「2回目は高熱が出たけどカロナールを服用したら大丈夫だった」新型コロナワクチンを体験した医師が思う皆さんに伝えておきたい心構え | MEDLEYニュース
2021.06.08 | コラム

「2回目は高熱が出たけどカロナールを服用したら大丈夫だった」新型コロナワクチンを体験した医師が思う皆さんに伝えておきたい心構え

新型コロナのワクチン(筆者はファイザー社のもの)を打つ前の心構えと打った後の様子(副反応)について医師目線で報告します
「2回目は高熱が出たけどカロナールを服用したら大丈夫だった」新型コロナワクチンを体験した医師が思う皆さんに伝えておきたい心構えの写真
(c)Aleksandra Gigowska-stock.adobe.com

新型コロナウイルス感染症が席巻し始めたときから、感染症に関わる多くの医師たちは「予防行動とワクチンがキーとなる」と皆さんに伝えてきました。その根拠はいくつかありますが、新型コロナに対して優れた治療薬がないということが戦略に大きな影響を与えているのは間違いありません。つまり、特効薬がないのであれば、かからないようにすることが一番重要になってくるというわけです。このコラムを書いている2021年6月でも特効薬はない状況ですので、このスタンスに変化はありません。

さて、海外諸国にやや遅れて、2021年2月から日本国でもワクチン接種が始まっています。暗く長いトンネルにやっと光明が見えてきたという気持ちになりますね。当初の予定では医療者が3月いっぱいでワクチン接種を終えて4月から高齢者が受け始めるというものでした。しかし、今のところ遅れが生じており、医療者も340万人ほどしかワクチン接種が完了していない状況です(2021年6月4日の状況)。かくいう私も2回目のワクチン接種が完了してからそこまで経っていません。

こうした遅れについて不満も多いとは思いますが、関係各所で手を抜いているわけでもないですし、不満を言って実際に汗をかいている人のモチベーションを下げるくらいなら、遅れた原因を把握して次に活かしていくことのほうが上善であると個人的には考えています。モデルナ社とアストラゼネカ社のワクチンが承認されたことによって、納入されるワクチンの数は格段に増えていくのは自明ですので、これからは人的リソース拡充やオペレーション周りの改善により期待がかかります。自分も医師の端くれとして、時間が許せばワクチン接種業務にも協力していくつもりです。

 

コロナワクチンに対する賛否両論

話はややそれましたが、本題に戻りましょう。

武漢で新型コロナウイルス感染症が見つかってから1年かからずにワクチンが実装されました。急ピッチでワクチンの製造・治験(有効性と副反応の確認)・接種へと至ったため、副反応について懸念する人が少なくありません。本来のスケジュールでいくと新しいワクチンの承認までに10年かかると言われていることもあり、とんでもない猛スピードでのワクチンの実装を、かえって訝しんで見てしまう気持ちはわからなくもありません。

しかし、コロナ禍に突入してしまった以上、ワクチンによる予防効果の恩恵は相当なものと考えられます。感染予防のみならず、重症化率や死亡率の低下にも寄与するわけで、こうしたメリットについてもフェアな気持ちで目配りする必要があります。また、副反応についても治験の段階で慎重な検討がなされて実用可能という判断に至っていることは忘れてはなりません。

そしてなにより、現在のような抑圧された生活を強いられている状況から以前に近い生活まで戻ることを、ほとんどの人が願っているはずです。みなさんには、強いネガティブな感情でワクチンを忌避するのではなく、ワクチンに関連するポジティブな情報もネガティブな情報もフェアに天秤にかけるようにしていただきたいです。

 

ワクチンを打つ前に予想されること

起こった事象の中で良いことと悪いことをフェアに見ていくことを検証といいます。今回のコロナに限らず、世にあるワクチンはこうした検証を経て実施されています。ここで注意したいのは、ワクチンで有害事象が起こる確率がゼロであるわけではないということです。つまり、ワクチンによるデメリット(ここでは副反応とします)が許容範囲であり、ワクチンのメリットがデメリットを上回ると考えられた場合には、ワクチンは実施されるというわけです。これは今回のワクチンに限らずすべての医薬品において言えることです。

ところで、コロナワクチンで得られるメリットとは何でしょう。いろいろと考えられると思いますが、次のものが主になると思います。

 

【コロナワクチンに期待される主なメリット】

  • 新型コロナにかかりにくくなる(感染予防)
  • 新型コロナになっても重症になりにくくなる(重症化予防)
  • 新型コロナ患者の死亡者数が減る(死亡者数減少)
  • 多くの人が接種することで以前と同じ生活ができるようになる(集団免疫獲得)

 

2020年2月から抑圧された生活を過ごしてきた我々は、生活が昔のように戻ることを切に願っているはずです。これらのメリットは決して小さくないどころか、とてもありがたいものですよね。

一方で、ワクチンを打ったときのデメリットにはどんなものがあるでしょう。

 

【コロナワクチンの主なデメリット】

  • 発熱
  • 悪寒
  • 頭痛
  • 筋肉痛
  • 倦怠感
  • 注射部位の腫れ
  • アナフィラキシー(100万回接種で2-5回程度)

 

これらの症状は基本的に接種してから1-2日後にはなくなります。また、アナフィラキシーショック状態になると命に関わる重症になりますが、現在のところアナフィラキシーショックが明らかな原因となった死亡者は出ていません(2021年5月26日)。また、他にはアストラゼネカ社製のワクチンで若い女性を中心に血栓症の報告が見られていますが、これも詳しいデータ解析が待たれる段階です。例えば、血栓症を起こしやすいことがわかっているピルの内服が別の隠れた要因となっていないかなど、きちんと解析する必要があると考えています。

 

