かいようせいだいちょうえん
潰瘍性大腸炎
免疫の異常により大腸の粘膜に炎症が起こり下痢や血便を起こす原因不明の病気。10代から30代で発病し長年続くことが多く、大腸がんなどの原因となることがある
9人の医師がチェック 169回の改訂 最終更新: 2022.11.07

潰瘍性大腸炎になると出やすい症状

潰瘍性大腸炎になると血便、しぶり腹、下痢、腹痛などの腹部症状があらわれるほか、熱やだるさを伴うこともあります。血の混じった下痢が止まらなかったり、強い腹痛がある場合は、重症のサインの可能性があります。

1. お腹の症状にはどんなものがあるか?

潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)は免疫細胞によって大腸(結腸や直腸)が攻撃され、潰瘍という、えぐれた傷ができる病気です。その結果、以下のようなお腹の症状を伴います。これらの症状は数週間から数ヶ月単位で持続していることが一般的です。

  • 血便・粘血便
  • しぶり腹
  • 下痢
  • 腹痛

血便・粘血便

潰瘍性大腸炎は大腸(結腸や直腸)に潰瘍ができる病気です。潰瘍ができた場所からは出血が起こるため、潰瘍性大腸炎の人では便に血液が付着したり混入することがあります(血便)。また、粘血便といってネバネバとした血便が出ることがあります。

しぶり腹

しぶり腹とは便意を感じるにも関わらず、トイレに行って排便しようとしても便が出ない状態を言います。しぶり腹は大腸(結腸や直腸)に潰瘍ができたことにより感じる痛みの刺激を体が便意と勘違いすることで起こります。そのため、便意を感じながらも実際にはお腹に便が溜まっているわけではないため、排便できないということが起こります。

症状としては便秘の時のものと似ていますが、しぶり腹はお腹に便が溜まっていなくても起こる点で便秘とは異なります。

下痢

大腸は本来、便の中の水分を吸収する役割を担っています。潰瘍性大腸炎により大腸がちゃんと機能を果たせなくなると、便の中の水分を吸収できなくなるため、下痢を起こします。潰瘍ができた腸からは出血が同時に起こるので、血の混じった赤い下痢になることがあります(血性下痢)。

腹痛

潰瘍性大腸炎による腹痛は下腹部や臍(へそ)の周りにあらわれることが多いです。強い腹痛がある場合には、重度な潰瘍性大腸炎によって腸穿孔(ちょうせんこう)や中毒性巨大結腸症といった状態が引き起こされている可能性があるため、注意が必要です。「重症のサインとは?」で詳しく説明します。

2. 全身の症状にはどんなものがあるか?

潰瘍性大腸炎ではお腹の症状に加えて、全身症状を伴うことがあります。潰瘍性大腸炎に見られる全身症状には以下のものがあります。

  • 発熱
  • だるさ(倦怠感
  • めまい・ふらつき・動悸
  • 食欲不振・体重減少

発熱

発熱は中等症から重症の潰瘍性大腸炎で見られる全身症状の一つです。軽症の潰瘍性大腸炎では発熱はあまり起こりません。

倦怠感(だるさ)

潰瘍性大腸炎の人ではだるい、疲れやすいといった症状があらわれることがあります。潰瘍性大腸炎によるだるさや疲れやすさは治療により改善する可能性があります。

貧血症状(めまい・ふらつき・動悸・息切れなど)

潰瘍性大腸炎では炎症による消耗や腸から出血が起こることで貧血が起こることがあります。貧血は一般的には「めまい・ふらつき」などの症状自体をさす言葉として使われることもありますが、医学的用語では「赤血球が減った状態」のことをさして使われます。赤血球は全身に酸素を送り届ける役割の血液の細胞です。

貧血が起こると、体のいろいろな不調を自覚します。具体的にはめまい、ふらつき、動悸(心臓がばくばくする)、息切れなどがあります。

食欲不振・体重減少

潰瘍性大腸炎は腸の調子が悪くなることや体力の消耗の結果、食欲がわかなくなることがあります。また食欲不振が続くと体重減少の原因にもなります。

それ以外の症状は?

