ED(勃起障害)の治療について:バイアグラ®(シルデナフィル)やシアリス®(タダラフィル)などの効果と副作用など
EDを引き起こす原因は大きく分けて4つあり、原因ごとに適した治療法が選ばれます。例えば、精神的な問題が原因になっているEDでは心理療法が有効と考えられますし、EDを
1. ED(勃起障害)の種類と治療内容について
EDは原因によって4つに分類されます。
- 心因性勃起障害
器質性 勃起障害- 混合性勃起障害
薬剤性 勃起障害
以下でそれぞれの詳しい内容と対応する治療法を説明します。
心因性勃起障害:精神的な問題が原因にとなる勃起障害
心因性勃起障害は過去の性体験や、性器の大きさ・形に対する劣等感などが原因のEDです。心理面の問題を緩和するために、心理療法を主体とした治療が行われ、必要に応じてED治療薬も使われます。
器質性勃起障害:血管や神経の問題が原因となる勃起障害
血管や神経の問題が原因となるEDを器質性勃起障害と言います。糖尿病や高血圧といった背景にある持病が悪影響を及ぼしていることが多いため、ED治療薬だけではなく、持病の治療も重要になります。
混合性勃起障害:心因性と器質性の両方の要素がある勃起障害
心因性と器質性の両方の要素があるEDを混合性勃起障害と言います。両方の原因を治療するため、薬物治療と心理療法が行われます。また、持病の治療や生活習慣の改善も必要になることがあります。
薬剤性勃起障害:薬の副作用による勃起障害
薬の副作用としてEDが起こることがあります。EDを起こしやすい薬として次のものが知られています。
薬剤性勃起障害であれば、原因である薬の中止や変更のみで改善が期待できます。ただし、上記の薬を飲んでいる人に生じたEDが、一概に薬の副作用によるものだと言うことはできません。元々の病気が悪化する恐れがあるので、自己判断での服薬中止は避けてください。薬剤勃起障害かもしれないと思ったら、まずはお医者さんに相談してください。
2. EDの治療方法について
ここまでは、EDのタイプとそれに応じた治療法について説明してきました。次にEDの治療法についてそれぞれを詳しく説明していきます。
【EDの治療】
- 心理療法
- 薬物治療
- 持病の治療
- 生活習慣の改善
EDの治療には主に上記の4つがあり、うまく組み合わせることで効果が高まります。
心理療法
心理療法ではEDの悩みを心理士や精神科医に相談し、解決方法をともに考えていきます。問題点をより明確にするために、パートナーが同席して行うことが望ましいと考えられています。心理療法はED専門外来や、精神科で受けることができるので、相談してみてください。
薬物治療
ED治療薬は3種類あります。いずれも飲み薬で、それぞれ下記のような特徴があります。
【ED治療薬の特徴】
バイアグラ® (シルデナフィル) | レビトラ® (バルデナフィル) | シアリス® (タダラフィル) | |
効果が出るまでの時間 | 30分から60分 | 15分程度 | 60分程度 |
効果の持続時間 | 4から5時間 | 5から10時間 | 30から36時間 |
薬の使用法はいずれも「1日1回1錠を性行為の1時間前に服用」です。効果が不十分だと感じても、服用後24時間以内は追加内服ができません。また、主な副作用としては、顔のほてりや頭痛、消化不良などがあります。 3剤に効果の差はないと考えられているので、自分が優先したい条件を軸に薬を選ぶとよいです。例えば、早く効果を得たい人はレビトラ®が向いていますし、持続時間が長いほうが良い人はシアリス®が向いています。どのような効果を期待しているか、主治医に伝える時の参考にしてください。
持病の治療
EDの要因となる病気がいつかあります。以下に代表的な病気の具体名を示します。
持病の治療が良好であるならば問題はありません。反対に、持病のコントロールが不十分(血圧が落ち着かなかったり、
生活習慣の改善
「肥満・運動不足」と「喫煙」はEDの要因と考えられています。 まず、運動不足や過体重に陥っていないかどうかを確認してみてください。適正な体重は身長をm単位に変更して、男性なら22、女性なら21を掛け算すると求められます。
例)身長170cmの男性の適正体重
- 1.7m×1.7m×22(kg/m2)=63.58kg
体重が適正体重よりオーバーしている人は、減量のために食事療法や運動療法を取り組んでみてください。
また、喫煙者であれば禁煙にチャレンジしてみてください。一人での禁煙達成は難しいので周りの人の手を借りたり、禁煙外来を利用したりなどするとスムーズに行えるかもしれません(コラム「禁煙に失敗するのは当たり前 !?」参照)。
3. ED(勃起障害)の治療費はどれくらいか
EDの検査や治療は公的保険が適用されない自由診療です。つまり、ED診療にかかる費用はすべて自己負担となります。自由診療の値段は各医療機関で設定されるので、負担額が施設ごとで異なります。治療費に不安がある人やあらかじめ知っておきたい人は、事前に医療機関に問い合わせて確認してみてください。
【参考文献】
・赤座英之/監 並木幹夫, 堀江重郎/編, 「標準泌尿器科学」, 医学書院, 2014
・勝岡洋治/編, 「泌尿器科診療ガイド」, 金芳堂, 2011
・日本性機能学会・日本泌尿器科学会/監, 「ED診療ガイドライン第3版」, リッチヒルメディカル, 2018
・UpToDate Evaluation of male sexual dysfunction Authors:Glenn R Cunningham, MD Mohit Khera, MD, MBA, MPH
・Nicolosi A, et al., Epidemiology of erectile dysfunction in four countries: cross-national study of the prevalence and correlates of erectile dysfunction.Urology. 2003 Jan;61(1):201-6.
・厚生労働省 「個人輸入において注意すべき医薬品について」(2019.11.20 閲覧)
・厚生労働省「偽造医薬品問題の現状と対策について」(2019.11.20 閲覧)