だいたいこつこっせつ
大腿骨骨折
太ももの骨である大腿骨骨折の総称
6人の医師がチェック 25回の改訂 最終更新: 2022.03.23

大腿骨骨折の基礎知識

POINT 大腿骨骨折とは

太ももには大腿骨という太い骨が一本通っています。これの骨折が大腿骨骨折です。大腿骨の上部が折れると大腿骨近位部骨折、中央部が折れると大腿骨骨幹部骨折、下部すなわち膝の近くで折れると大腿骨遠位部骨折と呼ばれます。頻度としては、高齢者の転倒などによる大腿骨近位部骨折が多いです。症状としては骨折部位の腫れ・痛み、歩行困難などです。診察とレントゲン(X線)検査に診断が行われ、必要に応じてCT検査やMRI検査も行われます。治療は原則として手術が行われます。骨が自然にくっつくのを待つだけでは、キレイに治るかが不確かであることが多く、安静期間も長引く傾向になるからです。大腿骨骨折が心配な人や治療したい方は整形外科や救急科を受診してください。

大腿骨骨折について

大腿骨骨折の症状

  • 主な症状
    • 足の付け根、太もも、膝などが強く痛む
    • 自分の力で立ち上がることが困難
    • 歩けない
    • 足全体が不自然な方向に向いている
    • 痛みのある方の足が付け根から短くなっている

大腿骨骨折の検査・診断

  • 画像検査
    • レントゲンX線)検査
      • まず行われる検査
      • 骨折があっても骨がずれていない場合、レントゲンのみでは骨折が見つからない場合がある
    • CT検査、MRI検査
      • レントゲンでわからない場合、詳しく調べるために撮影する
  • 採血検査
    • 骨折による出血で貧血になっていないか、手術に耐えられる状態かなどを調べる

大腿骨骨折の治療法

  • 手術:骨折の部位によって異なる(詳しくはそれぞれの骨折のページを参考にしてください)
    • ほとんどのケースで手術を行うことが推奨される
  • 保存療法
    • 骨折部にズレがなく自然治癒が見込める場合などで、一定期間の安静後にリハビリテーションのみを行うこともまれにある
  • 骨粗しょう症で骨がもろくなっている場合、骨折部の治療とは別に、骨粗しょう症の治療も行う
  • 大腿骨骨折のおよそ9割が転倒で起こっており、治療後も転倒を予防していくことが重要

大腿骨骨折の経過と病院探しのポイント

大腿骨骨折が心配な方

大腿骨骨折は、大腿骨(太ももの骨)に起きる骨折の総称です。近位部骨折、骨幹部骨折、遠位部骨折に大きく分かれます。交通事故などで大きな衝撃が加わった際にも生じますが、高齢者が転倒した場合に起こることが多いです。強くぶつけたりひねったりした後から太もも(または股関節)が痛く、足が動かせない場合には、大腿骨骨折の可能性があります。それ以外に似た症状を来たす外傷としては肉離れ筋断裂)や靭帯損傷などがあります。骨が明らかに曲がっているといったような場合は骨折とすぐに分かりますが、それ以外のときにご自身で大腿骨骨折と診断するのは必ずしも容易ではありません。

ご自身の症状が大腿骨骨折でないかと心配になった時、まずは整形外科のクリニックや、お近くの救急外来を受診されることをお勧めします。痛みで全く立ち上がれないという時には救急車での受診が適切でしょう。歩いての受診が可能で、結果的に骨折ではなく筋肉の問題であればクリニックで対応が可能です。実際に医療機関を受診された後は、大腿骨骨折の診断は診察とレントゲン(X線)検査で行います。場合によってはCT検査やMRI検査、超音波(エコー)検査などを補助的に使用します。もし診断が大腿骨骨折で手術が必要そうな場合には、レントゲンやその他行われた診察、検査の結果をまとめた診療情報提供書(紹介状)とともに、手術可能な病院を紹介してくれます。

受診先として、総合病院の救急外来は相対的に待ち時間が少ないというメリットもある一方で、専門の整形外科医ではなく広く浅く診察をする救急医やその他の当番医などが初期対応に当たることも多いです(日中は救急外来が開いていないこともあります)。総合病院の整形外科外来は、飛び込みで受診するには患者数が多く(待ち時間が長く)、また診療情報提供書を持っていないと受診ができなかったり、追加料金が必要となったりします。

大腿骨骨折に関連する診療科の病院・クリニックを探す

大腿骨骨折でお困りの方

大腿骨骨折の場合、軽度のものを除いて原則は手術が必要となります。ただしご高齢の方や心臓、肺、その他の臓器に持病がある方などで手術を行うリスクが大きい場合には、自然に骨がつくのを待つこともあります。治療法について、詳しくは大腿骨近位部骨折など、骨折の部位別のページもご参考になさってください。大腿骨骨折は、診断がつき次第その場で治療が開始されますので、どこでどのような治療を受けるかを迷う余地は少ない疾患かもしれません。

手術後は、あまり安静にし過ぎているとかえって関節が固まって動かしづらくなってしまうため、痛みに耐えられる範囲で早期からリハビリテーションを開始していきます。

ご高齢の方で入院中に筋力が低下してしまったり、以前のように歩くことが難しくなってしまった場合には長期間のリハビリテーションが必要となります。一人で日常生活を行うことができないような場合には、急性期病院から回復期病院(リハビリ病院、療養型病院)に転院して、リハビリを行います。

急性期病院にも一般的にリハビリの施設はついていますが、回復期病院の方がリハビリに専念しやすい環境が整っています。一緒にリハビリを行うことになるのは理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といったスタッフですが、患者さん一人あたりのスタッフ数や、リハビリ設備(リハビリ室や器具)の充実度といったところが病院を探す上で参考になります。リハビリの回数が1日1回なのか、それとも午前と午後で2回あるのか、1日に受けられるリハビリの総時間、土日はどうかといった点も、回復期の病院を探すうえでのポイントとなります。

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