しきゅうたいがん(しきゅうないまくがん)
子宮体がん(子宮内膜がん)
子宮の内側を覆っている子宮内膜からできるがん。子宮内膜がんとも言われる。
8人の医師がチェック 167回の改訂 最終更新: 2026.02.16

子宮体がんが心配な人や診断を受けた人に知っておいて欲しいこと

「子宮体がんが心配な人」や「子宮体がんと診断を受けた人」が抱きがちな悩みや疑問をこのページではまとめています。事前に読んで、お医者さんから受ける説明の理解に役立ててください。

1. 子宮体がんの細胞診を受ける前に知ってほしいこと

子宮体がんが疑われる人や、子宮体がんの早期発見を目的とした人に行う検査として「細胞診」があります。細胞診は子宮体部の一部を取り出してがん細胞の有無を調べる検査で、診断の際に有力な手がかりとなります。細胞診で知っておきたいことをまとめます。

なお子宮体がんの細胞診については「こちらのページ」で詳しく説明しています。この章を読む前後で目を通してもらえるとより理解が深まります。

細胞診を受ける頻度と受けるのが望ましい人について

子宮体がんの早期発見を目的として、症状の有無にかかわらず全ての人に対して定期的に細胞診を行う試みがあります。しかし、どの程度の頻度で細胞診を受けると効果的にがんを早期発見できるかの結論は出ていません。 一方で、「産婦人科診療ガイドライン」によると、次の条件を満たす人は細胞診を受けた方がよいと考えられています。

【細胞診を受けた方がよい人】

  • 子宮体がんの存在を示唆する症状がある人
  • リスク因子のある人

子宮体がんの存在を示唆する主な症状は、月経(生理)以外で性器から出血する「不正性器出血」です。子宮体がんが見つかった人の約90%が「不正性器出血」を経験するといわれています。(その他の症状は、「こちらのページ」を参考にしてください。) また、リスク因子とは子宮体がんになりやすい特徴のことで、次のものが知られています。

  • 持病
  • 身体の特徴
    • 肥満
    • 閉経後
    • 妊娠を未経験
  • エストロゲン製剤の服用歴

これらの条件に当てはまる人は、細胞診を行う必要性やその頻度についてお医者さんと相談してください。

細胞診にともなう痛みや麻酔の必要性について

細胞診では小さなブラシ状の器具で子宮体部の一部を削って取り出します。痛みは少ないので、麻酔の必要はなく、外来で行うことができます。

細胞診の結果について

細胞診の結果は次のように「陽性」「疑陽性」「陽性」の3段階で示されます。

【細胞診の結果】

判定 がんが見つかる確率
陰性 5%程度
疑陽性 10%程度
陽性 80%程度

細胞診の結果だけで、子宮体がんと診断されることはありません。細胞診の結果より詳しく調べる必要がある人に行われる「組織診」の結果を踏まえて診断が行われます。また、陰性であった人にも5%程度はがんが見つかることから、不正性器出血など子宮体がんを疑わせる症状が続く人は、繰り返して細胞診を受けるようにしてください。陰性であった人が細胞診を受ける間隔は専門家でも意見が分かれるので、お医者さんと検査の予定について相談してください。

2. 子宮体がんの治療で注意が必要なこと

子宮体がんの主な治療には、手術、抗がん剤治療放射線治療があります。ここでは治療中や治療後に注意して欲しいことをまとめます。

手術後の過ごし方

手術後の注意点は、「入院中」と「退院後」で違うので、別々に説明します。

■入院中の過ごし方

手術後は傷の痛みで、普段と同じようには身体を動かすことができません。いきなり手術前と同じように動こうとするのではなく、少しずつ身体を慣らしていくのがよいです。少し無理をすればできそうなことでも、手術後数日の間は周りの人やスタッフの手を借りてください。一方で、身体を全く動かさないと、「肺炎」や「深部静脈血栓症」「腸閉塞」といった病気が起こりやすくなります。お医者さんから許された範囲で、無理ない程度に身体を動かすようにしてください。

また、食事にも注意が必要です。子宮体がんの手術ではお腹で操作が行われます。お腹を切る手術では、腸が操作の影響を受けて調子が悪くなることがあります。腸の動きが本調子に戻るのには時間がかかるので、それまでは手術前と同じ量の食事はとれないことが多いです。これはほとんどの人が経験することであり、心配しすぎる状態ではありません。腸の負担を減らすために、手術後は無理のない範囲で少しずつ食事量を増やすようにしてください。なかにはたくさん食べた方が早く回復すると思って無理に食事を摂る人がいますが、これは逆効果です。食べすぎは腸閉塞の原因にもなるので、くれぐれも食事量は無理のない範囲を守ってください。また、お腹の調子が悪いと思ったら、食事を控えた方がいい状況かもしれません。食事の前にスタッフと相談してください。

■退院してからの過ごし方

退院する頃には傷の痛みはかなり良くなっています。しかし、依然無理は禁物です。お医者さん(主治医)から以前と同じような生活に戻ってよいと言われるまでは、身体に負担のかからない生活をしてください。

