2015.10.31 | ニュース

再発したグリオーマを治療する樹状細胞免疫療法、信州大学など

第1相試験で検証
from Journal of neurosurgery
再発したグリオーマを治療する樹状細胞免疫療法、信州大学などの写真
(C) Syda Productions - Fotolia.com

免疫の働きをがんの治療に利用する試みが、多くの研究者によってなされています。信州大学などのチームが、脳腫瘍の一種である神経膠腫(グリオーマ)を治療する研究を行いました。

◆WT1-パルス樹状細胞ワクチン療法を検討

神経膠腫は脳にできるがんの代表的なグループで、非常に悪性度が高いとされる膠芽腫など、いくつかの種類のがんを含む総称です。この研究は、神経膠種があり、治療後に再発した成人患者を対象として、化学療法に加えて「WT1-パルス樹状細胞ワクチン療法」という治療を行い、安全性と効果を検証しました。

樹状細胞は、体の中に侵入した異物を認識してほかの細胞に情報を伝えることで、免疫系を動かす役割があります。WT1-パルス樹状細胞ワクチン療法は、がん細胞が持っているWT1という物質を樹状細胞に認識させ、WT1を標的として免疫反応が起こるようにすることで、免疫系にがんを攻撃させる治療法です。

 

◆深刻な副作用なし、がんが小さく

次の結果が得られました。

臨床応答はWT1-パルス樹状細胞の接種を受けた5人の患者において、疾患の安定であった。疾患の安定があった5人の患者のうち2人では、神経学的所見が改善し、MRI腫瘍の縮小が見られた。深刻な有害事象は、注射部位のグレード1から2の紅斑を除いて見られなかった。

治療によって、注射した場所が赤くなる軽度の反応のほか、深刻な副作用は見られませんでした。また、一部の対象者では、画像検査でがんが小さくなることが観察されました。

「このWT1-パルス樹状細胞ワクチン療法の研究は、再発悪性神経膠腫の取扱において安全性、免疫原性、および実行可能性を示した」と結論しています。

 

WT1-パルス樹状細胞ワクチン療法が実際の治療として認められるかを判断するためには、安全性を確かめたうえ、さらに進んだ研究を行う必要があります。このように免疫を利用した治療の試みはほかにもあり、知見が積み上げられつつあります。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Dendritic cell-based immunotherapy targeting Wilms' tumor 1 in patients with recurrent malignant glioma.

J Neurosurg. 2015 Oct

[PMID: 26252465]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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