2015.11.23 | ニュース

ビタミンで前立腺がんは減る?増える?

文献から3万人のデータを収集

from The American journal of clinical nutrition

ビタミンで前立腺がんは減る?増える?の写真

食事などの生活習慣によって、いくつかの種類のがんの頻度が変わると言われています。ビタミンAの仲間、またビタミンEと、前立腺がんの関連について、これまでの研究のデータをまとめた結果が報告されました。

◆文献からデータを収集

研究班は、過去の文献を調査し、トコフェロール(ビタミンE)、レチノール(ビタミンA)、またビタミンAに類似した物質群であるカロテノイドの血液中の量と、前立腺がんの関連を調べたものを集めました。

見つかった研究からデータを取り出し、改めて解析することで、これらのビタミンと前立腺がんの関連について検討しました。

 

◆リコペン、α-トコフェロールで減少、レチノールで増加

次の結果が得られました。

15件の研究から、11,239人の患者(1,654人が進行ステージ、1,741人が進行性)と18,541人の対照群についてデータが得られた。[...]リコペンの最も高い五分位群の、最も低い五分位群に対する進行性の前立腺がんのオッズ比は0.65(95%信頼区間0.46-0.91、Ptrend=0.032)だった。

カロテノイドの一種であるリコペン(リコピン)が多い人で、前立腺がんのうちでも進行性のものが少なくなっていました。α-トコフェロールが多い人でも前立腺がんが少なくなっていました。レチノールが多い人では前立腺がんが多くなっていました

研究班はこの結果に対して「この関連が因果関係を反映したものかどうかは明らかでない」と述べています。

 

ビタミンは体に必要な物質であり、良い面が多く知られていますが、大量に摂るほど有益というわけではありません。適度なバランスを考えるときに、こうした研究も参考にできるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Carotenoids, retinol, tocopherols, and prostate cancer risk: pooled analysis of 15 studies.

Am J Clin Nutr. 2015 Nov

[PMID: 26447150]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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