具体的には、入院中と同じく腸閉塞にならないために、「食べすぎない」「よく噛んで食べる」「消化のよいものを食べる」といったことを実践してください(詳しくは「こちらのページ」で説明しています)。

また、激しい運動も許可が出るまでは控えた方がよいです。傷が開いてしまう可能性はほとんどありませんが、入院生活で筋力が低下していることが多いので、自分が思っているよりも身体が言うことを聞かずに怪我をしてしまう心配があるからです。運動をするのはよいことですが、少しずつ身体を慣らしていくようにしてください。

抗がん剤治療中の過ごし方

抗がん剤を使う目的は「再発を予防すること」や「進行をなるべく遅らせること」です。一方で、抗がん剤はがん細胞だけではなく正常な細胞にも影響が出るため、副作用があります。副作用による症状は次のものです。

【抗がん剤治療の主な副作用】

  • 吐き気・食欲不振
  • 発熱
  • 脱毛
  • 下痢
  • 口内炎

それぞれの症状や対策について説明します。

■吐き気・食欲不振

吐き気や食欲不振はシスプラチンという抗がん剤によって起こりやすいです。吐き気止めの薬を使うとある程度症状を抑えられます。予防目的で吐き気止めが処方されている場合には必ず飲むようにしてください。また、食事が数回とれなくても、水分さえしっかり摂れていれば大きな問題が起こることは少ないので、辛い時には無理に食事を摂らなくても大丈夫です。ただし、食事だけでなく水分も摂れないときには脱水になるので、点滴で水分を補う必要があります。かかりつけのお医者さんに連絡して、対応について相談してください。

■発熱

抗がん剤治療を始めると発熱しやすくなります。発熱しやすくなる理由は主に2つです。

1つ目の理由は抗がん剤の副作用によるものです。副作用による発熱は、抗がん剤を中止することでよくなります。一方で、効果のある抗がん剤を中止するとがんが進行することにもつながるので、簡単に中止できない場合があります。「治療の効果」と「発熱の程度」のバランスを見て、「解熱薬を使いながら抗がん剤を継続するか」または「他の抗がん剤に変更するか」のどちらかが選ばれます。

もう1つの理由は、感染症にかかりやすくなることです。 抗がん剤治療の影響で、細菌ウイルスを排除する役割がある白血球(特に好中球)が減少すると、感染症にかかりやすくなり、感染が起こると発熱します。好中球が減少している状態での発熱は「発熱性好中球減少症」と呼ばれ、危険な状態に陥ることがあり、特に注意が必要です。 抗がん剤治療中の発熱は、詳しい検査や薬の調整などが必要となります。発熱時の対応についてかかりつけのお医者さんとあらかじめ相談しておき、手洗いやマスクの着用といった感染予防対策も行うようにしてください。

■脱毛

抗がん剤の影響で脱毛することがありますが、治療が終了するとまた毛が生えて元に近い状態に戻ることが多いので、二度と髪の毛が生えてこないのではと心配になりすぎることはありません。とはいえ、脱毛はどうしても気にかかる問題です。人の目が気になり落ち込んでしまうものですが、対策としてウィッグや帽子を使っている人が多くいます。ウイッグは医療機関で購入できるので、抗がん剤治療が始まる前に準備しておくとよいです。

■下痢

抗がん剤の影響は粘膜に及びやすく、腸の粘膜が傷つくと下痢を起こします。軽い下痢であればしばらく様子をみているうちに自然に回復することが多いのですが、量や回数が多い人には下痢止め(止痢剤)が必要になります。下痢の影響で日常生活がままならない人はかかりつけのお医者さんと対応を相談してください。また、下痢をしているときには多くの水分が失われているので、水分をしっかりと補給してください。

口内炎

口の中の粘膜に傷ができると口内炎が起きやすくなります。口内炎の痛みの緩和には、痛み止めが含まれたうがい薬が効果的です。痛みが強い人はかかりつけのお医者さんに相談して処方してもらってください。また、口内炎の予防には、口の中を清潔に保つことが有効なので、食後の歯磨きを欠かさないようにしてください。

放射線治療中の過ごし方と終了後に気をつけて欲しいこと

抗がん剤だけではなく、放射線治療にも副作用があります。副作用は治療中や治療直後に現れるものだけではなく、治療後数ヶ月から数年経ってから現れるものがあることに注意が必要です。

■治療中または治療終了直後に現れる副作用

放射線治療中から治療終了後数週間までの間に現れる副作用のことを早期障害といいます。具体的には、放射線を当てた部分の「皮膚の赤みや痛み」のことです。 放射線による皮膚のトラブルは時間の経過とともに良くなるので、過度に心配することはありません。また、放射線治療中には「倦怠感」や「食思不振」、「吐き気」などが現れる人がいます。吐き気には薬(吐き気止め)に効果が期待できるので、ひどいときにはお医者さんに相談してみてください。食事がなかなかとれなくても水分は意識して摂るようにしてください。口当たりのよいものやあっさりしたものなど、少しでも食べやすいものを探してみるのも良いです。水分がとれないほど吐き気が強い人には点滴治療が必要なので、受診してください。

