2016.09.24 | ニュース

心筋梗塞の1年後、性機能の問題が男性の4割、女性の6割に発生

アメリカ・スペインの統計から

from JAMA cardiology

心筋梗塞の1年後、性機能の問題が男性の4割、女性の6割に発生の写真

心筋梗塞が起こると、運よく生き延びても後遺症が残ることがあります。後遺症のひとつが性機能障害です。心筋梗塞を起こした人の追跡調査から、性機能に問題が起こった人の男女別の割合が報告されました。

アメリカとスペインの研究班が、専門誌『JAMA Cardiology』に報告した研究を紹介します。

この研究は、心筋梗塞の患者の追跡調査で得られたデータを解析したものです。調査はアメリカとスペインの病院で、2008年から2012年にかけて行われました。心筋梗塞の治療を受けた人が対象となり、発症時から1年後までの経過を記録されました。

 

2,802人の対象者が集まりました。年齢は18歳から55歳で、半分の人が49歳以下でした。

集計から次の結果が得られました。

調査開始時点で性活動があった人の間で、心筋梗塞から1か月以内に性活動を再開している割合は女性よりも男性で高く(448人 [63.9%] vs 661人 [54.5%]、P <0.001)、1年以内でも同様だった(662人 [94.4%] vs 1107人 [91.3%]、P = 0.01)。

心筋梗塞の前にも後にも性活動があった人の間で、心筋梗塞から1年後に性機能の問題がないと報告する割合は、女性のほうが少なかった(466人 [40.3%] vs 382人 [54.8%]、P <0.01)。

1年時点で、最も多い性的問題は、女性では関心喪失(487人、39.6%)、潤滑困難(273人、22.3%)であり、男性では勃起困難(156人、21.7%)、関心喪失(137人、18.8%)だった。

心筋梗塞の1か月後までに性活動を再開できた人は男性で63%、女性で54%でした。

1年後には、男性の45%、女性の59%に何らかの性機能の問題が残っていました

問題として多かったのは、女性で関心喪失と潤滑困難、男性で勃起困難と関心喪失でした。

特に、強いストレスを受けている人、糖尿病がある人で性活動喪失が多くなっていました。

研究班は「対策できるリスク要因に注意し、医師に相談することで結果がよくなるかもしれない」と述べています。

 

性機能はともすれば「死ぬほどではない」と思われがちですが、生活の中でとても大切な要素であることは間違いありません。特に、この研究で対象とされた50歳前後はまだまだ性活動がある年齢です。

心筋梗塞後の性機能障害は医師の間でも認識されている問題です。万一自分が見舞われることがあれば、早めに主治医に相談してください。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Sexual Activity and Function in the Year After an Acute Myocardial Infarction Among Younger Women and Men in the United States and Spain.

JAMA Cardiol. 2016 Aug 31. [Epub ahead of print]

[PMID: 27579897]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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