睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状について:いびき、呼吸が止まる、日中の眠気など
睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に呼吸が止まってしまう病気です。睡眠中の酸欠が身体に様々な悪影響を及ぼします。ここではいびき、寝ている時の息苦しさ、日中の眠気などよくある症状を中心に、関連する様々な症状について解説します。
1. 睡眠時無呼吸症候群の主な症状
睡眠時無呼吸症候群は寝ている間に呼吸が止まる、あるいは止まりかける病気です。睡眠時無呼吸症候群のタイプは大きく分けて以下の2つあります。
【睡眠時無呼吸症候群の分類】
- 閉塞性睡眠時無呼吸症候群
- 中枢性睡眠時無呼吸症候群
まずは閉塞性の睡眠時無呼吸症候群について説明します。ほとんどの人はこのタイプに当てはまります。肥満などの影響により喉で空気の通り道が狭くなって
次に中枢性の睡眠時無呼吸症候群についてです。こちらは、寝ている間に脳から呼吸をしようとする指示が正しく出なくなるタイプです。心臓の病気(心房細動、心房粗動、
以下ではこれらのタイプ別に、主な症状を紹介します。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の症状
まずはメジャーなタイプの閉塞性睡眠時無呼吸症候群についてです。以下のような症状がよく出ます。
【閉塞性睡眠時無呼吸症候群の主な症状】
- いびきをかく
- 睡眠中に窒息感、あえぎ呼吸を自覚する
- 日中に過度の眠気がある
- 睡眠中に呼吸が止まる(他人から指摘される)
- 夜間に起きてしまう
- 起きたときに頭が痛い
- 起きたときに喉の渇きがひどい
- 疲れがとれない など
いびきや睡眠中の呼吸停止などは分かりやすい症状なので、聞いたことがある人も多いかもしれません。また、日中の眠気もよく知られている症状であり、電車やバスの運転手さんなどの居眠り運転の原因として、しばしば社会問題に取り上げられます。
しかし、症状から睡眠時無呼吸症候群を疑うことはできても、症状だけで診断を確定することはできません。上に箇条書きした中では「睡眠中に窒息感、あえぎ呼吸を自覚する」というのが最も閉塞性睡眠時無呼吸症候群の可能性が高い症状と分かっています。それでも診断を確定するためには、医療機関で検査を受ける必要があります。
中枢性睡眠時無呼吸症候群の症状
次に心臓や脳の病気が原因となって起こる中枢性睡眠時無呼吸症候群についてです。以下のような症状がよく出ます。
【中枢性睡眠時無呼吸症候群の主な症状】
- 疲れがとれない
- 息苦しい
- 睡眠中に呼吸が止まる(他人から指摘される) など
閉塞性の睡眠時無呼吸症候群と異なり、日中の眠気やいびきなどの症状は出にくいと言われています。また、何か症状があっても元々の心臓や脳の病気によるものと紛らわしいこともあります。そのため、検査を受けてみないと発見しにくい病気とも言えます。
2. 睡眠時無呼吸症候群に関連した症状
睡眠時無呼吸症候群は放置すると、高血圧、糖尿病、肥満、心不全、脳卒中など様々な病気の要因となることが分かっています。また、中枢性睡眠時無呼吸症候群では、原因となる心臓の病気(心房細動、心房粗動、うっ血性心不全など)や脳の病気などによる症状も出現します。
このように非常に多くの病気に関連するため、それらの病気による症状から睡眠時無呼吸症候群を疑うのは難しいものです。したがって「1. 睡眠時無呼吸症候群の主な症状」に心当たりがある人は、まずは医療機関で相談してみることをお勧めします。
3. 受診する診療科
睡眠時無呼吸症候群は病名に含まれる通り、呼吸器内科が主に専門としている病気です。他にも耳鼻科、循環器内科、神経内科、精神科、脳外科、老年病科など様々な科で診療していることがあります。
精密検査には特殊な検査機器が必要になり、1泊入院になることが多いです。そのため呼吸器内科でも検査に対応していないこともよくあります。したがって受診の際には、睡眠時無呼吸症候群の診療に対応しているか電話で確認してから受診することをお勧めします。この病気だけを専門にしている医療機関もあるので、そうしたところを探すのも良さそうです。
参考文献
日本呼吸器学会/厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業「難治性呼吸器疾患・肺高血圧症に関する調査研究」班/監修, 「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の