2015.11.25 | ニュース

ビタミンB3と皮膚がんの関係は?

386人で予防効果を検証
from The New England journal of medicine
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ビタミンB3(ニコチンアミド)は、食べ物に含まれるアミノ酸などから体内で合成されます。ニコチンアミドには皮膚がんの一部を減らす作用があるとした報告があります。オーストラリアの研究班が、ニコチンアミドを補充することで皮膚がんを予防する研究の結果を報告しました。

◆新たに発生する

この研究では、過去5年以内に2件以上の皮膚がん悪性黒色腫を除く)が見つかった人386人が対象となりました。対象者はランダムに、1年間ニコチンアミドを飲むグループと偽薬を飲むグループに分けられ、新たに皮膚がんが発生する頻度を比較されました。

 

◆悪性黒色腫以外の皮膚がんが少ない

次の結果が得られました。

12か月時点で、悪性黒色腫以外の皮膚がんの新規発症率は偽薬群に比べて23%低かった(95%信頼区間4-38、P=0.02)。

12か月の介入期間で有害事象の数または型に注記に足る群間の差は見られず、ニコチンアミドの中止後の利益を示す根拠もなかった。

1年後までに新たに発生した悪性黒色腫以外の皮膚がんが、ニコチンアミドを飲んだグループで少なくなっていました。ニコチンアミドによる明らかな副作用は見つかりませんでした。

研究班は「経口ニコチンアミドは安全であり、リスクの高い患者において悪性黒色腫以外の皮膚がんおよび日光角化症の率を減少させるために有効である」と結論しています。

 

ニコチンアミドが皮膚がんの予防法として将来検討されることがあるかもしれません。ただし、ニコチンアミドもほかのビタミンと同様に、多く摂るほど有益というものではなく、大量摂取による肝障害や胃腸障害の副作用も知られています。あくまで研究として管理された条件で見られた結果であることには注意が必要です。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

A Phase 3 Randomized Trial of Nicotinamide for Skin-Cancer Chemoprevention.

N Engl J Med. 2015 Oct 22

[PMID: 26488693]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。