2016.04.03 | コラム

腰椎椎間板ヘルニアのリハビリの目的と効果について

保存療法、手術後のリハビリなど
腰椎椎間板ヘルニアのリハビリの目的と効果についての写真
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この記事のポイント

1.腰椎椎間板ヘルニアで現れる症状とリハビリの必要性について
2.どのようなリハビリがあるの?

腰椎椎間板ヘルニアの治療では手術とともにリハビリも大切です。腰椎椎間板ヘルニアに対して、手術を行わない場合や手術後に行われるリハビリについて解説します。

 

◆腰椎椎間板ヘルニアで現れる症状とリハビリの必要性について

背骨は、椎骨と呼ばれる短い筒のような形の骨が縦に並んで構成されています。椎骨の間には、骨同士のクッションの働きをする椎間板があります。椎間板ヘルニアとは、その椎間板が骨と骨の間からはみ出てしまった状態をさします。椎間板がはみ出ることで、骨の周りにある神経に影響し、以下の症状が表れます。

  • 腰痛

  • 足(特にすねの外側)の痺れ

  • 尿や便をコントロールする機能の低下

椎間板が背骨からはみ出てしまう原因はさまざまなものが考えられますが、確実にはわかっていません。

日本整形外科学会と日本脊椎脊髄病学会による『腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン』には、「環境因子は椎間板変性の発生要因であるといえるが、ヘルニアの発生要因としてその関与は明らかではない」と記されています。

たとえば職業別の統計では、ホワイトカラーよりもブルーカラー(重労働者)のほうが腰椎椎間板ヘルニアが多いことなどが指摘されていますが、原因についての研究などの結果は一貫していません。またスポーツとの関係も明らかではありません。

 

腰椎椎間板ヘルニアに対する治療は、大きく分けてリハビリなどの保存的治療と、手術があります。

排尿・排便・性機能などの症状をともなう「馬尾症候群」と呼ばれる状態が現れた場合には手術が勧められます。ほかの場合には、耐えられないほど強い痛みが続くなどの理由で手術が選ばれることもありますが、どのような人に手術が適しているかを見極める基準ははっきりわかっていません。

保存的治療をしばらく続けてみてから手術を考えることもできます。

 

◆どのようなリハビリがあるの?

腰椎椎間板ヘルニアに対するリハビリは、大きく分けて2種類あります。一つは手術とは別の治療としての保存療法で、もう一つは、手術後に行うリハビリです。

 

<保存療法>

日本理学療法士協会による『理学療法診療ガイドライン』には、腰椎椎間板ヘルニアに対する保存療法として3種類の治療法が記載されています。

 

  • 脊柱マニピュレーション

  • 運動療法

  • 物理療法

 

脊柱マニピュレーションは、関節に手で力を加えて動かすなどして、腰椎椎間板ヘルニアの改善をはかる方法です。脊柱マニピュレーションについては、1件の研究報告をもとに「急性の腰痛、坐骨神経痛を訴える患者にマニピュレーションは有効である」とする記述があるものの、ほかに挙げられた2件の研究については「結果の信頼性には若干問題がある」「腰椎椎間板ヘルニアに対するモビライゼーションの効果とは言い切れない」とされ、総合して強い推奨にはなっていません。

また脊柱マニピュレーションについては『腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン』にも「腰椎椎間板ヘルニアに焦点をあてた十分な科学的根拠を示した研究はない」との記載があります。

 

腰椎椎間板ヘルニアに対する運動療法については、1件の研究報告をもとに「根性疼痛のみで麻痺がない腰椎椎間板ヘルニアの多くは、十分な運動療法で軽快する」とされる一方、「McKenzie の運動療法は、急性腰痛に対しては短期間若干の効果は認められるが、慢性腰痛に対する効果は明確でない」との記述もあり、総合して強い推奨とはされていません。

 

物理療法としては牽引療法、温熱療法、寒冷療法が挙げられています。牽引療法については「有効である可能性は低い」とされています。温熱療法は「疼痛および日常動作障害を短期間ではあるが軽減する」「さらに、運動を追加することにより、疼痛をさらに軽減し機能を改善する」とされています。

牽引療法については『腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン』にも言及があります。ここでは「腰痛疾患に対して腰椎牽引療法が広く行われており、腰痛を生じる疾患である腰椎椎間板ヘルニアにおいても同様である」という状況に触れる一方、「腰椎椎間板ヘルニア症例に限定すると、牽引療法単独による治療効果について十分に示した研究はない」とされています。

 

腰椎椎間板ヘルニアに対する手術後のリハビリについて、『理学療法診療ガイドライン』は総合して「行うように勧められる科学的根拠がある 」と位置付けています。

その効果については「短期的に背筋筋力、疼痛、QOLの改善と、さらに復職率を向上させるとの報告は多く、術後可能な限り早期からの介入が奨められる」と説明しています。

 

手術後のリハビリにも使われる運動療法として、ストレッチや筋力トレーニングを行う方法が考えられます。

運動療法は動ける程度に痛みがやわらいでいる時に行われます。

 

ストレッチは、硬くなった筋肉を柔らかく保つことなどを狙います。

背中から腰にかけてのストレッチには、膝を伸ばして床に座り、そのままゆっくり頭を膝につけるように腰を曲げます。足を伸ばして床に座ることが出来ない場合は、膝を軽く曲げても構いません。この運動を数回繰り返し行います。

骨盤の周りのストレッチでは、軽く足を広げて床に座ります。片方の足を内側に曲げ、伸ばした方の足に身体を倒します。このとき、伸ばした足と反対の手を上げ、ゆっくりと身体を曲げることで、より筋肉が伸ばされます。

太ももの裏側のストレッチでは、軽く足を広げて床に座ります。片方の足を内側に曲げ、伸ばした方の足に胸を付けるようにして身体を倒します。このとき、つま先をたてることでより筋肉が伸ばされます。

 

筋力トレーニングでは、腹筋や背筋を鍛えます。

腹筋を鍛える運動は、両膝をたて、仰向けになります。両腕を膝の方に伸ばし、おへそを見ながら身体をおこします。伸ばした手が膝に届いたら、そのまま数秒間止め、ゆっくりと身体を倒します。身体をおこすことが出来ない場合は、顎を引きお腹に力を入れる方法でも構いません。

背筋を鍛える運動は、うつぶせになり、おへその辺りに枕を入れます。その状態からゆっくり身体をおこして行きます。床から10cmほど身体を浮かせることができたら、そのまま数秒間とめ、ゆっくりと元に戻します。

 

腰椎椎間板ヘルニアは、2-3か月程度で自然に治ることがあります。その割合は不明ですが、手術をせず保存療法で改善を図り、自然に治ることをも期待するのは、重症度などにもよりますが、合理的な選択のひとつと言えます。

また手術をする場合にも、効果的なリハビリによって回復を助けることが期待できます。

このように腰椎椎間板ヘルニアの治療の中でリハビリは重要な位置を占めています。

執筆者

NK

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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