私は医療者なので3月にコロナワクチン接種の打診をいただき、その後2回接種しました。初めて接種するワクチンであったため不安があったのは事実ですが、だからこそ今までのデータからわかったことを冷静に見つめるように努めました。私の場合は上に述べたメリットとデメリットを踏まえた上で、ワクチンを接種することを選んだというわけです。

 

初回ワクチンを打った当日 

接種時間は夕方でしたので、それまでは普通に勤務していました。なんだかソワソワする気持ちはあれど、別にどうということもなく接種時間を迎え、利き腕と反対側の肩(私の場合は右肩の三角筋)に筋肉注射しました。

本当に全く痛みはなく、むしろちゃんと薬剤が入ってきたのかを疑うレベルでした。身構えていたところに拍子抜けしたくらいでしたが、接種してから3,4時間ほど経つとだんだんと右肩に痛みを覚えるようになり、「これが噂に聞いていた痛みか」と変に納得した記憶があります。それでも痛み止めを飲むほどではなく、普通に暮らしていました。

 

初回ワクチンを打った翌日以降

朝起きると肩の痛みの悪化に驚きました。昔から野球をやってきたのですが、ちょうど投手をした翌日のような感じで、肩全体に張りと強い痛みが覆っているような状態でした。一方で、肩の不調以外には特にこれといったものはなく、痛みもその翌日には自然になくなっておりランニングもできるくらいでした。

 

2回目のワクチンを打った当日(3週間後):高熱でカロナール(アセトアミノフェン )を使用

私の打ったワクチンはファイザー社のものでしたので、初回の接種の3週間後に2回目の接種を行います。すでに蓄積されたデータから、2回目の接種の後のほうが発熱などの副反応が出やすいとわかっているため、身体の変化に注意しながら過ごそうと考えていました。

打った直後は前回と変わらず特に痛みも違和感も覚えませんでしたが、接種から数時間経つとなんだかボーッとしてきます。しかし、周囲では接種の翌日に熱を出す人が多かったため、気のせいだろうと高をくくっていましたが、一向に回復する様子がありません。さすがにおかしいかなと思い体温計をあててみると38.8度を指しているではありませんか。自分の身体の反応の速さに少々びっくりしながら慌てて解熱薬(カロナール®)を飲んで、最小限の仕事をしながら過ごしてました。熱は37度くらいに下がりましたが、ふらふらする感覚とだるさが抜けないために早めに帰って寝ることにしました。

 

2回目のワクチンを打った翌日以降:

翌朝起きると火照る感じがあり、体温は39.1度まで上がっていたため、すぐにカロナール®を飲んで二度寝しました。お昼前に起きて体温計で測ると38.1度で、あまり状況の改善を感じなかったため、やる予定だったタスクは翌日以降に回してゆっくりすることにしました。1日のほとんどをベッドの上で過ごしたおかげか、夜になるとほぼ平熱になっており、「これなら明日は普通に社会復帰できるな」と安心したことを覚えています。

その後は発熱もなく、体調不良は2日間のみで済みました。振り返ると1回目の接種と違い肩の違和感はほとんど見られず、高熱と軽い倦怠感のみが症状として見られたのが私の2回目接種の特徴だったのかもしれません。しんどい症状も期間限定という気持ちでいたので、強い不安が襲ってくるということはありませんでした。

 

個人的感想を踏まえた皆さんへのアドバイス

以上体験談をお伝えしました。ワクチン接種後の症状の出やすさについては厚生労働省がまとめたページがあるので参考にしてください。私の場合もそうでしたが、接種後は肩の痛みや腫れに加えて発熱と倦怠感が見られやすい症状になります。また、めまいや吐き気なども頻度が低いながらも見られることもありますが、私の周囲には全く症状がなかったという人もいます。このように、現れる症状は人によってさまざまである点には注意が必要です。

 

おすすめしたい心構え

症状の個人差を理解しつつも、基本的には接種後には副反応が出ると考えておいたほうが良いと思います。特に発熱と倦怠感に関しては、しんどいなと思ったらすぐにカロナール®やロキソニン®などの解熱薬を用いるようにしてください。期間限定の症状とはいえ身体がきついのを我慢する必要はありません。

また、アナフィラキシーにも注意が必要です。アナフィラキシーは基本的に接種から15〜30分以内に起こることが多いので、接種後はしばらく体調の観察をする段取りとなっています。ですから、帰宅後にアナフィラキシーが起こることはほとんどありませんが、万が一体調が明らかに優れないと感じた場合には医療機関に連絡するようにしてください。特に、意識が朦朧とする場合と息苦しさを覚える場合は遠慮することなく連絡するサインです。

*カロナール®️:医療機関で処方されるアセトアミノフェン製剤です。同じ成分を含む薬剤「タイレノール®️A」が市販薬として購入できます。

 

まとめ

【コロナワクチン接種にあたって知っておくと良いポイント】

  • コロナワクチンの注射自体はたいして痛くない
  • 接種後の副反応は2回目の後のほうが出やすい
  • 痛みや発熱に対して解熱鎮痛薬を遠慮せずに使って、無理せず休む
  • 意識朦朧と呼吸困難は危ないサインなので見逃さない

 

いまだかつてない大規模なワクチン接種施策によって、皆さんのワクチン接種の番も近づいています。しかし、コロナ禍から抜け出すためにワクチン接種は重要であるとわかっていても、副反応に不安を覚える人も少なくないことでしょう。私は感染症に関わる医師として、皆さんの不安が少しでも緩和されることを願ってこのコラムを書きました。参考にしていただけるとありがたいです。

ゲームチェンジャーとして期待されるワクチンをうまく使って、昔のように仲間と楽しく過ごす時間や旅行する喜びを取り戻しましょう。

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。