たばこを吸う人は手術中の出血量と輸血量が多い?

手術中の出血をできるだけ少なく抑えることは、手術を安全に行うために大切なことです。この研究は、腰椎(腰の骨)手術中の出血量と喫煙に関係があるか調査しました。
◆喫煙量と手術時の出血は関係がある?
この研究は、559の腰椎手術を対象に、手術中の出血量や輸血の有無と喫煙に関連性があるか調査しました。
喫煙量については、1日に煙草を何箱吸うかを調査しました。手術前最低6週間喫煙をしていない患者と喫煙をしたことがない患者を、非喫煙者としました。
◆たばこを多く吸う人は出血量が多い?
結果は以下の通りでした。
以前に報告された潜在的に関連する交絡因子で調整した後、喫煙者は、非喫煙者と比べ、推定される出血量が増加した(1日当たりの喫煙する煙草の箱数ごとに平均328ml増加;95%信頼区間249-407ml;p<0.001)。
[…]、喫煙者は、非喫煙者と比べ、周術期の輸血の使用が増加した(オッズ比13.8;95%信頼区間4.59-42.52)。
たばこを吸う人は、吸わない人と比べ、手術中の出血量が多く、輸血の使用頻度も増加することが分かりました。
たばこは肺がんなどを引き起こしやすいことがよく知られていますが、今回の結果から手術中の出血量が増える可能性があることもわかりました。ほかにも多くの理由で手術前は禁煙が必要と言われています。手術中の危険性を考えると、手術前の喫煙に注意する必要があるかもしれません。
執筆者
Smoking is Associated with Increased Blood Loss and Transfusion Use After Lumbar Spinal Surgery.
Clin Orthop Relat Res. 2015 Dec 7 [Epub ahead of print]
[PMID: 26642788]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。