偽痛風とは?症状、原因、検査、治療など
偽痛風はピロリン酸カルシウムという物質が関節で結晶を作ることで関節に痛みや腫れが起こる病気です。痛風と症状が似ていますが、痛風よりも高齢の人に起こるのが特徴です。治療としては
1. 偽痛風とはどんな病気?
偽痛風は膝や手首などの関節に痛みや腫れが起こる病気です。痛風と症状が似ていることから"偽”痛風と呼ばれています。偽痛風はピロリン酸カルシウムと呼ばれる老廃物が関節の中で結晶になることが原因で起こります。高齢者に多い病気であり、これはピロリン酸カルシウムが年を重ねるにつれ関節内にたまりやすいことと関連しています。症状が出ている間はかなり辛い病気ですが、NSAIDsやステロイド薬などで治療することで数日で症状は良くなります。
2. 偽痛風の症状
関節の痛みや腫れ、熱やだるさといった症状が出ます。痛みや腫れは膝や手首によく現れます。これらの症状は現れてから急激に悪くなることが多いです。お年寄りに多い病気であり、関節の痛みやだるさが原因で全く動けなくなり、入院となってしまうこともあります。
一方で、これらの症状は偽痛風だけでなく、
症状の特徴についてこちらのページでさらに細かく説明しています。
3. 偽痛風の原因
偽痛風の原因は関節内でできたピロリン酸カルシウムの結晶です。ピロリン酸カルシウムの結晶は身体の中で異物として認識されるため、
また、関節を痛めたり、手術をした後は関節で炎症が起こるので、それ自体が偽痛風のきっかけになってしまうことがあります。偽痛風に注意が必要な人をまとめると以下の通りになります。
- 高齢者
- 副甲状腺機能低下症の人
- 関節を痛めた人
- 関節の手術をした人
関節に痛みが出たり、腫れたりする病気は偽痛風以外にもたくさんあります。偽痛風の診断ために年齢や持病、手術を受けたことがあるかなどの情報も参考にされます。
4. 偽痛風の検査
偽痛風が疑われる人には以下の検査を通して、身体の状態の確認が行われます。
問診 - 身体診察
- 血液検査
X線検査 ・CT 検査MRI 検査- 関節液検査
血液検査は炎症の程度の判断や、薬が安全に使えるかの判断に役立てられます。X線検査やCT検査、関節液検査はピロリン酸カルシウムの結晶が関節の中に存在するかを調べることができ、偽痛風の診断に大変役立ちます。
それぞれの検査がどのようなものであるか知りたい人は、こちらのページをご覧ください。
5. 偽痛風の治療
偽痛風が起きた場合にはなるべく早く炎症が取れるよう、安静、アイシングといった対処法や薬物療法を行います。薬物療法としては、炎症を抑えるNSAIDsやステロイド薬、白血球が関節に集まるのを防ぐコルヒチンと呼ばれる薬を使います。偽痛風は高齢者に多い病気であり、薬の副作用にも細心の注意を払う必要があります。そのため、症状の程度や持病を踏まえて、どの薬を使っていくか判断されます。
これらの薬の特徴について、こちらのページでより詳しく説明しています。
6. 偽痛風と痛風の違い
偽痛風と痛風は症状が似通っていて、両者とも急に関節が痛くなったり腫れたりします。また、異常な物質が関節で結晶を作ることで炎症を引き起こす点も共通しています。しかし、偽痛風ではピロリン酸カルシウムが原因物質となりますが、痛風では尿酸が結晶を作る点で異なります。治療内容も少し異なるため、両者を見極めることが重要です。具体的には、もし痛風であれば、尿酸値を下げる薬を使うことで再発を防ぐことができます。
偽痛風か痛風かは関節液検査でピロリン酸カルシウム、尿酸のどちらが含まれるかを調べることで見極めることができます。ただ、年齢や性別、症状からもある程度どちらであるか予測を立てることができ、例えば中高年の男性で親指の付け根に症状が出た場合は痛風の可能性が高く、高齢者で膝の関節の腫れや高熱が出た場合には偽痛風がより疑わしくなります。
偽痛風と痛風の違いをまとめると以下のようになります。
病名 | 原因となる物質 | かかりやすい人 | 症状の出やすい部位 |
偽痛風 | ピロリン酸カルシウム | 50歳以上 女性 |
膝、手首、肩、首 |
痛風 | 尿酸 | 30-70歳 男性 |
足の親指の付け根、足首 |
他にも、偽痛風が心配な場合に何科を受診したら良いかや病気の見通しなど、よくある疑問についてはこちらのページで紹介しています。
参考文献
・日本痛風・核酸