[医師監修・作成]子宮体がんの検査や診断について | MEDLEY(メドレー)
しきゅうたいがん(しきゅうないまくがん)
子宮体がん(子宮内膜がん)
子宮の内側を覆っている子宮内膜からできるがん。子宮内膜がんとも言われる。
8人の医師がチェック 131回の改訂 最終更新: 2022.04.26

子宮体がんの検査や診断について

子宮体がんの診察や検査の目的は2つです。子宮体がんが疑われる人への検査は、「子宮体がんかどうか」を調べることを目的としており、診断を受けた人への検査は「子宮体がんのステージ」を調べることを目的としています。ここでは、子宮体がんの診察や検査について詳しく説明します。

1. 問診

お医者さんと患者さんが主に対話形式で行う診察を問診と言い、患者さんの身体の状況や背景を確認する目的があります。患者さんは困っている症状を伝え、お医者さんからは症状や背景について詳しい質問を受けます。

【子宮体がんが疑われる人に行われる問診の例】

  • 症状について
    • どんな症状を自覚するのか
    • いつから症状を自覚しているのか
    • 症状がよくなったり悪くなったりすることはあるか
  • 月経(生理)について
    • 初経(生理を初めて経験した年齢)はいつか
    • 月経の間隔はどれくらいか
  • 妊娠・出産の経験回数や状況について
  • 持病や過去にかかった病気について
  • 内服薬について
  • 喫煙歴について

子宮体がんは不正出血やおりもの(帯下)の異常などの症状をきっかけに見つかる人が少なくありません(症状については「こちらのページ」を参考)。一方で、子宮体がんで見られる症状は他の病気でも見られます。症状の原因が、子宮体がんかどうかを考える際には症状に加えて背景の情報が重要になるので、お医者さんには詳しく伝えてください。上の問診の例を参考に答えを準備しておくと受診の時にスムーズに答えられます。

2. 身体診察

身体診察とは、お医者さんが患者さんの身体の状態を直接くまなく調べることを指します。身体診察にはさまざまなものが含まれ、具体的には、「バイタルサイン(血圧・脈拍数・呼吸数・体温・意識レベル)を測定すること」や「お腹を触って診察すること」、「聴診器を使って身体の中の音を聞くこと」などがあります。 数ある身体診察の中でも、子宮体がんでは「内診」が重要です。内診とは、女性の性器(膣や子宮、卵巣)の診察のことです。より詳しく説明すると、「性器の形の異常の有無」や「触った際の痛みの有無」、「できものの有無」などが調べられます。

3. 血液検査:腫瘍マーカーなど

血液検査では、「全身状態」や「腫瘍マーカー」を調べることができます。他の検査や治療の前に行われることが多いです。

全身状態

検査や治療が受けられる状態かどうか調べるため、前もって全身状態が確認されます。例えば、CT検査やMRI検査は腎臓の機能が低下していると、造影剤という薬を使うことができません。その他でも、貧血の有無や電解質の乱れの有無などが調べられ、必要に応じて検査や治療の内容が調整されます。

腫瘍マーカー

がんになると血液中で増加する物質があり、そのうちのいくつかは腫瘍マーカーとして用いられています。子宮体がんの主な腫瘍マーカーはCA125やCA19−9です。

腫瘍マーカーを調べることで、「がんの進行の勢い」や「治療の効果」を推測できます。似た目的で使われる画像検査と比べると、患者さんの検査時間が短い点が優れています。

上手に使うと有用な腫瘍マーカーですが、一方で、注意も必要です。

まず、がん以外が原因でも腫瘍マーカーは上昇することがあります。つまり、腫瘍マーカーが上昇したからといって、必ずしもがんが存在するとは限りません。反対に、子宮体がんであっても腫瘍マーカーが上昇しないことがあります。特に、早期の段階では腫瘍マーカーが陽性になるのは30%程度といわれているので、早期発見にはあまり役立ちません。 不正出血など子宮体がんが疑われる症状がある場合は、腫瘍マーカーの結果だけではなく、病理検査や画像検査の結果をもとにして総合的に判断されます。

4. 画像検査

「子宮体がんが疑われる人」または「子宮体がんと診断された人」には「がんの有無」や「がんの広がり」を調べる目的で、超音波検査やCT検査、MRI検査が行われます。それぞれの検査の特徴を個別に説明します。

超音波検査(エコー検査)

エコー検査は超音波を利用して、その反射の程度から体内を画像化します。子宮は、お腹から超音波を当てる方法(経腹超音波検査)と膣から超音波を当てる方法(経腟超音波検査)で調べることができます。

■経腹超音波検査

お腹に超音波が出る機械(プローブ)を当てて行う検査のことです。経腹超音波検査ではお腹の中の全体を見渡せるので、子宮だけでなく、卵巣や腸、肝臓、腎臓、血管なども調べることができます。一方で、子宮や卵巣の状態を詳しく見るには、次で説明する経膣超音波検査の方が優れていると考えられています。

