2015.06.21 | ニュース

糖尿病による結核リスクは1.3倍

イギリスの大規模調査から
from BMC medicine
糖尿病による結核リスクは1.3倍の写真
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糖尿病によって免疫力が低下すると、結核などの感染症に弱くなってしまいます。結核菌は症状が出る前から隠れて感染していますが、糖尿病がある人にはこの潜伏結核が多いはずという考えから、今回イギリスで権威あるロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院のグループが、糖尿病と結核発症リスクの関連を調査しました。その結果、糖尿病を指標に潜伏結核を見つけ出すには至りませんでした。

◆22万以上の糖尿病患者データを用いての検討

著者らは、糖尿病がある人に結核菌の検査をすることで効率よく診断できるどうかを検討するため、以下の方法を用いました。

UK Clinical Practice Research Datalinkのデータを用い、糖尿病発症した患者のコホートを構築した。1990年から2013年までに糖尿病と診断された222,731人の患者を含み、対照は年齢や性別、一般診療でマッチした、研究開始時に糖尿病と診断されていない1,218,616人とした。

つまり約22万人の糖尿病患者と約120万人の非糖尿病患者について、生活習慣などの要因を考えに入れながら、結核リスクとの関連を調べました。

 

◆糖尿病発症による結核リスクは1.3倍

著者らの解析結果は、以下の通りになりました。

700万人年の追跡調査の間、結核症例は969例であった。結核の発症率は糖尿病発症グループの方がそうでないグループより高く、それぞれ100,000人年あたり16.2から13.5である。潜在的交絡因子の調整後に、糖尿病結核の関連はあった(補正した相対危険度は1.3、95%信頼区間は1.01から1.67、p=0.04)。

つまり糖尿病患者において結核リスクが高くなり、糖尿病がない人の1.3倍でした。

著者らはこの対象者集団の中で「独立したリスク要因としての糖尿病は全体にやや結核のリスクを増やすにとどまり、潜在結核スクリーニングを行う理由として十分とは言えない」と結論づけています。

 

診断指標としては使えないと判断されていますが、糖尿病結核発症リスクを上昇させる事は改めて示されました。平成25年度の厚労省報告によると、日本の結核罹患率(新登録結核患者数)は人口10万人あたり16.1人で、米国(3.1人)の5.2倍、ドイツ(4.9人)の3.3倍、オーストラリア(5.7人)の2.8倍と、非常に高いのが現実です。日本糖尿病学会でも結核の危険に注意を促しています。しっかりしたデータが、結核対策に役立って欲しいと思います。

執筆者

高田

参考文献

Risk of tuberculosis in patients with diabetes: population based cohort study using the UK Clinical Practice Research Datalink.

BMC Med. 2015 Jun 5

 

[PMID: 26048371 ] http://www.biomedcentral.com/1741-7015/13/135/abstract

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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