機能性ディスペプシアの原因について
機能性ディスペプシアとは、胃もたれやみぞおちの痛みなどの症状がありながら、
1. 胃の運動機能の低下

機能性ディスペプシアの一因として、 胃の運動機能の低下が挙げられます。具体的には「胃排出遅延」や「胃適応性弛緩障害」があります。
胃排出遅延
胃の中の食べ物を十二指腸へ送り出す機能が悪くなっている状態のことです。機能性ディスペプシアの20-40%程度に起きるといわれています。
胃適応性弛緩障害
食事をしても胃が十分に広がらない状態のことです。胃は空腹時には200mL程度にしぼんでいますが、食事をすると最大数リットルまで拡張して食べ物を貯められます。この胃の広がりが悪いと、食べ始めてすぐにお腹がいっぱいに感じてしまいます。
2. 胃腸の知覚過敏
機能性ディスペプシアの人では、胃腸の知覚が過敏になっている可能性があります。知覚過敏の種類には主に下記の3つがあるといわれています。
- 胃が膨らんだときに痛みや膨満感が生じやすい
- 十二指腸に酸が流れ込むと吐き気を感じやすい
- 十二指腸に脂肪分が流れ込むと腹部の不快感が現れやすい
「腹八分目にする」、「炭酸飲料(酸)を控える」、「脂っこい食事を避ける」といったことで症状がよくなるか試すと関係している要因を推測できることがあります。
3. 遺伝
いくつかの遺伝子が機能性ディスペプシアのなりやすさに関わることがわかっています。しかし、遺伝的な要因がどれだけ強く発症に関わるのかはわかっていません。
4. 感染性胃腸炎
サルモネラや赤痢菌などを原因とする感染性胃腸炎にかかった後に早期飽満感(少量で食事でお腹がいっぱいになること)を生じることがあり、機能性ディスペプシアと診断されることがあります。このため、機能性ディスペプシアが疑われた人は、至近の1年間に胃腸炎の症状があったかどうかを、お医者さんに聞かれることがあります。
感染性胃腸炎によって機能性ディスペプシアが生じる原因としては、胃腸の常在菌が変化してしまうことや、十二指腸に
とはいえ、感染性胃腸炎がきっかけとなった機能性ディスペプシアであると推測されても、現状では治療方針が変わるわけではありません。
5. 心理的なストレス
「ストレスで胃の調子が悪くなる」というのはよく聞く話です。実際、近年の研究でも、機能性ディスペプシアと心理的ストレスの関連を裏付けるデータがあります。たとえば、不安を感じていた人や虐待された子どもに機能性ディスペプシアの
ストレスに心当たりがある人は、例えばスポーツで気晴らしをする、仕事を制限する、睡眠時間を確保するなど、自分に合った対策を取り入れてみてください。
6. 生活習慣(飲酒、喫煙、香辛料など)
食後の胃もたれやみぞおちの痛みを生じる生活習慣はたくさんあります。
【胃もたれやみぞおちの痛みが生じうる行為】
- 飲みすぎ
- 食べすぎ(とくに脂肪分の多い食事)
- 喫煙
- 香辛料
- 寝不足
- 不規則な食生活
上記の生活習慣を見直すだけで胃の症状が軽減する人もいるので、思い当たるものがあれば改善してみてください。
7. ピロリ菌
参考文献
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