たはつせいけっかんえんせいにくげしゅしょう(うぇげなーにくげしゅ)
多発血管炎性肉芽腫症(旧称:ウェゲナー肉芽腫)
全身の細い血管に炎症が起きる病気。鼻、肺、腎臓の血管に炎症が起こりやすい。
13人の医師がチェック 147回の改訂 最終更新: 2018.04.11

多発血管炎性肉芽腫症(旧称:ウェゲナー肉芽腫)の基礎知識

POINT 多発血管炎性肉芽腫症(旧称:ウェゲナー肉芽腫)とは

全身の血管に炎症が怒る病気です。主に鼻、肺、腎臓が障害され、鼻の変形、膿のような鼻水や鼻血が続いたり、息苦しさ、血痰、血尿や腎機能が低下するといった症状が出ます。腎臓はかなり悪くなるまで自覚症状が現れないため注意が必要です。血液検査でANCA (Anti-Neutrophil Cytoplasmic Antibodyの頭文字,抗好中球細胞質抗体)という、この病気と関連が知られる抗体の出現を確認することが重要です。その他、尿検査、組織生検(腎臓や皮膚の組織の一部を採取して顕微鏡で調べる)、レントゲン検査、CT、MRIなどを行います。治療としてはステロイド、免疫抑制薬、リツキシマブなどの薬剤を使用します。気になる方はリウマチ内科、膠原病内科を受診してください。

多発血管炎性肉芽腫症(旧称:ウェゲナー肉芽腫)について

  • 全身の細い血管に炎症が起きる病気
    • 特に病気がよく起こる場所としては、上気道(鼻やのど)、肺、腎臓がある
    • 上気道→肺→腎臓の順番に起こることが多い
    • 血管炎自己免疫疾患の一種であると考えられている
    • 破壊された血管のまわりには「肉芽種」と呼ばれる白血球が集まった所見が確認される
    • 似たようなメカニズムで起こる病気
      顕微鏡的多発血管炎
      チャーグストラウス症候群
        ・多発血管炎性肉芽腫症は治療を減量する過程で再発することも多い
  • 30-60歳に多い
  • 男女差はほとんどない
  • 厚生労働省の特定疾患に指定されている
    • 一定の基準を満たせば医療費の補助を受けられる

多発血管炎性肉芽腫症(旧称:ウェゲナー肉芽腫)の症状

  • 大きく4つの症状に分けられる
    • 頭頸部(上気道、眼、耳)の炎症
    • 肺の症状
    • 腎臓の炎症
    • 全身の炎症
  • 頭頸部(上気道、眼、耳)の炎症
  • 肺の炎症
    • 血痰
    • 息苦しさ
    • 呼吸すると胸が痛む
       ※しばしば肺の中に結節性(こぶのような形)の病変を作る
  • 腎臓の炎症(腎炎):進行した場合に生じる
    • 足のむくみ
    • 急な高血圧
    • 血尿
    • 泡立った尿(蛋白尿
  • 全身の血管の炎症
    • 発熱が続く (2週以上)
    • 体重の減少(6ヶ月で体重の10%以上)
  • その他の症状
    • 関節の痛み(関節炎)
    • 手足のしびれ
    • 皮膚の紫斑
    • 吐血下血
       など

多発血管炎性肉芽腫症(旧称:ウェゲナー肉芽腫)の検査・診断

  • 様々な検査を組み合わせて診断
  • 血液検査:抗好中球細胞質抗体の有無、炎症の強さ、腎臓の障害があるかどうかなどを調べる
    • 抗好中球細胞質抗体(PR3-ANCA、c-ANCA)が検出されることが特徴
    • 炎症反応パラメーター:白血球数やCRP値の上昇
    • 腎機能:Creatinin値で腎機能を推定する
  • 尿検査
    • 尿潜血やタンパク尿、尿円柱などを調べ、腎臓の中に炎症が起こっているかを推定する
  • 画像検査:肺に炎症が起こっていないかなどを調べる
    • 胸部レントゲンX線写真)
    • 胸部CT
  • 組織生検:鼻、肺、腎などの組織を取って、血管炎所見を顕微鏡で観察する(確定診断)

多発血管炎性肉芽腫症(旧称:ウェゲナー肉芽腫)の治療法

  • 下記の薬剤を使って炎症を抑える
    • ステロイド薬
      ・ステロイド薬を長期に内服すると副作用が多いので、副作用を予防する薬を使う
      ・ステロイド薬とあわせて使われる薬剤
       ・ビスホスホネート、ビタミンD、カルシウム製剤、PTH製剤、デノスマブなど
          :ステロイド薬による骨粗しょう症の予防
       ・プロトンポンプ阻害薬:ステロイド薬による胃潰瘍の予防
       ・ST合剤:ニューモシスチス肺炎の予防
    • 免疫抑制薬
      ・シクロフォスファミド(商品名エンドキサン)
      ・アザチオプリン(商品名イムラン、アザニン)
      ・メトトレキサート(商品名リウマトレックス、メトレート)
    • 分子標的薬
      ・リツキシマブ(商品名リツキサン)
  • 重症例では血漿交換を行うことがある
  • 腎機能が急速に低下した場合には透析が必要になることがある
  • 使用する薬剤は全身の炎症の程度、肺や腎臓などの臓器障害の有無・重症度によって選択される
  • 病状が落ち着けば、ステロイドを飲む量は可能な限り少しずつ減らしていく
  • 免疫が抑えられることにより感染症が起きやすくなるので注意が必要
  • 薬を減量する過程での再燃も多く、全ての薬剤を完全に中止した上で血管炎症状がないという意味での「完治」の状態を達成するのは難しい方も多い
  • 薬剤を上手くつかって症状や腎機能をコントロールするのが現実的な目標であり、継続的に通院を続ける必要がある

多発血管炎性肉芽腫症(旧称:ウェゲナー肉芽腫)に関連する治療薬

分子標的薬(リツキシマブ〔ヒト型抗CD20モノクローナル抗体〕)

  • CD20抗原というタンパク質を表面にもつB細胞(リンパ球)やB細胞性リンパ腫細胞に結合し、結合した細胞を破壊(溶解)することでこれらの細胞の増殖を抑える薬
    • 悪性リンパ腫は白血球の一種であるリンパ球のがんで、CD20抗原というタンパク質がB細胞性リンパ腫細胞などの細胞表面で多く発現している
    • 多発血管炎症性肉芽腫症はリンパ球(B細胞、T細胞など)の活性化などによりおこるとされる
    • 本剤はCD20抗原に結合することでCD20陽性のB細胞などを溶解する作用をあらわす
  • 本剤は難治性のネフローゼ症候群などに使用する場合もある
  • 本剤は特定分子の情報伝達などを阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬となる
分子標的薬(リツキシマブ〔ヒト型抗CD20モノクローナル抗体〕)についてもっと詳しく

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