2018.02.05 | ニュース

慢性便秘症の薬ほか、新薬4製品はどんな薬?

添付文書記載の臨床試験を中心に

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1月19日に、厚生労働省が新薬13製品を承認しました。そのうちグーフィス、ネキシウム、レキサルティ、イブリーフの効能・効果などを紹介します。

グーフィスとは?

グーフィス®(一般名エロビキシバット)は、排便を促す薬です。「慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)」を効能・効果として承認されました。「器質的疾患による」とは腸などに目に見える原因があることを指し、エロビキシバットは目に見える原因がない便秘に対する治療となります。

臨床試験では、対象者を2グループに分け、エロビキシバットを飲むグループと偽薬を飲むグループで比較したところ、飲み始めてから1週間の自発排便回数は偽薬のグループで以前から1.73回増加、エロビキシバットのグループで以前から6.40回増加となりました。別の臨床試験で対象者がエロビキシバットを52週間飲み続けたところ、自発排便回数は同程度で推移しました。

副作用として腹痛・下痢などが現れました。

 

ネキシウムとは?

ネキシウム®(一般名エソメプラゾール)は、胃酸の分泌を減らす薬です。プロトンポンプ阻害薬(PPI)に分類されます。胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの治療として、大人に対しては以前から使われている薬です。

従来、「小児等に対する安全性は確立していない(国内での使用経験がない)」とされていましたが、新しく胃潰瘍・十二指腸潰瘍などの効能・効果について小児の用量が追加され、子供も使えるようになりました。子供が使えるPPIは日本で初めてとなります。

同時に、従来のカプセル剤に加えて顆粒剤が新しく承認されました。カプセル剤がうまく飲めない子供でも顆粒剤なら飲める場合があります。

子供に対する臨床試験では、治療前に胸やけ、呑酸(口の中が酸っぱくなる症状)、心窩部痛(みぞおちあたりの痛み)、上腹部不快感の症状があった対象者がエソメプラゾールを飲んだところ、40%以上の割合で症状が消失しました。

副作用として、エソメプラゾールを飲んだ対象者50人のうち1人に下痢と腹痛、1人に光線過敏性反応が現れました。

 

レキサルティとは?

レキサルティ®(一般名ブレクスピプラゾール)は「統合失調症」を効能・効果として承認されました。

国内の臨床試験では、偽薬を飲むグループとブレクスピプラゾールを飲むグループを比較して、症状のスコア(PANSS総スコア)の変化を見たところ、ブレクスピプラゾールを1日2mg飲んだグループでは偽薬のグループよりも大きい改善がありました。

副作用としてアカシジア(じっとしていられない症状)、高プロラクチン血症などが現れました。

 

イブリーフとは?

イブリーフ®(一般名イブプロフェン L-リシン)は、未熟児動脈管開存症で「保存療法(水分制限、利尿剤投与等)が無効の場合」を効能・効果として承認されました。

動脈管は胎児で機能している血管です。生後は動脈管が閉じるのが普通ですが、早産などで動脈管が開いたままの状態(動脈管開存症)でいると、血液の循環に影響があります。

イブプロフェン L-リシンと偽薬を比較した臨床試験では、治療開始から14日以内に死亡、研究から離脱、ほかの治療に切り替えのいずれかとなった子供の割合が、偽薬のグループでは52.9%(68人中36人)でしたが、イブプロフェン L-リシンのグループでは30.9%(68人中21人)と少なくなりました。

副作用として頭蓋内出血、敗血症、無呼吸、代謝性アシドーシス、壊死性腸炎などが現れました。

 

まとめ

1月に承認された新薬13製品のうち4製品を紹介しました。同日に承認されたほかの9製品は別の記事で紹介しています。

関連記事:非小細胞肺がんに対する免疫チェックポイント阻害薬ほか、新薬4製品

関連記事:アトピー性皮膚炎の注射薬ほか、新薬5製品はどんな薬?

新薬が加わることにより、保険診療として新しい治療法が使えるようになります。効能・効果や副作用に対応して報告されているデータを参考に、従来の治療法と比較することで、治療選択の幅を広げることができます。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

グーフィス錠5mg 添付文書、ネキシウム懸濁用顆粒分包10mg/ネキシウム懸濁用顆粒分包20mg 添付文書、ネキシウムカプセル10mg/ネキシウムカプセル20mg 添付文書、レキサルティ錠1mg/レキサルティ錠2mg 添付文書、イブリーフ静注20mg 添付文書

 

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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