きゅうせいちゅうじえん
急性中耳炎
耳の奥の中耳という場所に感染が起こる病気で、子どもに多い
24人の医師がチェック 283回の改訂 最終更新: 2026.04.05

中耳炎の薬:大人と子供で違う?抗生物質は要る?

急性中耳炎では、薬による治療が中心になります。医療機関でいくつもの薬を処方されると、不安に感じることがあるかもしれません。ここでは、安心して治療を受けられるように、急性中耳炎に使われる薬について説明します。

1. 中耳炎は薬局の薬で治る?

急性中耳炎で最も多い症状は、耳の痛みです。耳が痛くなっても、すぐに病院を受診できないことがあります。そのようなときは、市販の鎮痛薬で一時的に痛みを和らげることができます。

急性中耳炎では、体が温まると痛みが強くなりやすく、入浴後や夜間に症状が悪化することがあります。夜間などですぐに受診できない場合には、その場で症状をやわらげる方法として、市販の鎮痛薬が役立ちます。

市販の鎮痛薬には、バファリン®A、ロキソニン®S、新セデス®錠、リングル®アイビーなどがあります。子ども向けの鎮痛薬としては、小児用バファリンCIIがあり、3歳以上で使うことができます。

ただし、市販薬で急性中耳炎そのものが治るわけではありません。また、耳の痛みの原因は急性中耳炎だけではありません。痛みが続く場合には、あとで耳鼻咽喉科を受診し、原因を確認してください。

2. 中耳炎に処方される薬は?

医療機関で急性中耳炎と診断された場合、主に次のような薬が処方されます。

  • 抗生物質
  • 鎮痛薬
  • 気道疾患治療薬
  • 点耳薬

急性中耳炎では、軽症であれば対症療法を行いながら経過をみることがあります。一方、症状が強い人や、鼓膜の炎症が強い人、耳だれがある人などには、抗菌薬を使います。痛みや発熱がある人は鎮痛薬を使い、鼻水が多いときには鼻の症状を整える薬を併用することがあります。急性中耳炎の治療では、こうした薬を組み合わせて使います。

中耳炎は副鼻腔炎の薬で治る?

急性副鼻腔炎に続いて急性中耳炎になることがあります。この場合、副鼻腔炎に対して処方された薬が中耳炎にも一部有効なことはありますが、耳の痛みなど急性中耳炎を疑う症状が新たに出た場合には、自己判断で対応せず、耳鼻咽喉科を受診してください。

また、家に残っている抗菌薬を自己判断で飲むことは避けてください。診断をつけたうえで、その時の症状や原因に合わせて治療を選ぶことが必要です。

副鼻腔炎から中耳炎になった場合には、次の2つのパターンが考えられます。

急性副鼻腔炎に続く急性中耳炎では、鼻やのどのウイルス細菌中耳に及ぶことが原因になります。一方、慢性副鼻腔炎では、耳管の働きが悪くなって中耳に液体がたまり、滲出性中耳炎になることがあります。こちらは急性中耳炎と異なり、耳の痛みは目立たず、聞こえにくさや耳の詰まった感じが主な症状になります。

中耳炎で塗り薬を使うことはある?

急性中耳炎で塗り薬を使うことはありません。外用薬を使うとすれば、鼓膜に穴があいて耳だれが出ている場合に、点耳薬を使うことがあります。鼓膜に穴がない通常の急性中耳炎では、点耳薬の効果は期待しにくいとされています。

大人と子供で処方される薬は違う?

基本的な考え方は大きく変わりません。軽症では抗菌薬を使わずに対症療法で経過をみることがあり、症状が強い場合には抗菌薬を使います。急性中耳炎の原因菌としては、肺炎球菌インフルエンザ菌、モラキセラ・カタラーリスがよく知られており、抗菌薬を使う場合はこれらを意識して選びます。第1選択はアモキシシリンで、耐性菌が疑われる場合などにはアモキシシリン・クラブラン酸が使われることがあります。

一方、解熱鎮痛薬は年齢によって選び方が異なります。子どもではアセトアミノフェンがよく使われ、大人ではNSAIDsが使われることもあります。
アセトアミノフェンとNSAIDsの違いは「「ロキソニン」と「カロナール」は何が違うの?解熱鎮痛剤の特徴について解説」で詳しく解説しているので参考にして下さい。

子どもと赤ちゃんで処方される薬は違う?

子どもと赤ちゃんで、使われる薬の種類そのものは大きく変わりません。ただし、赤ちゃんでは飲みやすさを考えて、細粒、シロップ、座薬など、剤形を調整して処方することが多くなります。

抗菌薬では、飲みやすいように細粒が使われることが多く、苦くて飲みにくい場合には、飲ませ方を工夫することがあります。また、抗菌薬では下痢が副作用として出ることがあるため、整腸剤があわせて処方されることもあります。解熱鎮痛薬は、細粒、シロップ、座薬などから選ばれます。飲みやすさや使いやすさに応じて、医師に相談してください。

3. 授乳中の中耳炎の薬は?

授乳中に急性中耳炎になった場合でも、鼓膜の所見や症状の強さに応じて治療を行います。軽症であれば、鎮痛薬などで対症療法を行いながら数日経過をみることもあります。耳鼻咽喉科で鼻の処置やネブライザーを行うこともあります。急性中耳炎では、軽症例では対症療法を行いながら経過をみる考え方がガイドラインでも示されています。

痛みが強い場合には、アセトアミノフェン(カロナール®など)は授乳中でも使いやすい薬です。アセトアミノフェンは母乳中への移行が少なく、通常量であれば授乳中に問題となりにくいとされています。

炎症が強く、痛みも強い場合には抗菌薬を使います。アモキシシリン(サワシリン®など)は授乳中によく使われるペニシリン系抗菌薬で、母乳中への移行は少なく、授乳中でも一般に使用可能とされています。まれに乳児に下痢や発疹鵞口瘡などがみられることがありますが、通常は大きな問題になりにくいとされています。

4. 中耳炎で処方される抗生物質は?

軽症の急性中耳炎では、抗菌薬を使わずに対症療法を行いながら経過をみることがあります。一方、症状が強い場合や、耳からが出ている場合などには、抗菌薬を使います。

軽症例で抗菌薬を使わないことがあるのは、自然に改善するものが少なくないためです。不必要に抗菌薬を使うと、効果が乏しいだけでなく、下痢などの副作用や、薬が効きにくい耐性菌の増加につながることがあります。そのため、抗菌薬は本当に必要なときに使います。

急性中耳炎の原因菌としては、インフルエンザ菌、肺炎球菌、モラキセラ・カタラーリスがよく知られています。これらに対して、第1選択としてよく使われる抗菌薬がアモキシシリン(商品名:サワシリン®、ワイドシリン®など)です。直近1か月以内に抗菌薬を使っていた場合や、耐性菌が疑われる場合には、アモキシシリン水和物・クラブラン酸カリウム(商品名:クラバモックス®など)を使うことがあります。

抗菌薬を使うと、下痢などの副作用が出ることがあります。そのため、小児では整腸剤があわせて処方されることもあります。抗菌薬は自己判断で中断せず、処方されたとおりに飲んでください。

急性中耳炎の抗菌薬治療は「感染症治療薬ガイドの急性中耳炎」でも詳しく説明しているので参考にして下さい。