2015.09.10 | ニュース

抗生物質を使うと糖尿病が増える?

デンマークの研究チームが170,504人を分析

from The Journal of clinical endocrinology and metabolism

抗生物質を使うと糖尿病が増える? の写真

腸内細菌は栄養の代謝に関連していると言われています。今回の研究では、抗生物質を使うとその腸内細菌が死んでしまい、その結果、2型糖尿病になりやすくなるのではないかという仮説を検証しました。

◆抗生物質を用いると2型糖尿病になりやすいか検証

今回の研究は、デンマークの全国データベースなどに登録していて、2000年から2012年に2型糖尿病を発症した人170,504人と対照群1,364,007人を対象に、抗生物質の使用と2型糖尿病の発症リスクの関連性を検証しました。

 

◆抗生物質を使用した人は2型糖尿病を発症する確率が高い

以下の結果が得られました。

すべてのタイプの抗生物質への曝露と2型糖尿病との関連について、処方箋薬を受け取った数が0から1に対して5以上で、オッズ比(OR)は1.53(95%信頼区間1.50-1.55)であった。

抗生物質を多く使った人は、2型糖尿病の発症が多いという結果でした。

筆者らは、「我々の結果は、抗生物質への曝露は2型糖尿病リスクを増加する可能性を支持できる。」と結論づけています。

 

この研究だけでは、抗生物質の使用と2型糖尿病の発症の因果関係には言及できません。例えば、2型糖尿病があると感染しやすいことが知られていますが、その結果として抗生物質を使っていたがまだ2型糖尿病とは診断されていなかった人が、あとで2型糖尿病と診断されたという可能性もあるからです。 もちろん、抗生物質により腸内細菌に影響がある可能性もあるため、今後の検証に期待したいです。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Use of Antibiotics and Risk of Type 2 Diabetes: A Population-Based Case-Control Study.

J Clin Endocrinol Metab. 2015 Aug 27

[PMID: 26312581]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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