2017.07.05 | ニュース

うつとアルコール依存症を乗り越えた小児科医が学んだ6つのこと

支え合う社会へ
from The New England journal of medicine
うつとアルコール依存症を乗り越えた小児科医が学んだ6つのことの写真
(C) monkeybusinessimages - iStock

うつ病やアルコール依存症に悩む人は大勢います。医療従事者も例外ではありません。うつ症状から回復した医師が、医師のメンタルヘルスに向き合う方法を提言しました。

インディアナ大学のアダム・ヒル医師が、『The New England Journal of Medicine』に寄稿したエッセイで、自身のうつ症状とアルコール依存症の経験をもとに、医師のメンタルヘルスに向けられる偏見を除き助け合うことを訴えました。

ヒル氏は小児科緩和ケアに従事する医師です。以前にうつ症状があり、自殺を考えたことがあり、眠るために多量の飲酒をしていました。

回復に至るまで、また回復してからも不当な扱いを受けていると感じた経験から、文化を変える必要があると主張しています。

主張の中で、自身の回復から学んだことが語られています。

 

ヒル氏はカウンセリング、瞑想、マインドフルネス治療、運動、呼吸法、支援グループ、熱いシャワーを試しました。そして医師として患者をケアするためにはまず自分自身のケアがができなければならないことを学びました。

 

ヒル氏が参加した患者会では、あらゆる人種や宗教の人が集まっていました。ホームレスの人も会社経営者もいました。そしてアルコール依存症患者を怠け者や家庭内暴力を振るう人といった偏見で見てはならないことを学びました。

 

ヒル氏は「同僚が『ドクターXはがんを克服するにはタフさが足りなかった』と言うのは聞いたことがないが、最近医学生が自殺したときに、誰かが『彼女は医師になるには強さが足りなかったのではないかと心を痛めている』と言うのを聞いた」と語っています。

 

ヒル氏はメンタルの問題を他人に教えることで悪いことよりも良いことが多いと主張し、助けてくれる人を見つけられた経験を語っています。

 

医師が自身に医学的問題を抱えているのに治療せず助けを求めないことは患者をリスクにさらすことが指摘されています。

 

配偶者、家族、友人、カウンセラー、支援グループ、同僚から少しずつ支援を得ていくことが提案されています。

ヒル氏は経験を振り返って「間違いなく、私自身は回復の道を通過したことでよりよい医師になれた」と述べています。

 

ここで紹介したエッセイは、医学誌の中でも世界的に読まれ信頼されている『The New England Journal of Medicine』に掲載されたものです。医師のメンタルの問題は決して限られた環境だけのことではなく、全世界の医師に関わる問題です。

たとえば、2015年の報告では、研修医の間でうつ状態やうつ症状が28.8%に現れているとされています。

関連記事:研修医のうつ病が、年々増え続けている

日本に限っても、2016年の日本医師会による「勤務医の健康の現状と支援のあり方に関する アンケート調査報告」で、8.7%の医師が抑うつ状態と考えられると報告されています。

健康問題に対する偏見は、助けを必要とする人をさらに追い詰め孤独にしてしまいます。社会的地位にかかわらず、誰でも気兼ねなく必要な助けを求められるような文化を作らなければならないのではないでしょうか。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Breaking the Stigma - A Physician's Perspective on Self-Care and Recovery.

N Engl J Med. 2017 Mar 23.

[PMID: 28328327]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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