骨粗しょう症の症状について:骨が折れやすい
骨粗しょう症は、骨がもろくなって折れやすくなっている状態です。骨粗しょう自体に自覚症状はなく、骨折して初めて気づくことがあります。
1. 骨粗しょう症になっても自覚症状がないことが多い
初期の骨粗しょう症に症状はありません。しかし、骨がもろくなっている状態であり、進行すると軽い力がかかっただけで骨折するようになります。骨折して初めて気がつくことも少なくなく、発見が遅れがちです。閉経後の女性など骨粗しょう症のリスクが高い人は、早期発見のために定期的に検査を受けておいたほうが良いです。リスクの高い人については、別のページ「骨粗しょう症で知っておくとよいこと」で詳しく紹介しています。
2. 骨折したときの症状について
骨粗しょう症の人がとくに骨折しやすい部位は、
脊椎骨折の症状とは

骨粗しょう症の人が骨折しやすい部位の一つが背骨です。背骨のことを、専門用語で脊椎(せきつい)といいます。脊椎は頭と骨盤をつなぐ骨であり、24個の骨からなります。頭に近い方から数えて最初の7個が頚椎、次の12個が胸椎、最後の5個が腰椎です。
これらのうち、骨粗しょう症の人では胸椎と腰椎の骨折が起きやすいです。骨折といっても木の枝を折るように折れるわけではなく、押し潰されるように骨が変形することから「圧迫骨折」と呼ばれています。骨粗しょう症の人では、重い荷物を持ったりくしゃみをしたりといった、ちょっとしたきっかけで脊椎骨折が起こります。また、脊椎が折れても自覚症状が出づらく、ある報告では2/3もの人が骨折に気づいていなかったそうです[1]。
ただし、強い症状がないからといって放置していいわけではありません。次に脊椎骨折の症状の特徴を説明しますので、当てはまるものがあれば受診を検討してください。
【脊椎骨折の主な症状】
- 身長の低下
- 背中や腰の痛み
- 胃部不快感
◎身長の低下
身長低下は脊椎骨折を疑うサインです。とはいえ、年齢と共に身長が少々低くなるのはほとんどの人に起きる正常な変化でもあります。それではどれくらい身長が低下すると、脊椎骨折が疑われるのでしょうか。ある報告[1]によれば、25歳の時の身長と比べて4cm以上低くなっていると、背骨が折れている可能性が高いとされており、一つの目安になります。しばらく身長測定をしていないという人は、健康診断などを受けるなどして身長を確認してください。
また、身長の低下は、日々の生活を振り返ってみることで気づくこともできます。たとえば、昔は普通に干せていた物干し竿に洗濯物を干せなくなった、高い棚に手が届きにくくなったなどです。そのようなことに心当たりがあれば、ぜひ身長を測ってみてください。
◎背中や腰の痛み
脊椎骨折に伴う痛みは身体を動かした時に起きやすく、とくに寝返りや起き上がるときに出やすいです。痛みは折れてから1-2ヶ月くらい続いくことが多いです。腰痛はよくある症状のため、「いつもの腰痛だ」「歳だから仕方がない」などと思って、やり過ごしてしまう人が多いと思います。ところが、骨粗しょう症の人が背中や腰に痛みを抱えている時には骨折していることが少なくありません。
◎胃部不快感
脊椎骨折が複数起きている人は、胃のあたりに不快感を覚えることがあります。この理由として多いのが、胃食道逆流症(逆流性食道炎)です。複数の背骨が骨折していることで背骨の全長が短くなり、胃のあるスペースが狭くなって圧迫され
症状を抑えるためには、「食べ過ぎない」、「食べてすぐに横にならない」、「刺激物(お酒、タバコ、カフェイン、香辛料、炭酸飲料など)を避ける」といった生活習慣の見直しが有効です。
大腿骨骨折の症状とは
大腿骨は太ももの骨です。大腿骨のうち、もっとも骨折しやすい部位は脚の付け根のあたりです(これを大腿骨近位部と言います)。大腿骨骨折のほとんどは転んだ際に起きます。また、まれではありますが寝たきりの人のおむつ交換のときに大腿骨が折れることもあるため、介護する人は過度な力をかけないように注意が必要です。主な症状は下記の3つです。
【大腿骨骨折の主な症状】
- 痛み
- 骨折部位の腫れ
- 歩行困難
折れたばかりの時に痛みや腫れが生じます。加えて大きな問題となるのは歩くのが難しくなってしまうことです。しばらく歩けないことで脚の筋力が落ち、これがきっかけで寝たきりとなってしまうことがあります。寝たきりを防ぐためには、早期に治療し、できるだけ早くからリハビリテーションに励むことが重要です。転んだ後に脚の付け根の痛み、腫れ、歩行困難が現れたときは早めに医療機関に相談してください。
ただし、骨折しても歩ける人がしばしばいます。大腿骨が折れても周りの筋肉の力などによって、歩く機能が保たれるからです。骨粗しょう症の人で大腿骨周囲に痛みや腫れがあるときには、歩けたとしても骨折の可能性がありますので、医療機関に相談してください。
前腕骨骨折の症状とは
前腕骨は肘と手首をつなぐ骨です。
【大腿骨骨折の主な症状】
- 痛み
- 腫れ
- 変形
- 手や腕の動かしづらさ
手や腕の動かしづらさは、骨折直後だけではなく、骨がくっついた後も後遺症として残ってしまうことがあります。その主な理由は骨がずれてくっついてしまうことです。手をついて前腕骨付近に痛みがあるときには早めに受診をするようにしてください。早期に固定術や手術をうけることによって、適切な位置で骨がつきやすくなります。
参考文献
1. Vogt TM, et al. Vertebral fracture prevalence among women screened for the Fracture Intervention Trial and a simple clinical tool to screen for undiagnosed vertebral fractures. Fracture Intervention Trial Research Group. Mayo Clin Proc. 2000 Sep;75(9):888-96. doi: 10.4065/75.9.888.
2. 厚生労働省ホームページ:重篤副作用疾患別対応マニュアル (平成30年6月改定)