2015.07.24 | ニュース

椎間板ヘルニアの手術で脳に細菌が!

術後に硬膜下蓄膿が起こった症例、ブラジルから
from International journal of clinical and experimental medicine
椎間板ヘルニアの手術で脳に細菌が!の写真
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椎間板ヘルニアは非常に多くの人に起こり、重症の場合には手術も標準的な治療として行われます。手術による合併症のごくまれな例として、ブラジルの研究班が、細菌の感染により脳に膿が溜まり、重い神経症状を起こした患者を報告しました。

◆術後6日で脳脊髄液漏出症、治療で改善せず

この45歳の男性は、椎間板ヘルニアのために腰椎の椎間板切除術を受けたのち、症状が改善して退院しました。しかし、手術後6日で脳脊髄液漏出症と診断され、さらに手術と抗菌薬の治療を受けたにもかかわらず無感覚などの神経症状が現れました。

脳脊髄液漏出症は、脳と脊髄を包んでいる髄膜が何らかの原因で傷ついたときに、髄膜の中を満たしている脳脊髄液が漏れてしまうことによって、痛みなどの症状が起こる状態です。無感覚の症状は通常見られず、脳脊髄液漏出症としては説明できません。

さらに脳のCTを撮影して検査したところ、小脳橋角部という場所の異常が見つかりました。

 

◆脳の蓄膿に対する治療で回復

脳の手術が行われ、小脳橋角部の蓄と診断されました。手術後一時的に症状が悪化し、左半身が動かなくなる片麻痺の症状などが現れましたが、保存的治療により完全に回復しました

血液培養などから病原体が特定され、まれに骨髄炎髄膜炎を起こすセラチアという細菌の感染があったことがわかりました。

 

この報告はまれで極端な例ですが、椎間板ヘルニアの手術は、ヘルニアによる脊髄などの圧迫を解消するため、脊髄のすぐ近くを操作します。リスクが完全にゼロではないことの例と言えるでしょう。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Cerebellopontine angle empyema after lumbar disc herniation surgery.

Int J Clin Exp Med. 2015 Apr 15 [Epub ahead of print]

 

[PMID: 26131253]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。