食道がんの手前の段階、バレット食道がある人は内視鏡検査を受けるべきか?

逆流性食道炎などが原因とされるバレット食道は、食道がんができやすい状態と言われています。アメリカで、バレット食道がある人が食道内視鏡の検査を受けたときの効果が研究されました。
◆バレット食道がある人を追跡調査
この研究では、バレット食道がある人が対象となり、その後食道がんの診断などに違いがあったかについて追跡調査を受けました。
◆検査でがん関連死が減少
次の結果が得られました。
平均5.0年のフォローアップの間に、バレット食道があった29,536人の患者のうち424人に食道腺
がん が発症 した。食道腺がんの患者のうち計209人(49.3%)がバレット食道サーベイランスプログラムに参加しており、サーベイランス内視鏡 検査の結果として診断された。バレット食道サーベイランス内視鏡検査はがん関連死のリスク減少(ハザード比0.47、0.35-0.64)と関連し、その関連は主に診断時点で食道腺がんが早期のものだったことによって説明された。
バレット食道がある人のうちで、内視鏡検査を受けていた人は、主に食道がんが早期で見つかったことによって、がんによる死亡が少なくなっていました。
バレット食道が見つかったとき、長期的にどう対処するかの参考になるかもしれません。
ただし、この研究はアメリカで行われたものですが、日本人ではバレット食道と食道がんの関係が欧米人とやや違うという説もあります。
バレット食道は食道がんのうちでも腺がん(この研究で取り上げられたタイプのもの)との関連が指摘されていますが、日本人の食道がんは腺がんよりも扁平上皮がんという違うタイプのものが多いと言われています。実際に検査を受けるかどうかを判断するには、こうした情報も関わってくるかもしれません。
執筆者
Surveillance endoscopy is associated with improved outcomes of oesophageal adenocarcinoma detected in patients with Barrett's oesophagus.
Gut. 2015 Aug 26 [Epub ahead of print]
[PMID: 26311716]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。