◆アメリカの全国調査から
研究班は、2012年に米国予防医学作業部会(USPSTF)がPSAに基づく前立腺がんのスクリーニング(リスクが比較的高くないと考えられる人に行われる検査)を推奨しないという勧告を出した前後で、前立腺がんのスクリーニングが行われる頻度に変化があったかを調べました。
アメリカの全国的な健康調査であるNational Health Interview Surveyのデータから、2013年に40歳以上の男性に対して医師のもとで行われた前立腺がんのスクリーニングの情報を取り出し、2010年と比較しました。
◆50歳以上で検査減少
得られた情報の解析から次の結果が得られました。
スクリーニング率は50歳から59歳の男性(33.2%から24.8%に、P<0.01)、60歳から74歳の男性(51.2%から43.6%に、P<0.01)、75歳以上の男性(43.9%から37.1%に、P=0.03)では有意に減少した。
50歳以上の男性に対して行われたスクリーニングは、2010年に対して2013年では少なくなっていました。
研究班はこの変化について「前立腺がんスクリーニングは、2012年のUSPSTFガイドラインがPSAに基づいたスクリーニングを非推奨としたのち、50歳を超える男性で有意に減少した」とまとめています。
USPSTFの見解には反対意見もあり、日本泌尿器科学会は2012年の勧告が案として公表された段階で「USPSTFの勧告(案)を今のわが国に適用することは適切でない」としています。
https://www.urol.or.jp/public/pca/america-prophylactic.html
検査を受けるかどうか、結果を見てどう対応するかは個人の価値観による部分もあります。検討されている方は、ご自身の健康上の背景と予想される結果について、医師とよく相談されることをお勧めします。
執筆者
National Prostate Cancer Screening Rates After the 2012 US Preventive Services Task Force Recommendation Discouraging Prostate-Specific Antigen-Based Screening.
J Clin Oncol. 2015 Jun 8 [Epub ahead of print]
[PMID: 26056181]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。