが、効果ははっきりしていません。また、痛みを伴うことや、感染を起こす可能性があることからも、お勧めできません。

参考文献

Johnson L W. Communal showers and the risk of plantar warts. J Fam Pract. 1995 Feb;40(2):136-8.
Sterling J C. British Association of Dermatologists' guidelines for the management of cutaneous warts 2014. Br J Dermatol. 2014 Oct;171(4):696-712. doi: 10.1111/bjd.13310.