2015.07.25 | ニュース

関節リウマチの薬アダリムマブ、10年使っても効果は続いた

846人の長期治療

from Rheumatology (Oxford, England)

関節リウマチの薬アダリムマブ、10年使っても効果は続いたの写真

関節リウマチの比較的新しい治療として、生物学的製剤という種類に分類されるアダリムマブという薬が使われています。短期間での効果がすでに示されていましたが、最大10年間の使用後にも症状を抑えるなどの効果が見られたことが新たに報告されました。

◆ほかの薬が効かなかった人に10年間使用

研究班は、関節リウマチの患者で、標準的な治療薬である「DMARDs」という種類の薬剤により十分な効果が得られなかった人を対象としました。対象者はアダリムマブの注射による治療を最大10年間にわたって受け、症状や生活の質などを一定基準で評価するスコアにより、治療効果を評価されました。

 

◆33.8%が10年治療維持、うち71.2%が状態良好

次の結果が得られました。

登録された846人の患者のうち、ベースラインでの平均年齢は55.6歳、78.1%が女性、平均の罹病期間は11.7年、27.0%がRF(-)だった。10年間のアダリムマブ治療を完了した286人(33.8%)の患者のうちで、DAS28-CRP ≤3.2を達成した人は236人中168人(71.2%)、HAQ-DI <0.5を達成した人は238人中101人(42.4%) 、DAS28-CRP ≤3.2かつHAQ-DI <0.5を達成した人は241人中90人(37.3%)だった。

アダリムマブ曝露中の有害事象(100人年あたり317.2イベント)はTNF阻害薬として予期された安全性のプロファイルと整合的だった。

10年間アダリムマブの治療を受け続けられた人は対象者のうち33.8%で、そのうちDAS28-CRPのスコアが3.2以下(関節リウマチの症状や検査値が比較的良好であることを示す)になった人は71.2%、HAQ-DIのスコアが0.5未満(多くの生活動作が簡単にひとりでできることを示す)になった人は42.4%でした。副作用の可能性がある有害な出来事の頻度は、予測された範囲を超えませんでした。

研究班は「アダリムマブは10年間の治療を完了した難治性関節リウマチの患者の33.8%において、持続的な臨床的および機能的応答をもたらした」と結論しています。

 

アダリムマブを含め、生物学的製剤の登場によって関節リウマチの治療は躍進したと言われています。有効な薬でも、登場したばかりの時期には、実績がまだない状況で使われることになります。長期間の検証がなされたことで、アダリムマブはより安心して計画的に使えるようになるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Final 10-year effectiveness and safety results from study DE020: adalimumab treatment in patients withrheumatoid arthritis and an inadequate response to standard therapy.

Rheumatology (Oxford). 2015 Jul 21 [Epub ahead of print]

 

[PMID: 26199453]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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