2017.12.03 | ニュース

73歳男性の1年前から繰り返す腹痛、原因をCT検査で発見

レバノンから症例報告

from The American journal of case reports

73歳男性の1年前から繰り返す腹痛、原因をCT検査で発見の写真

大腸の一部に憩室(けいしつ)という飛び出た部分ができることがあります。憩室があるだけなら治療の必要はありませんが、憩室炎などを起こす場合もあります。憩室炎が繰り返し、異物が原因と思われた人の例が報告されました。

左下腹部痛を繰り返していた73歳男性

レバノンの病院の医師らが、憩室炎が繰り返していた人の検査の結果、飲み込んだ異物が原因と思われた例を、専門誌『American Journal of Case Reports』に報告しました。

この人は73歳男性で、1年前から繰り返していた左下腹部痛により入院となりました。

痛みは突然始まって繰り返すようになり、一度に長くて数時間続きました。周りに痛みの広がりはなく、解熱鎮痛薬でやや軽く、食事で重くなりました。その間にも数回入院となり、腹部CT検査X線(放射線)を用いて腹部の状態を調べる検査。肝臓や腸などの内蔵から骨や筋肉まで、様々な組織の状態を確認することができるの結果、S状結腸の憩室炎と診断されていました。S状結腸は大腸のうち左下腹部のあたりにある部分です。抗菌薬細菌感染症に対して用いられ、細菌の増殖を防ぐ、もしくは殺菌する薬。ウイルスや真菌(かび)には効果がない抗生物質微生物が産生する細胞の増殖や機能を阻害する物質。抗菌薬・抗ウィルス薬・抗がん薬を含む)で治療されましたが、再び痛みが現れて入院となることもありました。

新たにがん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがあるを疑って大腸内視鏡検査肛門から小さいカメラを直接大腸の中に入れて、大腸の内側の状態を見る検査。小腸まで観察することはできないが行われた結果、S状結腸に複数の憩室が見つかりました。さらに造影造影剤と呼ばれる注射薬を使用して、そのままでは画像検査で写りにくいものが写るようにすることCTX線(放射線)を用いて、体の内部を画像化して調べる検査検査を行ったところ、腸の内側に、骨のように白く写る細長い形の異物があり、尖った先端が腸を貫いているように見えました。腸の外の腹部や骨盤内に液体などがたまっている様子はありませんでした。

もう一度大腸内視鏡検査を行ったところ、複数の憩室は確認できましたが、異物は見つかりませんでした。再度のCT検査でも異物は見つからず、前の検査以後に移動したと思われました。

1週間の抗菌薬治療のうえ退院となり、報告時点まで症状の再発はありませんでした。

 

異物をどうやって見つける?

医師らは、この人が以前に憩室炎と診断されていたにもかかわらず原因が見つからなかった点について、「この例のように、症状のある異物誤飲の診断には、特に高齢者では、臨床的疑いを強く持ち、適切な画像撮影法を選ぶことが必要である」と記しています。

考察として、異物を飲み込むことはアルコール依存症の患者や高齢者、特に総入れ歯の人に多い点に触れたうえ、過去には鶏の骨でS状結腸憩室に穴が開いた例などが報告されていることを挙げています。

 

異物を飲み込んでしまったら

鶏の骨のようなものが憩室炎を引き起こしたと思われた人の例を紹介しました。結果として異物は特定できませんでしたが、無事に退院できたという結果でした。

この人のように経過が長い場合など、飲み込んだものと症状を結び付けにくいこともあるかもしれません。患者自身にとっては医師に委ねるしかない部分も大きいと思われますが、予測しにくい状況についてもこうした報告を通じて経験の共有と対策が図られ、医学は日々進歩を遂げています。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

Foreign Body Ingestion Causing Recurrent Diverticulitis.

Am J Case Rep. 2017 Oct 20.

[PMID: 29051475]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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