アルコール消費量1日60g以上だと、出血性脳卒中になるリスクが2倍
アルコールの消費量と脳卒中に関連があることはよく知られており、『脳卒中治療ガイドライン2015』でも節酒が推奨されています。今回はその根拠のひとつとなった2003年の論文を紹介します。
◆35の研究からアルコール消費量と出血性脳卒中の関連を検証
脳卒中には、出血によって起こるものと、非出血性(
今回の研究は、アルコールの消費量と脳卒中の
◆1日60gのアルコール消費により、出血性脳卒中のリスクは2.18倍に
以下の結果を報告しました。
飲酒しない人と比べて、アルコール消費量が1日60gより多いことは、全脳卒中の相対リスクの増大と関連し(相対リスク1.64、95%信頼区間1.39-1.93)、虚血性脳卒中は 1.69(95%信頼区間1.34-2.15)、出血性脳卒中は2.18(95%信頼区間1.48-3.20)であった。
一方、1日12g未満の消費量であることは全脳卒中の相対リスクの減少と関連し(相対リスク0.83、95%信頼区間0.75-0.91)、虚血性脳卒中は0.80(95%信頼区間0.67-0.96)であった。
消費量が1日12-24gであると、虚血性脳卒中の相対リスクは減少した(相対リスク0.72、95%信頼区間0.57-0.91)。
アルコール消費量が1日あたり60g(ビールで言うと、中ビン3本分程度)より多いと、出血性脳卒中になるリスクが2.18倍になる一方、1日12g未満の消費量であると脳卒中のリスクを下げるという結果でした。
飲み過ぎは脳出血やくも膜下出血といった出血性脳卒中のリスクになり、適度な飲酒であれば全脳卒中や虚血性脳卒中のリスクを下げることがわかりました。
ほかにも脳卒中のリスクに関係する要因についてはさまざまな研究があります。いくつかは関連記事で紹介していますので、あわせてご覧ください。
執筆者
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。