アルコール依存症の検査について:問診、身体診察、血液検査など
アルコール依存症とは飲酒のタイミングや量をコントロールできない状態です。アルコール依存症が心配な人は依存症の専門外来に相談して、お酒に関する質問に答えることで、アルコール依存症のなのかどうか調べることができます。また、アルコールによってダメージを受けがちな肝臓や膵臓などに異常がないか調べるため、血液検査や画像検査が有用です。
1. 問診ではどのようなことを聞かれるのか
アルコール依存症をチェックする方法としてCAGEやAUDITなどの質問表が使われます。ここでは、簡単な
- 飲酒量を減らさなければいけないと感じたことがあるか(Cut down)
- 周りの人にあなたの飲酒を非難されて、イライラしたりうるさいと感じたことがあるか(Annoyed by criticism)
- お酒を飲むことに対して後ろめたさを感じたことがあるか(Guilty feelings)
- 飲酒した翌日に「迎え酒」をしたことがあるか(Eye opener)
これらの質問に当てはまるものがあれば、アルコール依存症の可能性があると考えられます。
参考文献:Ewing J A. : JAMA. 1984 Oct 12;252(14):1905-7.
また、下記のようなことを聞かれることもあります。
- どれくらいお酒を飲むか(1回で飲む量、頻度)
- お酒を朝から飲んでしまうことがあるか
- 飲酒を優先しすぎて、生活・仕事・健康に支障をきたしていないか
- 以前よりも多くお酒を飲まないと酔わなくなったか
- お酒のことを考えない時間があるか
- 不安、不眠、幻覚などの精神的な症状があるか
受診前にこれらの質問の答えをあらかじめ考えておくと、状況をもれなく伝えやすくなります。
2. 身体診察について
身体診察とは、お医者さんが身体を見たり触れたりして、全身の状態を調べることです。意識レベル、手の震えの有無、歩き方などからアルコールの離脱症状がみつかることがあります。また、腹部の状態や身体の
3. 血液検査について
長年たくさんお酒を飲み続けると、全身のさまざまな臓器が障害されます。肝臓と膵臓はその代表的な臓器ですが、多少ダメージを受けても自覚症状がほとんど出ないため、血液検査で早くみつけて対応することが大切です。アルコール依存症の人は下記の血液検査をすることが多いです。
- 肝機能検査(AST、ALT、総
ビリルビン 、LDH 、γGT、ALP) - 肝硬変の検査(ヒアルロン酸、IV型コラーゲン、プロトロンビン時間、
血小板 数) - 膵臓の検査(アミラーゼ、リパーゼ)
- 糖尿病の検査(HbA1c、
血糖 ) ビタミン 検査(ビタミンB1、葉酸)
多量のアルコール摂取は糖尿病のリスクになること、またアルコール依存症の人ではビタミン欠乏症になりやすいことから、これらの血液検査も行われます。
4. 画像検査について
アルコールによる肝臓・膵臓・脳などの臓器へのダメージを調べるのに
腹部超音波(エコー)検査
超音波は人間には聞こえない高い音のことです。超音波を発生するプローブとよばれる機械をお腹に押し当てて検査をします。臓器まで到達し跳ね返ってきた超音波の量を測定することで、臓器の様子を画像として見ることができます。
頭部CT・MRI検査
参考文献
新アルコール・薬物使用障害の診断治療