リウマチの薬の副作用で結核に?副作用が多い薬と少ない薬
関節リウマチの治療では、分子標的薬と呼ばれる薬が大切な役割を持っています。高い効果がある一方で、副作用として感染症などが知られています。これまでの報告から、薬の成分ごとに副作用の頻度を比較する研究が行われました。
分子標的薬の副作用の研究
ここで紹介する研究は、文献を集める方法で、分子標的薬の副作用について調べています。薬の副作用は治療中の病気による症状などと区別しにくい場合があるため、多くの研究では副作用の疑いがある出来事を「有害事象」と呼び、原因が副作用かどうかを問わずまとめて扱います。
調査対象として、複数の分子標的薬を比較して有害事象の頻度を調べた研究を集めました。
治療中止はエタネルセプトが少ない
基準を満たす61件の研究報告が見つかりました。集めた報告の内容から次の結果が得られました。
有害事象による治療中止のリスクは、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎においてアダリムマブまたはエタネルセプトよりもインフリキシマブで高かった。関節リウマチにおいて、深刻な
感染症 のリスクはアバタセプト、アダリムマブ、エタネルセプトよりもインフリキシマブで高かった。関節リウマチにおいて、有害事象または深刻な感染症または結核による治療中止のリスクは、アダリムマブよりもエタネルセプトで低かった。
アダリムマブ(商品名ヒュミラ)、エタネルセプト(商品名エンブレル)、インフリキシマブ(商品名レミケード)、アバタセプト(商品名オレンシア)について比較した結果が得られました。
多くの場合で、結核にかかるなどの重要な有害事象はインフリキシマブがほかの薬よりも多いと見られました。
分子標的薬をもっと安心して使える時代に
関節リウマチを治療する分子標的薬は最近20年以内で続々と登場し、治療法を大きく変えました。長期間使い続けたときの効果と副作用も検証されてきています。多くのデータが集まることで、薬をより正確に使い分け、最適な人が最適な薬で治療するための助けになります。
執筆者
Comparative Risk of Harm Associated With the Use of Targeted Immunomodulators: A Systematic Review.
Arthritis Care Res (Hoboken). 2016 Aug.
[PMID: 26663412]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。