■経腟超音波検査

親指くらいの太さの棒状のプローブを膣に挿入して行う検査です。経膣超音波検査では、子宮や卵巣、その周りの臓器(膀胱や直腸)などを経腹超音波検査より詳しく観察することができます。膣にプローブを挿入する前には潤滑剤を塗るなど、痛みがないような配慮がなされていますが、痛みがある場合は遠慮なく伝えてください。

CT検査

CT検査では、放射線を利用して身体の断面を画像化します。子宮体がんと診断された人は、がんの広がりを客観的に調べる目的で行われることが多いです。具体的に言うと、「子宮体がんの周囲への広がり」や「子宮体がんの転移の有無」がわかります。広がりや転移の有無の状態によって子宮体がんのステージが決まります(ステージについては「こちらのページ」を参考にしてください)。

また、がんの広がりをより詳しく調べる必要がある人には造影剤という薬を注射してからCT検査が行われます(造影CT検査)。CT検査の画像はモノクロですが、造影剤を使うことによってコントラストが明瞭になり、単純CT検査より詳細な情報を得ることができます。なお、造影剤は「腎臓の機能が低下している人」や「特定の糖尿病治療薬(メトグルコ®など)を服用中の人」には使うことができません。お医者さんはCT検査の前に当てはまるかどうかを調べていますが、「腎臓の機能が低下している」「糖尿病治療薬を使っている」ということは患者さんからも伝えてください。

CT検査の詳しい説明は「こちらのコラム」も参考にしてください。

MRI検査

MRI検査では、磁気を利用して身体の断面を画像化します。CT検査とは違って放射線を利用することはないので、被ばくの心配はありません。CT検査より子宮の状態を詳しく調べることができるので、CT検査では状態がはっきりとわからなかった人に行われることが多いです。より詳しく調べるために、CT検査と同様に造影剤を注射して検査をすることがあります。MRI検査で使う造影剤はCT検査で用いるものとは異なりますが、CT検査と同じく「腎臓の機能が低下している人」には使うことができません。腎臓の病気を治療中の人は、その旨をお医者さんに伝えてください。

MRI検査の詳しい説明は「こちらのコラム」も参考にしてください。

5. 病理検査

病理検査は主に子宮体がんが疑われる人に行われます。

身体から取り出した細胞や組織を、特殊な薬品で色をつけ、顕微鏡で観察する検査です。病理検査には「細胞診」と「組織診」の2つがあり、次にそれぞれの違いについて説明します。

細胞診

細いブラシ状の器具で子宮内膜の細胞を少量取り出し、顕微鏡で観察する検査です。細胞診の結果は次の3段階で判定されます。

【細胞診の結果】

判定 細胞初見 推定病変
陰性 細胞の形や並びに異常がない 正常粘膜
(5%程度にがんが検出)
疑陽性 細胞の形や並びに異常がみらえるが、がんとは判定し難い 炎症性変化などの非腫瘍性病変
(10%程度にがんが検出)
陽性 がん由来と判定される細胞がみられる 子宮内膜がん
(80%程度にがんが検出)

細胞診だけで子宮体がんと診断されることはありません。この後説明する組織診断でがん細胞がみつかつた人が子宮体がんの診断を受けます。 疑陽性や陽性の結果であった人には組織診が必要ですが、細胞診で陰性であった人にも5%程度はがんが見つかります。細胞診の結果が陰性であっても「不正出血不正性器出血)」が続く人は、一定の間隔で細胞診を繰り返し受けてください。陰性であった人が細胞診を受ける間隔については、専門家でも意見が分かれます。かかりつけのお医者さんと検査の予定を相談してください。

組織診

細胞診で疑陽性または陽性であった人には組織診が行われます。細いスプーン状の器具で「がん」が疑われる場所を削り取ったり、吸い取ったりして、細胞診より多い量の子宮内膜が取り出されます。細胞診に比べると身体への負担が大きいですが、外来で麻酔なく行うことができます。

組織診では取り出す組織の量が多いので、細胞診より詳しく子宮内膜の状態を調べることができます。組織診でがんが検出されれば、子宮体がんの診断が確定します。

しかし、細胞診と組織診の結果が一致しない(細胞診が疑陽性または陽性で、組織診が陰性)場合は判断が難しいです。その際には手術(子宮内膜全面掻爬)でより広い範囲の子宮内膜が削り取られ、子宮内膜全面掻爬の結果が最終的な診断になります。

参考文献

・日本婦人科腫瘍学会/編, 「子宮体がん治療ガイドライン2018年版」, 金原出版, 2018
・国立がん研究センター内科レジデント/編, 「がん診療レジデントマニュアル」, 医学書院, 2016
・日本産科婦人科学会/編集・監修, 「産婦人科研修の必修知識2016-2018」, 2016
・National Comprehensive Cancer Network, Inc., 日本婦人科腫瘍学会/監訳,  「NCCNガイドラインー子宮体がん