1日900mlのコーヒーを飲む人は低リスク?繰り返す神経障害、「多発性硬化症」との関連

多発性硬化症は、体が動かせない、感覚がないなどの症状が軽くなったり再発したりを繰り返す特徴があります。免疫の異常によって起こる病気ですが、その原因は不明です。コーヒーの消費量によって発生頻度に違いが見られたことが報告されました。
◆多発性硬化症とコーヒーに関連は?
ここで紹介する報告は、2件の追跡調査のデータを使って得られたものです。一方からは多発性硬化症が発生した人1,620人と発生しなかった人2,788人、もう一方からは多発性硬化症が発生した1,159人と発生しなかった1,172人のデータが使われました。研究班は、2件の調査データをそれぞれ解析することにより、コーヒーの消費量と多発性硬化症の頻度に関連があるかを調べました。
調査対象者のうち、多発性硬化症が発生した人と発生しなかった人でコーヒーの消費量を比較することで、コーヒーによる関連が検討されました。
◆1日900mlで統計的に関連あり
次の結果が得られました。
コーヒーを消費しない人に比べて、1日900mlを超える多量のコーヒーを消費する人では、多発性硬化症のリスクはかなり減少した(スウェーデンの研究でオッズ比0.70、95%信頼区間0.49-0.99、アメリカの研究でオッズ比0.69、95%信頼区間0.50-0.96)。
コーヒーをまったく飲まない人よりも、1日900mlを超えてコーヒーを飲む人では、多発性硬化症の発生が少なくなっていました。
研究班はここで統計的に関連が見られたことについて、「コーヒーの成分のカフェインは、神経保護作用があり、また
執筆者
High consumption of coffee is associated with decreased multiple sclerosis risk; results from two independent studies.
J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2016 Mar 3. [Epub ahead of print]
[PMID: 26940586]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。