潰瘍性大腸炎ではお腹の症状に加えて、発疹や関節症状があらわれることがあります。

発疹

潰瘍性大腸炎の皮膚の症状として以下のものがあります。

  • 結節性紅斑(赤い痛みを伴う発疹)
  • 壊疽性皮症(皮膚の潰瘍)

結節性紅斑(赤い痛みを伴う発疹)

潰瘍性大腸炎では赤く腫れあがった痛みを伴う発疹が出ることがあります。このような発疹を医学用語で結節性紅斑と呼びます。結節性紅斑は足のひざより下の部分にできることが多いです。

■壊疽性膿皮症(皮膚の潰瘍)

潰瘍性大腸炎では壊疽性膿皮症(えそせいのうひしょう)と呼ばれる皮膚の潰瘍ができることがあります。潰瘍は皮膚の黒ずみを伴うことが多く、痛みがあります。場所は手足にできることが多いです。潰瘍は一つだけでなく何個もできることもあります。

関節の症状

潰瘍性大腸炎では以下のような関節の症状があらわれることがあります。

  • 関節の腫れ、痛み
  • 手のこわばり
  • 腰の痛み

■関節の腫れ・痛み

潰瘍性大腸炎では手足の関節の腫れや痛みが出ることがあります。関節の腫れはなかなかイメージが難しい症状ですが、具体的には突き指捻挫(ねんざ)した時の腫れに似ています。関節に水が溜まっていると感じる方もいます。

■手のこわばり

手のこわばりとは指をにぎりにくい症状のことです。潰瘍性大腸炎では関節の腫れの結果、関節がスムーズに動かせなくなることで起こります。手のこわばりは朝に症状がひどいことが多く、夕方になると良くなっていくことが多いです。

■腰の痛み

潰瘍性大腸炎の関節の症状の一つに腰の痛みがあります。腰の痛みが関節の症状と聞いて、不思議に思う方も多いと思いますが、実は腰周りにも背骨を構成する関節(脊椎関節)や骨盤を構成する関節(仙腸関節)があります。潰瘍性大腸炎では大腸だけでなく、腰周りの関節にも炎症が起きる人がいます。その結果、腰の痛みが誘発されます。

腰の痛みは健康な人でもよく遭遇する症状です。では、潰瘍性大腸炎と関連した腰の痛みと一般的な腰の痛みにはどのような違いがあるのでしょうか。潰瘍性大腸炎で以下のような腰の痛みがある場合には、潰瘍性大腸炎と関連した腰の痛みの可能性があります。

  • 3ヶ月以上続いている
  • 徐々に悪くなっている
  • 体を動かすと腰痛がよくなる
  • 安静にすると腰痛が悪くなる
  • 腰の痛みで夜に目がさめる
  • 日によって腰痛が左右変わる

潰瘍性大腸炎の人で上記の症状があり、潰瘍性大腸炎に関連した腰の痛みが疑われる場合は腰椎MRI検査を勧められることがあります。

3. 重症のサインとは?

潰瘍性大腸炎はまれに重症化する時があります。重症のサインには、以下のような症状があります。

  • 38度を超えるような熱が続く
  • ひどい動悸がある
  • 血の混じった下痢(血性下痢)がとまらない
  • 強いお腹の痛みがある
  • お腹の張りが強い

また、これらの症状がある場合、中毒性巨大結腸症や腸穿孔に陥っている可能性があります。中毒性巨大結腸症や腸穿孔は緊急を要する状態であり、できるだけ早く病院を受診する必要があります。

中毒性巨大結腸症

潰瘍性大腸炎の非常に状態が悪いものでは、大腸(医学用語では結腸と呼ぶ部分)が全く動かなくなり、大腸内のガスを肛門から出すことができなくなります。その結果、大腸に大量のガスがたまり、ふくらんだ状態が中毒性巨大結腸症です。中毒性巨大結腸症は、大量のガス貯留の結果、大腸が破裂することがあり非常に危険な状態です。中毒性巨大結腸症では緊急手術が勧められることが多いです。

腸穿孔

潰瘍性大腸炎の状態が非常に悪いと腸に穴があいてしまうことがあります。この状態を腸穿孔(ちょうせんこう)と呼びます。腸穿孔を起こすと腸の内容物がお腹の中にまき散らされるので、非常に危険です。腸穿孔は命に関わることもあり、緊急手術が必要です。