にじせいこうけつあつしょう
二次性高血圧症
他の病気が原因で起こった高血圧のこと。原因となっている病気を適切に治療することで、高血圧も治ることが見込める
10人の医師がチェック 100回の改訂 最終更新: 2022.02.11

二次性高血圧症の基礎知識

POINT 二次性高血圧症とは

高血圧症の中でも原因が明らかであるものを二次性高血圧症といいます。高血圧症の人のうち10%から20%が二次性高血圧症と考えられています。二次性高血圧症の原因には原発性アルドステロン症や腎実質性高血圧症などがあります。高血圧症は進行しない限り症状が出ることはありませんが、進行すると全身の臓器に悪影響が出るため様々な症状が出てきます。 高血圧症は血圧測定で診断できますが、その原因が何かを調べるために血液検査や画像検査を用います。高血圧症の原因となっている病気の治療が優先されますが、なかなか治療が難しい場合は降圧薬を用いて治療します。また、同時に減量・減塩・禁煙などの生活改善を行います。二次性高血圧症が心配な人や治療したい人は、循環器内科や総合内科などを受診してください。

二次性高血圧症について

  • 他の病気が原因となって起こった高血圧
  • 高血圧全体のおよそ10-20%が二次性高血圧症であると考えてられている
    • 多くの高血圧は原因不明で、本態性高血圧と呼ばれる
  • 二次性高血圧の原因となる主な病気
    • 腎実質性高血圧
      • 腎臓病が原因でホルモンバランスが崩れて血圧が上昇する
      • 全高血圧の2-5%
    • 腎血管性高血圧
      • 腎臓の血管が細くなることで、腎臓から出るホルモンにより強力な昇圧物質(血圧を上げる)がつくられ、血圧があがる
      • 全高血圧の1%程度
    • 原発性アルドステロン症
      • 血圧を上げるホルモン(アルドステロン)が過剰に作られる
      • 全高血圧の10%程度
    • 褐色細胞腫
      • 血圧を上げるホルモン(カテコラミン)が過剰に作られる
      • 全高血圧の0.1%-0.2%
    • クッシング症候群
      • 血圧を上げるホルモン(コルチゾール)が過剰に作られる
      • 全高血圧の0.1%以下
  • 高血圧症を放置しておくと全身の臓器(脳・腎臓・血管など)に悪影響が出る
    • 症状がないからといって高血圧症を放置してしまうと、気付かない間に臓器の機能低下が起こってしまう

二次性高血圧症の症状

  • 高血圧そのものが症状を起こすことはほとんどない
    • 悪性高血圧症という血圧が非常に高い状態になると、高血圧性脳症など臓器に障害を起こす
  • 特に頻度が高い症状
    • むくみ
    • 尿量の減少
    • 筋力の低下
    • 頭痛
    • 動悸
    • 発汗過多  など

二次性高血圧症の検査・診断

  • 高血圧は血圧測定で診断可能
  • 若い人や、高血圧の他の病気を疑うような症状があれば詳しい検査を行う
    • 血液検査:腎機能ホルモンの量などを調べる
    • 画像検査:他の病気による影響がないかなどを調べる
      • CT検査
      • MRI検査

二次性高血圧症の治療法

  • 原因となる疾患の治療
    • 例えば褐色細胞腫などであれば、手術で切除することで血圧の改善が期待できる
  • 降圧薬
    • 1種類の薬を少量から使い始め、副作用など問題が起こらないことを確かめつつ、効果を見て必要なら増量する
      • カルシウム拮抗薬(全身の動脈を広げる)
      • ACE阻害薬(アンギオテンシンⅡ(血圧を上昇させる体内物質)の産生を抑える)
      • ARB(アンギオテンシンⅡの作用を受容体部分で抑える)
      • 利尿薬
    • 必要であればβ遮断薬(交感神経を抑える薬)を使うこともある
  • 生活習慣の改善
    • 適度な運動
    • 減塩
    • 減量
    • 禁煙
    • アルコール制限

二次性高血圧症に関連する治療薬

ARB

  • 体内の血圧を上げる物質の働きを抑えることで血圧を下げる薬
    • 体内の血圧上昇や心筋の肥大化などに関わるアンジオテンシンIIという物質がある
    • アンジオテンシンIIはアンジオテンシン受容体(AT受容体)に結合することでその生理作用をあらわす
    • 本剤はAT受容体への阻害作用により、アンジオテンシンIIの働きを抑え降圧作用などをあらわす
  • 心臓や腎臓などを保護する作用なども期待できるとされる
    • 薬剤によっては慢性心不全や腎疾患などに使用する場合もある
  • ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害薬に比べて、副作用の咳(空咳)などが少ないとされる
ARBについてもっと詳しく

ARB・利尿薬配合剤

  • アンジオテンシンIIの受容体拮抗(阻害)作用とナトリウムや水分を尿として排出する利尿作用により降圧作用などをあらわす薬
    • アンジオテンシンIIは血管収縮作用、心臓の肥大化作用、腎臓の線維化促進作用などをあらわす体内物質で血圧上昇の因子となる
    • 体内の過剰な水分貯留は血液量を増やす要因にもなり、血液量が増えると血圧が上昇する
    • 本剤はアンジオテンシンIIの作用を阻害するARBと尿として水分などを体外へ排出する利尿薬の配合剤
  • ARBの特徴などにより、腎疾患や心疾患などを合併する患者へ使用する場合もある
ARB・利尿薬配合剤についてもっと詳しく

二次性高血圧症が含まれる病気

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