■治療後数ヶ月から数年経ってから現れる副作用

治療後しばらくすると「早期障害」はほとんどなくなっていますが、新たな副作用がでる可能性が残っています。治療を終えて数ヶ月から数年を経て起こる副作用を「晩期障害」と言います。下腹部に放射線を当てた場合では、腸や膀胱への影響によって血便血尿が晩期障害として現れることがあります。血便や血尿がみられる人は早めにかかりつけのお医者さんに診てもらってください。

3. 子宮体がんの生存率や再発、転移について

がんと診断されステージがわかると、どうしても生存率に目がいってしまうかもしれません。また再発や転移の可能性について不安がつのる人も多いと思います。これらについて以下に説明をしますが、あくまでも統計的な数字であり、個人にそのまま当てはめられるものではないことを念頭に置いて読み進めてください。

子宮体がんの生存率はどれくらいか

子宮体がんの生存率はステージによって異なります。「がんの統計’24」によると、5年生存率は下の表のようになります。

【子宮体がんのステージごとの5年生存率(実測生存率:2012年-2013年診断例)】

ステージ 5年生存率(%)
ステージI 92.1
ステージII 84.8
ステージIII 64.0
ステージIV 21.0

生存率はこれまでの治療の結果を反映したものであり、現在の治療を受けている人に当てはまるとは限りません。また、その後の経過は、ステージだけでなく個々人の身体の状態も大きく影響してくるものなので、上記の数字をそのまま個人に当てはめて考えることもできません。とはいえ、生存率が気になって落ち込んだり不安になったら、一人で抱え込まずに周りの人に話してみてください。医療者に相談して、自分にあった解決法を一緒に考えることもできます。

子宮体がんは完治するのか

手術によってがんを全て取り除くことができれば、子宮体がんは完治が見込めます。しかし、がんを取り除けたと考えられる人の中にも再発する人がいます。これは、手術前にすでに目には見えないほどの小さながん細胞が転移していたために起こると考えられています。小さな転移は検査で捉えることができないために、がんが大きくなるまでの期間は、再発があるのかないのか判断することはできません。 治療から一定の時間が経過すると、再発の可能性は下がっていき、何年も再発がない状態を維持することができれば「完治した」と考えることができます。何年か経って、お医者さんから再発の心配はないと言われるまでは、治療や経過観察のための受診を欠かさないようにしてください。

子宮体がんは転移するのか

子宮がんは転移することがあります。転移とはがん細胞が子宮から離れた場所に移動し、大きくなることです。

子宮体がんが転移する部位で多いのは、肺や肝臓などです。転移が見つかった人は全身にがん細胞が広がった状態と考えられています。全身に広がったがんに効果を示しやすい抗がん剤治療が行われます。また、転移した部位に痛みやしびれなどの症状がある人には、放射線治療が行われ、症状が和らげられます。

子宮体がんが転移した人の余命はどれくらいなのか

転移には2つのパターンがあります。1つはリンパ節だけに転移をするパターンで、もう1つはリンパ節以外の臓器に転移をするパターンです。状況が異なるので分けて説明します。

■リンパ節だけに転移をした人

リンパ節だけに転移をした人の状態はステージIIIに含まれ、5年生存率は72.8%です。リンパ節転移にも程度に幅があるので、生存率はあくまでも目安にしかなりません。より広い範囲に広がっている人はステージIIIの生存率を下回るかもしれませんし、わずかなリンパ節転移の人ではもっと生存率が高いかもしれません。

■リンパ節以外に転移をした人

子宮体がんがリンパ節以外(肺や肝臓、骨など)に転移をした人の余命は1年程度(中央値)と考えられています。リンパ節転移をした人と同様に他の臓器に転移をした人でも状態によって生存期間は変わってきます。

■余命についてどう考えるか

転移をした人の余命について説明しましたが、ここで示した数字はあくまでも目安です。身体の状態やがんの状態は一人ひとり異なるので、ここで示した通りということはほとんどないと考えてもよいです。

余命を告げられるとショックでしばらく何も考えられなくなるかもしれません。そういう時は一人で抱え込まず、近くにいる人に辛い気持ちを打ち明けてみてください。また、周りの人は、そばで話を聞いて、一人ではないことを伝えてあげてください。すぐに病気を受け入れられるものではありませんが、少しずつ、自分がこれまで楽しんでいたことや取り組みたいと思っていたことに目を向けていくと、自分らしい生活につながります。

参考文献

・日本婦人科腫瘍学会/編, 「子宮体がん治療ガイドライン2023年版」, 金原出版, 2018
・国立がん研究センター内科レジデント/編, 「がん診療レジデントマニュアル」, 医学書院, 2016
・日本産科婦人科学会/編集・監修, 「産婦人科研修の必修知識2016-2018」, 2016
・National Comprehensive Cancer Network, Inc., 日本婦人科腫瘍学会/監訳,  「NCCNガイドラインー子宮体がん
Ann Oncol.2007;18:409-420 Chemotherapy for advanced, recurrent or metastatic endometrial cancer: a systematic review of Cochrane collaboration.
・がん研究振興財団「がんの統計’24