2016.09.25 | ニュース

出生前検査は信頼できる?母親から採血する方法の評価

2015年4月までの研究報告から
from BJOG : an international journal of obstetrics and gynaecology
出生前検査は信頼できる?母親から採血する方法の評価の写真
(C) hywards - Fotolia.com

妊娠中の母親から採血することで、お腹の赤ちゃんの病気を言い当てる検査があります。「命の選別」につながるという議論がある一方で、実際に利用する人は広がっています。検査の信頼性はどの程度なのでしょうか?

新しい出生前検査として知られる、無細胞胎児DNA(cffDNA)を使った検査の信頼性について調べた研究を紹介します。産婦人科専門誌『BJOG』に掲載されたものです。

 

無細胞胎児DNA(cffDNA)は、母親の血液の中に流れている胎児のDNAです。cffDNAを調べることで、胎児の性別や先天性の病気を言い当てる検査があります。この検査は非侵襲的出生前検査(non-invasive prenatal testing、NIPT)と呼ばれています。日本でも一部の施設で行われています。

NIPTはダウン症候群などの病気を見分けます。ダウン症候群を持って生まれた子どもは、知的障害などさまざまな体の問題を抱えることになります。平均寿命は先天性の病気がない人よりも短いとされるものの、多くの人が成人して仕事に就き、自立した社会生活を送っています。

NIPTなどの出生前検査は、妊娠中絶の判断に結び付くことがあります。胎児が病気を持っているという理由で中絶を選ぶことが正しいかについて、倫理的な観点からの議論があります。

 

ここで紹介する研究では、NIPTが特定の病気などを見分ける信頼性を、これまでに報告された研究結果からまとめています。

研究班は2015年4月までの研究報告を集め、データを統合して解析しました。

その結果、NIPTは次の項目を高い信頼性で言い当てていました。

  感度 特異度
性別 0.989 0.996
Rh式血液型 0.993 0.984
トリソミー21
ダウン症候群
0.994 0.999
トリソミー18
エドワーズ症候群
0.977 0.999
モノソミーX
ターナー症候群
0.929 0.999
トリソミー13
(パトー症候群)
0.906 1.00

 

感度とは、特定の病気などがある場合に見逃さず言い当てる割合です。特異度とは、病気などがない場合に正しく「ない」と言い当てる割合です。

研究班はこれらの結果を「精度は高い」と要約しています。

 

ここで挙げられた病気などについて、NIPTは感度・特異度ともすべて90%以上と、高い信頼性を示しました。

検査を受けたい人にとっては、「かなり信頼できる」と判断するための材料になります。ただし、個別の報告ではもっと低い信頼性とされたものもあります。この報告だけでなく、今後の情報も引き続き待たれます。

一方、倫理的な面については統計から答えは出ません。ただ、結果が不確かであれば「信頼性を考えると検査を行う価値は低い」という観点も考えられますが、NIPTについては「絶対ではない」と言えるものの、「不確かな検査」という見方は弱くなりそうです。そのため倫理的な側面がより直接的に現れると言えるかもしれません。

NIPTは今後もさらに広がる可能性があります。避けては通れない問題に対して議論を進めるために、前提となる事実が確かめられることには深い意義があります。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

The accuracy of cell-free fetal DNA-based non-invasive prenatal testing in singleton pregnancies: a systematic review and bivariate meta-analysis.

BJOG. 2016 May 31. [Epub ahead of print]

[PMID: 27245374 ]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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