2015.11.06 | ニュース

子癇前症で出生児の先天性心疾患リスクが上がる

カナダの新生児194万人を対象に解析
from JAMA
子癇前症で出生児の先天性心疾患リスクが上がるの写真
(C) Photographee.eu - Fotolia.com

子癇前症(妊娠高血圧腎症)は出生児にとって大きなリスクで、未熟児の20%が子癇前症によるものとされています。カナダの研究で、子癇前症により出生児の先天性心疾患リスクが上がるという結果が出ました。

◆子癇前症とは

子癇前症妊娠高血圧症候群のうち特に腎臓にトラブルの起こっている「妊娠高血圧腎症」をいいます。ときに命に関わる子癇発作につながることがありますが、胎児・乳児死亡は発展途上国に比べ先進国では少ないとされています。

 

◆カナダ・ケベック州の新生児が対象

この研究は、カナダ・ケベック州(カナダ人口の1/4)の病院の23年にもおよぶ全出産データに基づいて、新生児194万2072人を対象に、子癇前症(妊娠高血圧腎症)と出生児の先天性心疾患の関連を解析したものです。

 

◆早期発症の妊婦で出生児の致死的先天性心疾患リスクが倍以上

子癇前症がなかった妊婦の出生児と比較して、子癇前症があった妊婦の出生児では先天性心疾患のリスクが57%上がっていました。これは、重症のものが特に増えているためでなく、致死的ではない比較的軽症の先天性心疾患が増えているためでした。具体的には、心臓を左右部分に分けている中隔の欠損(心房中隔欠損症または心室中隔欠損症)がほとんどでした。

ただ、子癇前症があった妊婦の中でも、子癇前症を早期(妊娠34週未満)に発症した場合にはリスクが高いと見られ、出生児の重症先天性心疾患リスクは2.78倍、という高さでした。

 

これらは今まで知られていなかった結果で、特に子癇前症を早期に発症した妊婦の新生児に致命的な先天性心疾患が多いことは注目すべき事実です。

 

◆リスクをどうみるか

先天性心疾患は新生児の先天疾患で最も多く(100人に1人弱)、また心臓病だけに致命的になる可能性はあります。ただ、この論文のデータを逆に見ると、子癇前症が起こっても先天性心疾患のある新生児は100人に1人強、つまり98%は大丈夫ということになります。さらに、心臓外科手術は急速に進歩しており、数ヶ月以内の新生児の手術も可能になっています。また子癇前症で多いとされた中隔欠損は発見しやすく、多くの場合直ぐに手術が必要というわけではありません。

多くの場合は深刻な結果にはならないという前提で、この研究は、子癇前症を治療しその後の対策を考える上で参考にできるかもしれません。

参考文献

Association Between Preeclampsia and Congenital Heart Defects

JAMA. 2015 Oct

[PMID: 26501535]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

MEDLEYニュース新着記事