ぎつうふう
偽痛風
肩・肘・手首・股関節・膝・足・首などに、急激な関節の痛みが出現する病気
12人の医師がチェック 106回の改訂 最終更新: 2020.02.28

偽痛風の検査について

偽痛風が疑われた場合には問診、身体診察、血液検査、X線検査CT検査、関節液検査により偽痛風の可能性を吟味していきます。また、これらの検査は診断だけでなく、偽痛風の治療方針の決定や治療効果の判定にも役立てられます。

1. 問診

問診とは医師などの質問に答える形で身体の状態や生活背景を伝えることをいいます。偽痛風が疑われる人は以下のポイントをよく聞かれます。

  • どのような症状があるか
  • 症状の時間経過はどのようなものか
  • きっかけはあるか
  • 持病があるか
  • 手術を受けたことはあるか
  • アレルギーがあるか
  • 飲んでいる薬は何かあるか

これらの問診を通して偽痛風の可能性を吟味していきます。また持病やアレルギーの有無、飲んでいる薬といった情報は治療方針を決めるうえで大事な質問事項になります。わかる範囲で構いませんので、診察時に説明するようにしてください。

2. 身体診察

病気の原因を特定するために身体の状況を客観的に評価することを身体診察といいます。問診の次に行われることが多いです。偽痛風が疑われた人には関節の診察が特に重要です。

具体的には以下のポイントに注意しながら診察が行われます。

  • 触れると痛みを感じる関節があるか
  • 腫れている関節があるか
  • 熱をもつ関節があるか

通常、偽痛風では関節の痛みや腫れが現れ、熱をもちます。これらの症状は膝や手首に現れることが多いです。身体診察の結果から次に行うべき検査内容を決めていきます。

3. 血液検査

血液検査は偽痛風でよく行われる検査の一つです。血液検査を行うことで偽痛風であるかをより正確に予測することができますし、治療薬を選択するうえでも重要です。例えば、以下のような検査項目が測定されます。

  • CRP
  • 血算
  • クレアチニン、BUN

以下で詳しく説明していきます。

CRP

CRP(シーアルピー)は炎症の程度を調べる検査です。偽痛風は関節の腫れや痛みを伴う病気です。この症状はピロリン酸カルシウムの結晶により関節で炎症が誘発されるために生じます。CRPの値を見ることで関節での炎症の程度を推測できます。

CRPはmg/dL(ミリグラムパーデシリットル)という単位が使われ、正常値は0.3mg/dL未満です。偽痛風は関節の腫れや痛みが引いてくるとCRPは下がってくるので、治療効果の判定にも用いることができます。

ただし、感染症などの炎症が起こる他の病気でもCRPは上昇してしまうことに注意が必要です。そのため、関節液検査などの他の検査結果を参考にしながら偽痛風の診断を行います。

血算

血算とは白血球赤血球血小板(出血を止める成分)の数を言います。偽痛風を発症するとピロリン酸カルシウムの結晶を白血球が分解しようとするため、血液中の白血球の数が増えます。一方、赤血球(身体に酸素を運ぶ血液細胞)の数は偽痛風による炎症が続くと減り、貧血の原因になることもあります。そのため、血算を調べておくことは重要です。

クレアチニン、BUN

クレアチニンやBUN(ビーユーエヌ)は腎臓の機能を調べる検査です。クレアチニンやBUNは身体の中の老廃物で、本来腎臓で濾しとられて尿として体外に排泄されます。しかし、腎臓の機能が落ちてくるとうまく老廃物が排泄されず、血液中のクレアチニンやBUNの濃度が上昇してきます。そのため、腎臓の機能を予測する検査として用いることができます。

偽痛風が起きた時にはNSAIDsという薬で治療します。ただし、NSAIDsを使うと副作用として腎障害が起こることがあるため、もともと腎障害がある人にはNSAIDsで治療することができません。そのため、NSAIDsを使うことができるかを判断するうえでクレアチニン、BUNの測定が重要になってきます。

4. X線検査(レントゲン検査)・CT検査

偽痛風では関節のX線検査を行われることがあります。X線検査は放射線を用いて身体の内部の状態を調べる検査です。ピロリン酸カルシウムの結晶はX線検査に写るので、偽痛風の診断に役立ちます。

頻度は少ないですが、偽痛風の症状が首に出ることがあります。首にできたピロリン酸カルシウムの結晶はX線検査に写りにくいため、この場合はCT検査が活用されることがあります。CT検査は、X線より詳しく身体の内部を調べることができる検査です。

5. MRI検査

MRI検査は強力な磁石を用いて身体の内部の状態を調べる検査です。ピロリン酸カルシウムの検出力についてはX線検査やCT検査に劣りますが、どの程度の炎症が起きているか、関節の中で壊れている部分がないかなど関節の中を詳しく調べることができます。また、偽痛風と似た症状の病気の診断にも役立つといったメリットがあります。ただし、人工関節やペースメーカーなど体内に金属が埋め込まれている人は検査ができないことがあるので、注意が必要です。

6. 関節液検査

偽痛風の関節の腫れは関節に関節液と呼ばれる水がたまることで起こります。関節液がたまる病気は他にもありますが、偽痛風であれば関節液中にピロリン酸カルシウムの結晶が含まれているので、偽痛風を診断するうえで関節液検査は非常に重要です。関節液検査を行うためには腫れている関節に針を刺し、関節液を回収して行います。この針を刺す作業は関節穿刺と呼ばれます。具体的には以下の流れで行います。

  • 関節に針を刺しやすい姿勢をとる
  • 針を刺す場所の皮膚をよく消毒する
  • 注射器のついた針で刺し、関節液を回収する
  • 針を抜き、刺した場所をよく消毒し、絆創膏などで保護する
  • 検査当日は入浴しないようにする(細菌が入るのを防ぐため)

関節穿刺は外来で行うことができます。ただし、関節に針を刺す時に以下のような合併症が起こることがまれにあります。

  • 出血
  • 感染
  • アレルギー

以下でそれぞれの合併症や注意点を説明していきます。

出血

関節穿刺では関節液を回収するため関節に針を刺します。この針を刺す過程で関節内に出血が起こりますが、大概は出血量がわずかなので問題になりません。しかし、まれに出血量が多くなってしまい、関節が腫れたり痛くなったりすることがあります。検査後にこのような症状が現れた場合には、お医者さんに相談するようにしてください。

また、出血は抗血小板薬バイアスピリン®️など)や抗凝固薬ワーファリンなど)といった血をサラサラにする薬を飲んでいる人に特に起こりやすいので注意が必要になります。

感染

関節に針を刺す時は細菌の感染に注意が必要です。関節内に細菌が入り込まないように針を刺す場所をよく消毒し、検査日には入浴を避けることで、可能な限り感染のリスクを減らします。関節で感染が起こると、関節のひどい腫れや痛みの原因になったり熱が出たりし、入院での対応が必要になります。関節穿刺が終わった後にこれらの変化がある場合には、お医者さんに相談するようにしてください。

アレルギー

関節に針を刺す時には、安全に行うためいくつかの薬を使います。例えば、皮膚を消毒する消毒液などがあります。まれにこれらの薬に対してアレルギー反応が起こることがあります。アレルギーの程度は人それぞれで、皮膚に発疹が出るだけの軽度なものから、重症な場合にはアナフィラキシーショックといって、血圧が下がったり、呼吸ができなくなるといったものまで含まれます。これまでにアレルギーが起こったことがある場合には、事前にアレルギーを経験した薬を申告するようにしてください。