◆台湾151人の患者を追跡
スティーブンス・ジョンソン症候群は、皮膚にただれや水ぶくれができる状態で、感染症や薬の副作用により起こります。特に重症の場合を中毒性表皮壊死症と呼び、口の中や眼の粘膜がただれたり、発熱など皮膚以外の症状をともなうことも多く、命に関わることがあります。
研究班は、国立台湾大学の診療データから、スティーブンス・ジョンソン症候群または中毒性表皮壊死症と診断された151人の情報を得ました。
◆68人に後遺症あり
対象者が退院したあとの症状などを含め、経過がまとめられました。
22人がカルバマゼピン(抗てんかん薬)、17人がアロプリノール(尿酸値を下げる薬)、14人がフェニトイン(抗てんかん薬)、10人がST合剤(抗菌薬)、8人がジクロフェナク(痛み止め)を使っていました。
68人に何らかの後遺症が見られました。そのうち45人に湿疹など皮膚や爪の異常、45人にドライアイなど眼の異常が現れていました。ほかに全身性エリテマトーデス(1人)、橋本病(1人)、シェーグレン症候群(2人)、肺の異常(1人)、腎臓の異常(2人)が見られました。
スティーブンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死症が後遺症を残す場合も多いという結果でした。これらはさまざまな薬が原因になりうると言われているため、個々のケースで使われていた薬のうちどれが原因だったかを特定することは難しいですが、ジクロフェナクのように市販薬でも使われている成分が関係しているかどうかは、多くの人に影響する可能性があります。原因の詳しい究明が待たれます。
執筆者
Long-term Sequelae of Stevens-Johnson Syndrome/Toxic Epidermal Necrolysis.
Acta Derm Venereol. 2015 Nov 19 [Epub ahead of print]
[PMID: 26582440]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。