2016.03.24 | ニュース

食べ物を飲み込めない嚥下障害に、バルーンで広げる治療

21人の治療から
from Annals of rehabilitation medicine
食べ物を飲み込めない嚥下障害に、バルーンで広げる治療の写真
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脳卒中などによって食べ物がうまく飲み込めなくなること(嚥下障害)は致命的な問題につながります。その治療として知られるバルーン治療の研究が行われました。

◆嚥下障害の診断と治療

食べ物を飲み込むためには、のどの筋肉が協調して、食べ物が通過するタイミングで通り道を広げる必要があります。脳卒中などでのどの筋肉がうまく動かなくなったとき、食道を広げる機能が損なわれて(輪状咽頭筋障害)うまく飲み込むことができず、食べ物が気管から肺に流れてしまう誤嚥が起こります。誤嚥による誤嚥性肺炎は高齢者の代表的な死因のひとつです。

誤嚥の危険性を調べる検査に、VFSS(嚥下造影)があります。VFSSは、X線でビデオ撮影しながら造影剤を飲み込むことで、飲み込んだものがのどを通過する様子を調べる方法です。

VFSSで食べ物がうまく通過しない様子が見られたとき、治療として、食道の狭い部分にバルーン(風船)を挿入し、バルーンを膨らませて広げる方法があります。

 

◆嚥下障害の患者にバルーン治療

この研究は、嚥下障害に対してバルーン治療を行うとき、バルーンがどの程度の大きさまで広がるかが、重症度と治療効果に関係するかを調べました。

VFSSで輪状咽頭筋障害と診断された21人が対象となりました。対象者はバルーンを飲み込む治療を3分から5分受け、その間にバルーンが広がった大さを記録されました。

 

◆バルーンが広がる人は軽症

次の結果が得られました。

カテーテルバルーンを飲み込むことで計測された上部食道括約筋の開大径は、咽頭通過時間および嚥下後咽頭遺残量と負の線形の相関があることが観察された。嚥下造影ガイド下の反復バルーン嚥下治療を3分から5分にかけて行うことで、嚥下機能は咽頭通過時間(P<0.005)と咽頭遺残量(P<0.001)において有意に改善した。バルーン径と、バルーン治療後の咽頭遺残量の減少量の間に相関がみられた(ピアソンの相関係数R=-0.729、p<0.001)[...]。

VFSSで観察された嚥下障害の様子が軽い人ほどバルーンは大きく広がり、治療後の状態も良好であるという結果でした。

研究班は「輪状咽頭筋障害の患者が飲み込むことのできるバルーンの最大径は上部食道括約筋の最大開大径を示す可能性がある。反復バルーン嚥下治療は安全で誤嚥のリスクがなく、咽頭運動性と上部食道括約筋の弛緩をともに改善するための有効な技術でありうる」と結論しています。

 

嚥下障害誤嚥性肺炎につながるだけでなく、口から食べられるかどうかも左右してしまいます。より効果的な治療を目指すうえで、バルーン治療の役割が今後も探られていくかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Effectiveness of Rehabilitative Balloon Swallowing Treatment on Upper Esophageal Sphincter Relaxation and Pharyngeal Motility for Neurogenic Dysphagia.

Ann Rehabil Med. 2015 Aug.

[PMID: 26361588]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。


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