2017.09.08 | ニュース

全粒穀物でコレステロールは下がらず、病気予防効果は不明?

ランダム化対照試験の調査から
全粒穀物でコレステロールは下がらず、病気予防効果は不明?の写真
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玄米などの全粒穀物が体に良いのではないかとする報告が過去にはいくつも出ています。しかし試験の結果からは効果不明とする報告がなされました。

全粒穀物の効果はランダム化試験で確認されているか?

イギリスの研究班が、全粒穀物の効果について、過去の研究から出ている結果を調査して評価し、『The Cochrane Database of Systematic Reviews』に報告しました。

全粒穀物とは、穀物のうち玄米のように皮や胚の部分を除去していないものです。

 

何を調べたのか?

この研究は、全粒穀物を調べた研究のうち、参加者をランダムに分けて食事を指示する方法をとったもの(ランダム化対照試験)を調査対象としています。

医学研究の主な手法は、介入研究と観察研究に分けられます。観察研究とは、参加者からデータを得る以外に何も働きかけない(介入しない)方法です。介入研究は、研究者が指示した食べ物を食べてもらうなど、参加者に意図的に働きかける(介入する)ことによって、介入による違いを調べる方法です。ランダム化対照試験は介入研究です。一般にランダム化対照試験は観察研究よりも結果に確信を持てることが多いとされます。その反面、食事の影響のように研究者が管理しにくい要素を長期にわたって調べるランダム化対照試験は実行困難でもあります。

全粒穀物の効果について、多くの観察研究から、健康に有益とする報告が出ています。全粒穀物を試すランダム化対照試験も行われています。2007年の調査で、それまでのランダム化対照試験のデータを複数統合したところ、不確かな要素があるもののコレステロール値などが下がると見られるという結果が出ています。

今回の調査は2007年の報告を更新するものです。より新しい研究も調査範囲に含め、改めてランダム化対照試験の結果を評価しました。

 

16週間以内でコレステロール値は下がらない

調査により、採用基準を満たす9件の研究が見つかりました。食事介入を続けた期間は最も長いもので16週間でした。

全粒穀物と死亡率または心筋梗塞などの発症率との関係を直接調べた研究はありませんでした。全粒穀物と血中脂質などの関係が報告されていました。

総コレステロール値について次の結果が得られました。

全体で、全粒穀物群と対照群の間に総コレステロール値の差はなかった(平均差0.07、95%信頼区間-0.07から0.21、6件の試験、7件の比較、参加者722人、低い質の証拠)。

全粒穀物を食べたグループとそうでないグループの間で、総コレステロール値には差がないと見られました。ただし、結果が何らかの影響でずれている可能性は比較的大きいと見られました。

 

全粒穀物はやっぱり効かなかったのか?

全粒穀物を調べたランダム化対照試験の結果からは総コレステロール値が下がらないと見られるという報告を紹介しました。

2007年の報告と違う結論となりましたが、依然確信度は低く、「実際のところははっきりしない」という範囲を出るものではありません。

対して観察研究からは全粒穀物が病気予防に結び付くとした報告もあります。観察研究としては20年ほど追跡したものもあります。これほど長く続けてはじめて違いが見えるほどのわずかな差だと考えれば矛盾はないかもしれません。

食べ物と健康の関係についてはいろいろな角度から情報が出ています。どんなものでも「効く」「効かない」と単純に分けられることはなく、程度が大切です。長年にわたって定期的に大量に食べ続ければ、わずかな影響が積み重なることも考えられます。しかし「試してみよう」と思う前に、健康のためとはいえそれほど気を付け続けることが本当に可能なのか、ほかに食べたいものはなかったのかを考えてみる価値はあるでしょう。全粒穀物を食べようとするあまり炭水化物の食べ過ぎになってしまうようではかえって害になるかもしれません。

食べ物の「効果」は程度を見計らって、いくつもの面からの情報を組み合わせることで、生活の役に立てることができるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Whole grain cereals for the primary or secondary prevention of cardiovascular disease.

Cochrane Database Syst Rev. 2017 Aug 24.

[PMID: 28836672]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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