ちゅうどくせいひょうひえししょう(てん)
中毒性表皮壊死症 (TEN)
命に関わる重症薬疹の一つで、薬剤を主な原因として、皮膚が全身やけどのようにただれる病気
6人の医師がチェック
98回の改訂
最終更新: 2021.11.24
中毒性表皮壊死症 (TEN)の基礎知識
POINT 中毒性表皮壊死症 (TEN)とは
薬に対するアレルギー反応によっておこる全身の皮膚がやけどのようにただれる病気のことです。中毒性表皮性(以下TEN)は生命に危険が及ぶこともあり、その死亡率は20%から30%です。TENが起こると全身の皮膚や粘膜(唇や口の中、眼、外陰部)がただれます。皮膚以外にも発熱や倦怠感などの症状が現れ、問診や視診で診断が行われます。原因と疑われる薬をすぐさま中止することが症状の悪化を止めるために重要です。また加えて身体で起こっているアレルギー反応を抑えるためにステロイド薬や血漿交換、免疫グロブリン療法を使った治療が行われます。TENは急いで治療をしなければならない病気の1つです。疑われる場合は皮膚科や救急科を受診してください。
中毒性表皮壊死症 (TEN)について
- 命に関わる重症薬疹の一つ
- 薬剤を主な原因として、皮膚が全身やけどのようにただれる病気
- 重症の多形滲出性紅斑に分類されており、その原因からスティーブンス・ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死症は同系統と考えられている
- 死亡率は20%から30%
- スティーブンス・ジョンソン症候群との違い
- スティーブンス・ジョンソン症候群よりも重症であり、皮膚の
病変 面積の広さで区別される- スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS):
皮疹 の範囲が全身の皮膚の10%未満 - SJSと中毒性表皮壊死症の境界:皮疹の範囲が10%から30%未満
- 中毒性表皮壊死症:皮疹の範囲が全身の皮膚の30%以上
- スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS):
- スティーブンス・ジョンソン症候群よりも重症であり、皮膚の
中毒性表皮壊死症 (TEN)の症状
- 全身の皮膚がただれる(
びらん ) - 粘膜(唇、口の中、眼、
外陰部 )などのびらんが起こる - 発熱、
倦怠感 など皮膚以外にも症状が出る
中毒性表皮壊死症 (TEN)の検査・診断
- 皮膚の症状を視診する
- 皮膚
生検 も施行する(あとで診断を確認したり、ほかの病気である可能性を否定するため) - 血液検査や画像検査(
レントゲン など)を行っても合併症 の検索や重症度の判断材料にはなるが、診断の材料にはならない
中毒性表皮壊死症 (TEN)の治療法
- 原因を疑われる薬剤の即時中止
炎症 のコントロールステロイドパルス 療法:ステロイド薬 の全身投与血漿交換 (アフェレーシス):炎症の原因物質を取り除く
- 熱傷と同様の全身管理を行い、必要に応じて、
免疫グロブリン 大量静注 療法などの集中治療も行われる - 重症であり、命に関わる状態になることが多い